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2012年6月17日 (日)

本 「悪夢のクローゼット」

木下半太さんの「悪夢」シリーズの最新作です。
「悪夢のエレベーター」を読んだとき、そのおもしろさにびっくりして、その後の木下さんの作品は追いかけるようになりました。
この作品はほぼワンシチュエーションであり、登場人物も限られた中で、全く先を読ませない展開でぐいぐいと引き込んで読ませてくれます。
特に後半のどんでん返しの連続は読むのを止められないほどでした。
木下さんはもともと舞台出身なので、こういったワンシチュエーションは得意とするところなのかもしれません。
しかし「悪夢のエレベーター」「悪夢の観覧車」まではそういった勢いのような感じがありましたが、その後の「悪夢のドライブ」「悪夢のギャンブルマンション」「悪夢の商店街」はややもの足りない感じもありました。
トリッキーな仕掛けが木下さんらしさではあるのですが、そちらのほうを意識しすぎているというような感じがしていて、なんとなくバランスが悪いような気がしたものです。
けれども本作「悪夢のクローゼット」は初期の「悪夢のエレベーター」に匹敵するようなおもしろさでありました。
限られたシチュエーションであるというのも共通点ですが、何度となく起こるどんでん返しも健在。
ストーリーが展開していくに従い、限られた登場人物、なかでも主人公、そしてもう一人のキャラクターの背景が次第に明らかにされていきますが、これにより物語に引き込まれていきます。
その背景というのが、本作で展開されるミステリー、またトリックなどに密接に関係してくるという構成もさすがです。
久しぶりにキレ味のよい「悪夢」シリーズを読ませていただきました。

「悪夢のクローゼット」木下半太著 幻冬舎 文庫 ISBN978-4-344-41743-4

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