「仮面ライダーフォーゼ THE MOVIE みんなで宇宙キターッ!」 継続してこその友情
テレビシリーズの最終回までおよそ一ヶ月となった「仮面ライダーフォーゼ」の劇場版です。
監督は「フォーゼ」のメイン監督であり、生みの親の一人とも言える坂本浩一監督です。
坂本監督は最近の「仮面ライダー」の映画でも「仮面ライダーW FOREVER AtoZ/運命のガイアメモリ」、「仮面ライダー×仮面ライダー フォーゼ&オーズ MOVIE大戦 MEGA MAX」など傑作を作っている方なので、期待度高まります。
坂本監督の作品はかなり情報量が多いのですが、それを見せきってしまうパワーがあるのですよね。
テレビシリーズのほうがクライマックスに向けて物語が大きく動いていく中ですので、この時期の劇場版はなかなか難しい。
どうしても本筋とは異なるサイドストーリー的な話にならざるを得ないので、いかに盛り上げられるかが腕の見せ所となります。
その点「仮面ライダーW FOREVER AtoZ/運命のガイアメモリ」は成功していましたよね。
逆に昨年の「仮面ライダーオーズ WONDERFUL/将軍と21のコアメダル」はサイドストーリー過ぎてうまくいっていなかったように思います。
このうまくいった、いかなかったのポイントは、やはり作品そのものが持つテーマみたいなものを劇場版にも上手く持っていけたかということではないかと思います。
「W」の場合はキーワードとして「相棒」があげられると思いますが、このあたりをしっかりと出しつつ、劇場版としてのスペシャル感が出せていたかなと。
「オーズ」についてはスペシャル感、お祭り感はありましたが、「オーズ」の持つ作品テーマのようなものは劇場版は弱く、サイドストーリー以上のものにはならなかったように感じました。
今回の劇場版の「フォーゼ」については、劇場版としてのスペシャル感をしっかり出していました。
フォーゼの40個のアストロスイッチを使用しての、連続モジュールチェンジを見せきるというのは、それだけでスクリーンに釘付けになりました。
スイッチの連続使用があるというのは、雑誌の記事で知っていましたが、パラシュートスイッチとかメディカルスイッチは戦闘中は使いづらいだろうと思っていました。
うまくアクションの流れに織り込んでいきましたよね。
これができるのはアクションも監督することができる坂本監督ならではと思います。
仮面ライダーの面々がみんなで宇宙に行くという話は、やや強引感がある感じもしました。
「ロボットと友達になる」てのはさすがに強引だろうと。
あまりこのあたりを強く出し過ぎると、テレビシリーズで弦太朗がやっていること(学園のみんなと友達となる)が嘘くさく見えてしまうような気がしたのです。
学園のみんなと友達になるというのは、それだけで荒唐無稽な感じがあるのですが、それをやれそうだと思わせる力が弦太朗というキャラクターにはあり、それにより嘘くささみたいなものを払拭しているように思えるのですよね。
でも「オーズ」のようにお祭り感で終わらせずに最後には「友情」「絆」といった「フォーゼ」という作品が持っているテーマをしっかりと出したところで、テレビシリーズとの地続き感を出し、さらには感動もさえてくれました。
やはりジンときたのは、弦太朗を助けるために今まで彼が関わった人々が、彼のためにそれぞれが力を貸そうとするところ(40個のスイッチを押すシーン)です。
このシーンは「運命のガイアメモリ」で風都の人々の思いがWに力を与え、ゴールドエクストリームという最強フォームにさせた場面を思い起こさせます。
弦太朗が今までおせっかいとも言えるほどに友情を結んできたことにより、何人もの人が救われました。
弦太朗に救われた人々が、逆に彼を救う。
友情というのは互いに困難な時に力を貸せるような間柄になるということ。
そういった「フォーゼ」のテーマが本作にも強く現れていたと思います。
僕は以前「フォーゼ」が放映され始めた一ヶ月後くらいに、怪人として登場した生徒たちもその後も登場してくるだろうという記事を書きました。
「フォーゼ」という作品は「友情」をテーマにしています。
「友情」はそのときだけで終わるものではありません。
その場限りの「友情」はほんとの「友情」ではありません。
