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2012年10月 6日 (土)

本 「詩的私的ジャック」

森博嗣さんの作品は「理系ミステリー」と言われることが多いですね。

それはトリックが論理的であったり、ミステリーを解き明かす探偵役の思考がロジカルであったりというのもあるかもしれません。

「理系ミステリー」という言葉が持ってる意味あいというのは、ある種の「ドライさ」であるかと思います。
論理的、ロジカルというのもその「ドライさ」に繋がっていますね。
ミステリーというものにおいて、事件が起こるきっかけとなるのは犯人側に殺意を抱くだけの感情があると言えます。
それはドロドロとした恨みや愛情であったり、また間違った正義感のような思想だったり。
殺人に至るまでに、犯人側の心に「熱」のようなものがあるわけです(最近多くの作品でみられる「異常者」による事件というのも、御しがたい行為への欲望があるわけでこれに入れていいでしょう)。
しかし、森博嗣さんの犯人にはそういう「熱」のようなものは感じられません。
乾いている、つまりは「ドライ」なのですね。
森博嗣さんの作品の犯人というのは科学者であることが多いのですが、実験の障害を取り除くといった感覚で、事件を起こすことが多いのです。
殺す相手の強い恨みといった感情がなかったりするのですね。
自分にとってやるべきことをなすために、邪魔だからと言ったような感じでしょうか。
そのあたりの犯人の思考が独特な「ドライさ」とういう感触を読む側にあたえ、それが「理系ミステリー」という言葉に表れているような気がします。
まさに本作はそういった森作品の面が強く出ているような気がします。
「詩的私的ジャック」森博嗣著 講談社 文庫 ISBN4-06-264706-0

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