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2012年8月26日 (日)

本 「ヒトリシズカ」

誉田哲也さんの作品は女性が主人公となることが比較的多いです。
「武士道」シリーズ、「柏木夏美」シリーズ、「姫川玲子」シリーズ、「ジウ」シリーズ等。
「武士道」シリーズ、「柏木夏美」シリーズでは女性のキラキラとした青春といったポジティブな側面が描かれますが、逆に「姫川玲子」シリーズや「ジウ」シリーズについては、ある種の女性の抱えた暗部というものに触れられます。
姫川玲子は高校生のとき暴行に合い、そういった犯罪に対しての憎しみにより、警察官になりました。
彼女は物語の中でも何度かそういう場面があるように、本当に犯罪者を「殺したい」と思うほどの瞬間があるわけですね。
彼女はその暗い感情をギリギリのところで押さえつけ、警察官として職務を全うしています。
「ジウ」の伊崎基子は姫川を一線をやや越えているところもありますが、それでも彼女は警察官の側にとどまっています。
女性は、男の暴力に対してはどうしても叶わないことが多い。
その被害にあった女性は、それに対しての怒りを抱え込むか、外に出すかしかない。
姫川の場合はその怒りをなんとかコントロールをし、警官という職業を通じて正しい手法で、その怒りを噴出させていると言っていいでしょう。
本作の主人公も、そういった怒りを内面に抱えている女性となるわけですが、その怒りの噴出が犯罪という形となっています。
そういう点ではこのキャラクターは姫川の裏と言ってもいいかもしれません。
そして本作がユニークであるのが、彼女がどのような人物であるのか、どのような怒りを抱えているか、それが連作短編の中で微かに感じるだけで、最後まで明らかになりません。
しかし、彼女はただ怒りのために暴走しているだけではないということも最後にはわかってきます。
それは彼女にとっても、読んでいる読者にとっても救いになるような気がします。

「ヒトリシズカ」誉田哲也著 双葉社 文庫 ISBN978-4-575-51493-3

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受信: 2012年9月 1日 (土) 16時08分

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