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2012年6月18日 (月)

本 「連続殺人鬼カエル男」

「さよならドビュッシー」で「このミス大賞」を受賞した中山七里さんの作品です。
ちなみに「さよならドビュッシー」は未読ですので、中山さんの作品は初めて読みました。
この作品、ミステリー好きにはオススメです!
読んで損はありません。
終盤の驚愕のどんでん返しが見事です。
こちらの作品は「さよならドビュッシー」と一緒の時期の「このミス」選考会で、最後まで両方の作品が残ったそうです。
大賞は「さよならドビュッシー」がとったものの、こちらの作品も良かったため出版されることとなったとのことです。
こちらを読む限り、こっちが賞をとったと聞いても、違和感は感じませんね。
この作品、最後のどんでん返しも見事なのですが、僕がすごいなと思ったのは中盤くらいの集団パニックの心理の描写ですね。
カエル男と呼ばれる殺人犯により、その現場となった飯能市の住民はパニックに陥ります。
けれども今までも連続殺人といったものはなかったわけではないのに、この事件では住民はいい知れぬ不安に苛まれ、パニックに至るのです。
その不安というのは、誰が狙われるのかがまったくわからないこと、犯人像がまったく見えないことです。
一般大衆といったものは、事件が起きてもそれは自分が直接それに関わることはないと、無意識に思っています。
だからこそ重大事件が発生しても、興味本位の報道は後を絶ちませんし、それを観る人も数多くいるわけです。
そういうことも、自分は部外者であり、傍観者である無意識の安心があるからです。
この小説で取り上げられる殺人事件で、住民たちは「自分も狙われるかもしれない」という不安に苛まれるのです。
そしてその相手は皆目見えない。
僕は読んでいて、これは何かに似ていると思いました。
これは昨年の福島の原発事故以降の放射能汚染などの問題に、特に東日本の住民の反応に通じるものがあるのではないかと。
放射能も見えない。
そして自分もその被害に合うかもしれない。
自分の家を離れればいいが、そうもいかない。
漠然とした不安、そして切実な不安にずっと住民は曝され続けている。
これは本作で描かれる飯能市の住民たちの姿に繋がります。
最後のどんでん返しもさることながら、こういった集団心理、集団不安を活写したところが、本作はすごいなと思いました。
中盤以降は手に汗握る展開で、ページを繰る手が止まらない感じでした。
最後にもう一度、オススメです。

「連続殺人鬼カエル男」中山七里著 宝島社 文庫 ISBN978-4-7966-8089-9

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コメント

daisuki-jonnyさん、こんにちは

最後のほうのどんでん返しはすごかったですよね。
「ええっー」って感じで。
確かにキツいところはありましたが・・・。
「さよならドビュッシー」は本作に比べてキツいところはほとんどないんですが、最後のほうで「ええっー」ていうのは相変わらずあります。
僕は昨日「さよならドビュッシー」関連の「おやすみラフマニノフ」を買いました。

投稿: はらやん | 2012年8月19日 (日) 08時31分

はらやんさん、こんばんは~
私は本もミステリー好きなので
はらやんさんの感想を読んでるだけで読みたくなり
いつもの図書館で順番待ちしました。
終盤ははらやんさんと同じで、ドキドキしながら
一気に読みました。
そのドキドキが1度じゃなく2度あり(笑)
本当に驚きの結末でした!面白かったです。
ただ、読んでいてキツイ所もあり・・・
どうしても読めない所がありました。

「さよならドビュッシー」も今、順番待ちです。
楽しみです~
又、映画もそうですが、はらやんさんのお勧め本も楽しみにしています♪


投稿: daisuki-johnny | 2012年8月18日 (土) 23時38分

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