継続してこその「友情」。
だから本作においてテレビシリーズで関わった登場人物が登場し、弦太朗のためにスイッチを押すということはとても重要なことなのですね。
逆にこれがなかったらこの作品はただのお祭り映画で終わってしまっていたかもしれません。
とはいえ「仮面ライダー」の映画というのはお祭り的なところも楽しみの一つ。
以下では散文的にお祭り的に楽しかったことを書きます。
まずは「宇宙鉄人キョーダイン」ですね。
以前、「フォーゼ」が発表されたときにまるで「キョーダイン」のスカイゼルのようだと書いたのですが、まさにそのスカイゼル(本作ではスカイダイン)が登場するというのは、感慨深いですね。
オリジナルのようにスカイジェットと、グランカーになってくれるし。
このあたりはオールドファンへのサービスですよね。
オールドファンに向けたサービスと言えば、やはり「大鉄人17」でしょうか。
これまたこの前、「XVⅡ」は「17」のことではないかという記事を書きましたが、これは予感的中でした。
まさか劇中で「ブレイン」まで出てくるとは思いませんでしたが・・・。
仮面ライダー部の面々もアクションでも活躍。
美羽先輩のタンクトップ姿は「エイリアン」のリプリーみたいでしたよね(坂本監督なら意識しているはず!)。
隼も死亡フラグをたてつつもカッコよくやっていましたので、美羽と再びいい感じになれるのではないかと。
このあたりのちょっとした恋愛っぽい感情があるのは学園ものの要素を持つ「フォーゼ」ならではですよね。
恋愛的要素と言えば、流星と友子は、もう仮面ライダー部のみんなの公認の仲って感じなのですかね?
友子がさりげなくいつも流星のとなりにポジショニングしているんですよね。
このあたりの乙女っぽいところがある友子はけっこうかわいい。
賢吾もけっこうアクションしてましたが、体は大丈夫かと余計な心配をしたりもしました。
あと最後に恒例で登場した新ライダー「仮面ライダーウィザード」。
デザインを見たときは、けっこうシンプルだなと思いましたが、動いている姿を見るとけっこうカッコいい。
コートのような裾を払う仕草とか、ケレン味のある感じが、フォーゼとは違う感じがこれはこれでありかなと(「キバ」に通じるところもありますが)。
これはまた放送開始を期待しましょう。
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コメント
メビウスさん、こんにちは!
いやー、40個同時押しはまさに「フォーゼ」のエッセンスがつまったシーンでしたよね。
坂本監督ならではの40個スイッチのコンプリート使用も見応えありました。
宇宙鉄人は僕はけっこう観ていたので、スカイミサイルとグランカーの合体形態はおおっーて感じになりました。
それにワンセブンもかな。
最近、過去の東映作品が再登場というのが多いですね。
次第に「アベンジャーズ」化しているような。
ウィザードはフォーゼに比べてオーソドックスなデザインなので、どうだろと思っていましたが、動きをみるとケレン味があって、フォーゼと違うカッコよさがありますね。
「ゴーカイジャー」の宇都宮プロデューサーの初ライダーですし、期待したいと思います。
投稿: はらやん | 2012年8月13日 (月) 08時50分
こちらにもお邪魔します。
坂本監督だからアクションだけでお腹一杯になれそうな感じでもあったのですが、友情・絆といったフォーゼのテーマもブレていなかっただけに、今回の劇場版も見応えがあったと思いますね。特にアストロスイッチ40個同時押しは皆の友情出演もあって『メガMAX』の時よりも感動してしまいました^^
ただ宇宙鉄人の方は思い入れというものがないせいで、『そうそう♪』とか『あったあった♪』という感情が沸いてこなくて普通の鑑賞になっちゃいましたけど、坂本監督お得意のド派手アクションで自分は補う形となりました(汗
あとウィザードはかなりカッコイイですね。指輪で変身したり魔法を使うといったファンタジックな部分は確かにキバに近い所があるかも?言動から飄々とした主人公が伺えそうですけどどうなるやら?クライマックスのフォーゼも気になりますけど、ウィザードも楽しみですね♪
投稿: メビウス | 2012年8月12日 (日) 21時42分