「特命戦隊ゴーバスターズVS海賊戦隊ゴーカイジャー THE MOVIE」 バランス感覚が非常に良い
今年のスーパー戦隊の「VSシリーズ」を観てきました。
元々「VSシリーズ」はビデオ・DVD向けのコンテンツでしたが、最近は劇場公開を最初から考えて作るようになりましたね。
夏のスーパー戦隊の映画はどうしても「仮面ライダー」のおまけ的な感じになってしまい尺も短い(30分くらい)ので、60分程度とはいえ倍ぐらいの長さなので見応えがでてきますね。
で、今年の「VSシリーズ」ですが、よく考えてみると前作の「ゴーカイジャー」と現役の「ゴーバスターズ」はけっこう戦隊の性格が真逆なんですよね。
「ゴーカイジャー」はマーベラス本人もそう言っていますが、地球を守るなんて気はさらさらなく、目の前の敵を倒していくだけ。
名前の通り、通り一遍の正義やらルールには縛られない、豪快さがあるわけですね。
対して「ゴーバスターズ」は、地球を守る使命に対し、非常に真面目なところがあります(それが仕事ですしね)。
まさに地球を守るプロフェッショナルな戦隊だと言えます。
個人的には「ゴーカイジャー」の豪放磊落なところ、物語も勢いがあるところが好きなんですよね。
その分現在オンエア中の「ゴーバスターズ」は結局いまいち乗り切れないところがありました。
ですので、この両者が対峙する「VSシリーズ」はどちらかというと「ゴーカイジャー」が「ゴーバスターズ」を食ってしまうかもと思ったりしていました。
しかし、観てみると「ゴーカイジャー」も「ゴーバスターズ」もそれぞれの「らしさ」が出ている極めてバランスのいい作品になっていました。
「幻のレンジャーキー」で、「ゴーカイジャー」や「ゴーバスターズ」がタイムスリップしてしまうなんていうぶっ飛んだ設定は、やはり「ゴーカイジャー」らしい。
「ゴーバスターズ」らしさはヒロムたち3人と、バディロイドの友情にスポットが当てているドラマ部分によくでていたと思います。
脚本がよくできていて、60分とは思えないほどの密度がありました。
アクションにしても「ゴーカイジャー」らしい豪快チェンジを交えた豪快な戦いっぷりと、「ゴーバスターズ」らしいスタイリッシュでスピード感あるアクションがうまく融合していたように思います。
これは「ゴーバスターズ」で新しいスタイルを提案した福沢アクション監督の力が大きいですかね。
福沢さんは「ゴーバスターズ」が初めてのアクション監督ですが、なにしろゴーカイレッドを演じていたわけですから「ゴーカイジャー」のことも知り尽くしていますよね。
演出的にも60分という尺で脚本が盛りだくさんだったので、ある意味かなり割り切った展開にしているのが小気味がいい感じがします。
柴崎監督は「仮面ライダーオーズ」の夏の劇場版、「ゴーバスターズ」の夏の劇場版の監督をしていますが、どちらも個人的には今ひとつな感じがあります。
「オーズ」は冗長な感じ、「ゴーバスターズ」はやや忙しい感じとバランス感がよくない感じがしていましたが、本作は非常にテンポ良くうまくまとまっていたと思います。
ビデオ用のコンテンツを劇場公開するのではなく、最初から劇場用に作っているというのも安っぽくない感じでいいかもしれません。
しかし、東映は特撮の劇場コンテンツをコンスタントに公開するという戦略になってきましたね。
2〜3月:スーパー戦隊の「VSシリーズ」
4〜5月:様々な実験的な試みを行う劇場版(「電王」の3週連続公開とか、ヒーロー大戦とか)
8〜9月:夏の「仮面ライダー」映画
12月〜1月:「仮面ライダー」のMOVIE大戦
これに「宇宙刑事ギャバン」が10〜11月くらいで定着すると初夏を除いて、ほぼ一年中東映特撮を劇場で流しているという・・・。
こういう特撮映画はファミリーと、大きなお友達が着実に入るという目算が立てられるので、東映的には非常に良いコンテンツではないでしょうか。
これは経営安定化につながり、すごく経営的センスがある感じがしますよね(これは東映撮影所長の白倉さんの考えではなかろうか)。
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