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2012年11月10日 (土)

本 「「紫の女」殺人事件」

内田康夫さんの浅見光彦シリーズの一作になります。
このシリーズでは、探偵役である浅見光彦の活躍を、物語の中で「軽井沢のセンセ」こと内田康夫が小説にしているという設定になっています。
作者が小説の中に出てくる(同姓同名などを含める)のは、栗本薫さんの「ぼくら」シリーズなど意外と多い気がしますが、本作は最初のほうは浅見光彦すら出ず、内田センセの一人称で物語が進むという変わった構成になっています。
作者である内田康夫さん自身もあとがきで、本来の小説作法からいうと変わった構成と書いてらっしゃいました。
本作は内田康夫さんの作品らしく読みやすいミステリーであるというのは、他の浅見光彦シリーズと同様です。
今回は謎の一つとして「幽体離脱」という珍しい現象を取り扱っています。
「幽体離脱」とは臨死体験のひとつとして言われますが、死のうとしている自分をもう一人の自分がその様子を眺めるといったような現象ですね。
ミステリーで超常現象を扱うのはなかなかに難しい。
基本的にミステリーというのは論理だった構成で謎を解明しなくてはいけないわけで、そこに超常現象的なものが入ってくると論理が破綻してしまいます。
ですので当然のことながら本作でも「幽体離脱」については現実的な説明がなされていますが、その説明がシンプル、簡潔で、なるほどねというようなところがありました。
浅見光彦シリーズは旅情ミステリーとして分類されることもありますが、今回の舞台は伊豆の網代です。
読みやすい本なので旅行のお供になど気軽に楽しむにはいいと思います。

「「紫の女」殺人事件」内田康夫著 角川書店 文庫 ISBN978-4-04-160777-0

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 「朝ぼらけ 宇治の川霧 絶々に あらはれわたる 瀬々の網代木」(藤原定頼)  「紫の女(ひと)殺人事件」(内田康夫: 講談社)は、この歌に現れる「網代」と「宇治」 ... [続きを読む]

受信: 2015年8月28日 (金) 18時46分

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