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2012年8月26日 (日)

「仮面ライダーフォーゼ」 未来と可能性

「仮面ライダーフォーゼ」ですが、その姿を一番最初に雑誌で観た時は大いに驚きました。
今までも平成仮面ライダーはデザイン的にもかなりチャレンジをしたもの(「響鬼」や「W」等)がいくつかありましたが、その中でもかなり異質なものと言っていいでしょう。
顔がロケットのフォルムって・・・。
そして、その物語の題材は「学園もの」であり、そしてかつ「宇宙」だと言うことです。
仮面ライダーで「学園もの」という取り合わせにも驚きがありましたし、そしてまた仮面ライダーと「宇宙」というのも今までにない試みでした。
そもそも「学園もの」と「宇宙」の取り合わせというのは、仮面ライダーでなくてもそもそも相性がいいのかという・・・。
本作を担当した東映の塚田プロデューサーは、今までも「仮面ライダーW」では「探偵もの」というように、仮面ライダーというシリーズに今までにないエッセンスを取り込むことで成功してきました。
ですので突飛な取り合わせでしたが、シリーズが始まる前には不安はありませんでした。
どのようにこういった異質の題材を仮面ライダーとして調理してくれるのだろうという期待感のほうが高かったように思います。
さらには今回の「フォーゼ」についてはメイン監督を坂本浩一監督が務められました。
坂本監督は「仮面ライダーW」の劇場版を監督し、元々アクション畑の出身らしい、キレのいい演出で新風を仮面ライダーに注ぎました。
その坂本監督がメインでしたので、期待度が高まります。
あまり期待度が高いと、下手をするとがっかり度も高まるわけですが、「フォーゼ」についてはその心配は必要ありませんでした。
1話〜4話までをメインの坂本監督が撮るという異例のスタートで「フォーゼ」は始まりました(東映ではメイン監督はパイロットと呼ばれる1、2話を担当し、世界観を作り上げるのが普通)。
この4話までで、「フォーゼ」の方向性が明確化され、その後ぶれることなく1年間を走りきったように思います。
それほどまでにこの1〜4話の出来は良かった。
坂本監督は「フォーゼ」に関わる劇場版も2本撮ったので、テレビシリーズの方は何回か離脱しますが、それでも要所々々で監督をし、特に29〜32話(メテオ編のクライマックス)を再び4本連続で担当するというこれまた凄いことをやってのけ、そして最終の2話も担当しました。
まさに「フォーゼ」は坂本監督らしさが強く出たシリーズであったと思います。
もちろん他の監督の回も面白く、石田監督の「宇宙キターッ!」はやる度毎に派手になるとか、諸田監督はなぜかご本人が出演されサブキャラ(最終回にも登場)として定着してくるとか、いろいろ楽しいところがありました。
「ゴーバスターズ」がスタートしスーパー戦隊と監督入れ替えも起こったので、渡辺監督が久々ライダーを撮ったというのもよかったですね。

さて、冒頭で「学園もの」と「宇宙」という異質な題材がどのように調理されたかという点です。
最終回まで観終えたところで思ったのは、この「学園」と「宇宙」という題材は想像していたほど異質ではなかったということです。
この二つの題材は、「未来」と「可能性」という言葉で繋がります。
「学園」で登場するのはもちろん生徒たちです。
本作では天ノ川学園高校が舞台となり、その生徒たちが登場します。
高校生である彼らはそれぞれに将来への望みを持ち、また今の自分に対しての悩みを心に秘めています。
「仮面ライダーフォーゼ」という作品は彼ら生徒たちが、自分の望みや悩みに立ち向かい、そして自らの、または仲間の力を得て、成長していくという物語です。
1クール目ではレギュラーである仮面ライダー部のメンバーにスポットがあたっていましたが、それ以外の生徒たちについても一回限りの登場というわけではなく、その後が描かれることにより、着実に彼らが成長していっているということが伝わってきます。
成長していく彼らは「未来」への「可能性」を表しているのです。
そして「宇宙」。
「宇宙」というのは以前はまさに「未来」そのものでした。
アポロでアームストロング船長が月に降り立ったのはもう40年以上前。
その頃、人々はほどなく人は宇宙へ進出していくだろうというように思っていたと思います(ラスト2話で我望理事長の子供の頃が描かれたのは象徴的)。
しかしいつしかその「未来」は現実的な経済により、次第にその門が閉じられてきました。
経済的な理由から、日本ではなかなか宇宙開発への予算がとれずに先進国から遅れをとり、またアメリカでも同様の理由で民間への転換が図られています。
そういう状況の中、一昨年の「はやぶさ」プロジェクトの成功は、一般の人々が再び「宇宙」に目を向けるきっかけとなったのです。
アメリカでも月面基地の建設が計画されたり、その先には火星も視野に入れてきています。
再び「宇宙」は「未来」となり、そこへ至る「可能性」を持ち始めてきているのです。
異質だと思っていた「学園」と「宇宙」は、ひとりひとりの個人が、そして人類が「未来」に向かって成長していく「可能性」を持っているという点で共通であったのです。

