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2013年1月27日 (日)

本 「旅猫リポート」

有川浩さんの「空飛ぶ広報室」のレビューでは、「この時点において有川浩さんのひとつの集大成」と書いたのですが、本作については新しい方向性を見せようとしている作品と言えるような気がします。
キャラ立ちだったり、ベタ甘だったりするところは有川さんの特徴のひとつので、アニメ的、ライノベ的とも言えるわかりやすさに繋がったりします。
たぶん有川さんの作品は、小説慣れしていない方にも読みやすいものとなっていると思います。
しかしたぶんに多くのライノベが、わかりやすいキャラクター造形などになっていて、今までのアニメやマンガのパターンに陥ってなにも残らないものであるのに対して、有川作品はそういうところはないのですよね。
読みやすいのだけれど、なにかほんわりと暖かいものが残るというか。
有川作品には優しさというか、人を思いやる気持ちみたいなものを感じるんですよね。
本作はいわゆるキャラ立ち的なところはおさえつつも、有川さん特有のほんわりとした暖かさみたいなものを前面に出してきた感じがします。
そして今までにないところとしては「死」というものをけっこう真正面に捉えているということですね。
有川作品は基本的にハッピーに終わる感じがあるのですけれど、本作ではしっかりと「死」が描かれます。
物語の途中からそういう予感はあってザワザワした気持ちで読むのですが、有川さんの作品だから、うまくいくに違いないと思って読んでいったのですけれども。
でもその「死」は悲劇ではなくって。
本作主人公である猫、ナナといっしょに、読み進めるに従い、その「死」を受け入れられるようになっていくんですよね。
これはやはり有川さんならではのほんわりとした暖かさ。
表紙のデザインなどのイメージもあるんですけれど、有川さんの今までの作品がどちらかというとアニメ的な感触があったのに対し、本作はなんか童話的というんですかね、そんな感じがしました。
今までの作品で言うと「阪急電車」が一番感触が近いかな・・・。
有川さんらしくも、でも今までとは違う側面も感じた作品だと思いました。

「旅猫リポート」有川浩著 文藝春秋 ハードカバー ISBN978-4-16-381770-5

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コメント

みゆみゆさん、こんばんは!

僕も「余命もの」は本も映画もあまり好きではないのですが、本作は有川さんらしい温かさを感じてよかったです。
有川さんとしても新境地な感じでしょうね。
次の作品はどのような感じになるのでしょう。

投稿: はらやん | 2013年6月29日 (土) 22時34分

TBありがとうございました。

今までの有川さんとは違う感じでしたが、
死を描いていても、有川さんの持つ温かさがあった作品でしたね。
私も、あまり「余命短い」設定の物語は好きではないのですが・・・
これは、本当によかったです。

個人的には、自分が飼っている犬の甲斐犬が、『阪急電車』につづき、これにも出てきて、びっくりでした。
マイナー犬種を続けて出してくるあたり、有川さんはお好きなのかな?と(^^)

投稿: みゆみゆ | 2013年6月29日 (土) 14時04分

shinri65さん、こんばんは!

こちらこそよろしくお願いいたします。

投稿: はらやん | 2013年4月19日 (金) 22時17分

いつもTBありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。

投稿: shinri65 | 2013年4月16日 (火) 21時20分

たいむさん、こんばんは!

そうそう、僕も「阪急電車」が一番近いなぁと思いました。
最近はこういう人情みたいなことを描く感じはありますよね。
哀しい最後を予感させながらも、それはそれで満ち足りた結末になるという安心感があって読ませるのは有川さんならではかなと思います。
多作でありながらもしっかりと読ませてくれる、有川さんはすごいなと思います。

投稿: はらやん | 2013年1月31日 (木) 22時00分

はらやんさん、こんにちは。
私も最近の作風はちょっと違った感じで、それでも強いて言うなら『阪急電車』と感触が近いかなーって思いました。
本当は病気ものは好きじゃないのだけど、途中まで全然わからなかったし、判ったからといって、そういうのじゃないところが有川先生だなって感じました。
途中から予感がするし、フラグがたっても最後まで穏やかに読み続けられるんですよね。
といいつつ、とめどなく涙を溢れさせてましたが(笑)

有川作品は次が楽しみでなりません。

投稿: たいむ | 2013年1月29日 (火) 15時31分

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