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2012年11月 4日 (日)

本 「悪夢の身代金」

木下半太さんの「悪夢」シリーズの最新作です。
最近、書くペースが早いような・・・。
前作の「悪夢のクローゼット」の記事の時、初期の作品の「悪夢のエレベーター」のような感じと書きました。
これは基本的にワンシチュエーションで繰り広げられるということと、一人称の語りが章ごとに登場人物が変わっていくことにより謎が次第に明らかになっていくという構造からでした。
そういう意味で言うと今回の「悪夢の身代金」は「悪夢の観覧車」に近い感じがしますね。
本作は一人称の語りが章ごとに変わっていき謎が明らかになっていくというところは同じですが、ワンシチュエーションではありません。
そういうところが「悪夢の観覧車」に近い感じがします。
最初はなんだかわけのわからない事件に巻き込まれた人物がいて、そのわけのわからない事件の本質が章ごとに変わる登場人物の一人称語りによって謎が明らかになっていいく。
本作でいうとクリスマスの日に大阪の梅田をミニスカサンタの格好をした女子高生が、身代金が詰まった白い大袋を担いで走るというシチュエーションが、わけのわからない事件。
身代金を運ばされている女子高生もなにがなんだかわからない。
なぜに、どうして?
こういう語り口は木下さんはうまいですね。
相変わらず最終章までかなり引き込んで読ませてくれます。
ただ最終章でいろいろ明らかになるのですが、ここら辺がやや強引なきらいも。
一気に伏線を片付けてはいるのですが、ちょっとね・・・。
とはいえ、エンターテインメント小説としては十分合格のラインを越えていると思います。

前作「悪夢のクローゼット」の記事はこちら→

「悪夢の身代金」木下半太著 幻冬舎 文庫 ISBN978-4-344-41924-7

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「木下半太」の『悪夢の身代金』を読みました。 [悪夢の身代金] 『純喫茶探偵は死体がお好き』、『暴走家族は回り続ける』、『悪夢のクローゼット』に続き「木下半太」作品です。 -----story------------- クリスマス・イブ、女子高生「知子」の目の前でサンタクロースが車に轢かれた! 瀕死のサンタは、1億円の入った袋を「知子」に託す。 「僕の代わりに身代金を運んでくれ。娘が殺される」。 「知子」は見知らぬ家族のために疾走するが、有名サッカー選手に眼帯女など、怪しい人物に狙われ、金は次... [続きを読む]

受信: 2014年11月 4日 (火) 21時11分

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