「宇宙、無限のコズミックエナジーを秘めた神秘の世界。
 若者たちはアストロスイッチでその扉を開き、未来を作る。
 Space on Your Hand!
 その手で宇宙をつかめ!」

オープニングで流れるこのナレーションがまさに「未来」と「可能性」を表現しているのです。

そして「フォーゼ」を語る上で欠かせないキーワードが「友情」です。
「フォーゼ」が語る「未来」へは到底一人の力では到達することはできません。
これを「未来」=「宇宙」と語ることにより、「フォーゼ」はより明確にしています。
「未来」を作るということは一人の力でできるものではなく、皆の力を合わせなければいけない、それを「フォーゼ」という物語は語っているのです。
ですので、フォーゼの究極の敵となるのが、自らの力のみで宇宙へ行こうとする我望であるというのは必然なのです。
「未来」というものはテクノロジーが発達すれば手が届くようになるものでは決してなく、それは人々が気持ちをひとつにすることによりつかめるものなのですね。
そういうことは人は普通にわかっているのだと思います。
けれど実際の世の中は、自分さえよければという人(その究極が我望なわけです。名前も象徴的ですね)が多く、辟易とすることもあります。
ただそれが正しいとは誰も思っていない。
だからこそ「フォーゼ」という物語が、真正面に「友情」「友達」を描くことにより、人は心を打たれるのだと思います(僕もなんど泣かされたことか)。
「フォーゼ」が今までの仮面ライダーと大きく異なるのは、その力の源が「友情」すなわち「皆の力をあわせたもの」であるということですね(コズミックステイツはそれを象徴的に表しています)。
昭和の頃より、仮面ライダーというのは孤高であることがひとつのスタンダードな立ち位置でした。
改造人間であることの孤独、そして力を得たものとしての義務感で、彼らは戦いました。
孤高ゆえの力と言っていいでしょう。
しかし、フォーゼは異なります。
昭和ルックな学ランにリーゼントという出で立ちの主人公如月弦太朗は、「天高の連中全員と友達なる男だ」と宣言します。
弦太朗自身がひとり強いのではなく、彼は彼に力を貸してくれる仲間たちがあってこそ、彼は力を発揮することができる。
「友情」「仲間の力」こそがフォーゼの力の源泉であるという点が、今までのライダーとは異なるところだと思いました。
この如月弦太朗というキャラクターのぶれのなさというのが物語の軸になっていたと思います。
彼は人の良いところも、悪いところも含めて、受け入れる度量がある男でした。
こういった彼の軸は物語の頭から最後まで、終止ぶれることがありません。
平成仮面ライダーでは悩めるヒーローが描かれることが多かったですが、弦太朗は悩まない、ぶれない。
それが彼の強さといえば、強さでしょう。
複雑化している社会や人間関係が現実には多い中で、彼のシンプルな生き方というのはとても魅力的に見えました。

途中でオープニングナレーションに触れましたが、そういう点で「仮面ライダーフォーゼ」という作品は最初から最後までテーマにぶれがない作品だったのだと思います。
「学園」「宇宙」は異質なものと僕は思いましたが、オープニングナレーションを改めてしっかり聞いてみると、制作サイドは元々から意図した共通項を見いだしていたということがわかります。
弦太朗というキャラクターと同様に、一年間ぶれずにテーマを追い続けたスタッフに敬意を表したいと思います。

前作「仮面ライダーオーズ」の記事はこちら→

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