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2012年9月22日 (土)

本 「諸子百家 -儒家・墨家・道家・法家・兵家-」

中国の春秋〜戦国時代に興ったいくもの思想を総称して、諸子百家と言われます。
特に有名なのは、副題にもあるように儒家・墨家・道家・法家・兵家ですね。
儒家とは、孔子によって始まった思想で、その後孟子、荀子などを経て儒教思想として熟成されていきます。
儒教とは、一言で言えば「徳」により人の世を治めることについて考える思想ですね。
また政治への参加を目指すところで現世的な思想とも言えます。
墨家というのは、非攻・兼愛を説いた思想です。
戦国期という国と国、人と人が争う時代において、侵略戦争そのものを否定したユニークな考えです。
墨子に始まると言われるこの思想集団は、強国に攻められている国に何の報酬もなく協力し、攻城戦などを行いました。
戦国期が終わり、秦によリ統一されると彼らは姿を消していきます。
道家は老子に始まると言われ、儒家が現世的な思想であるのに対し、宇宙の成り立ちとは何かという哲学的な思索を行う思想です。
彼らが考える宇宙の基本原理は「道(タオ)」と呼ばれます。
法家は、韓非子に始まる考え方で聖人による徳の治世はそのような人物が登場しなければ成り立たないとし、法により治世をするという現代の法治の考え方をする人々です。
彼らの考えは統一王朝である秦の法治にも影響を与えたと言われています。
兵家とは孫子兵法が現代でも戦略・戦術論としても引き合いに出されるように、戦争についての思想となります。
彼らの思想は戦争そのものだけではなく、戦う前の謀略や情報戦なども重視しており、戦って勝つことよりも戦わずして勝つことのほうが良いと説きます。
こういった諸子百家の思想は日本の文化にも大きく影響を与えています。
それは故事成語などにも見られます。
先般「論語」についてはいくつか取り上げましたが、「五十歩百歩」という言葉は孔子の考えを引き継いだ孟子の言葉からきています。
「墨守」という言葉は「堅く守ること」という意味ですが、これは墨家の守る城の守りが非常に堅いことからです。
「胡蝶の夢」という話がありますが、これは道家の荘子の逸話から。
夢が現か、現が夢かという話ですが、これは自分の存在とは何なのかという哲学的な思索になりますね。
法家の思想から出てきた言葉としては「矛盾」があります。
これは法家が儒家を批判する時に使った話の中からきてます。
そして兵家については有名どころでは武田信玄も使った「風林火山」です。
「疾きこと風の如く、徐かなること林の如し、侵略すること火の如く、動かざること山の如し」。
これは孫子の中の言葉です。
このように諸子百家の思想というのは日本にも大きく影響を与えてきたものが多いのですね。
もちろん中国にもその思想は脈々と流れています。
先般の「論語入門」のときにも書きましたが、こういった思想を理解することは東アジア相互の理解を深める一助になると思います。
読んで面白かったのは、1990年代に春秋〜戦国時代の竹簡などが相次いで発見されていること。
それにより現代まで伝わっていた文書以外の事実もわかってきたようです。
これらの分析が進んでいけばより深いこれらの思想の理解が得られるかもしれません。

「諸子百家 -儒家・墨家・道家・法家・兵家-」湯浅邦弘著 中央公論新社 新書 ISBN978-4-12-101989-9

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