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2012年6月25日 (月)

「非公認戦隊アキバレンジャー」 本家によるセルフパロディ(マジ)

「非公認戦隊アキバレンジャー」、その存在を知ったのは、某特撮雑誌でしたでしょうか。
スーパー戦隊シリーズというのはパロディや、なんちゃってもののネタになることが多いのは、よく知られているところ。
「○○ジャー」という名のご当地戦隊ものは数しれず、また低予算のビデオコンテンツなども雑誌の広告などにはよく載っていますよね(つか、普通の人は見ないか、こういう雑誌)。
最初はオタクを狙った、この手のなんちゃってものの一つかと思っていたのですが、よくよくスタッフ名を観てみて、えらく驚きました。

制作:東映(え、本家じゃん!)
プロデューサー:日笠淳(東映のベテランプロデューサーであり、スーパー戦隊も数多く手がけている!)
脚本:荒川稔久(この間まで「海賊戦隊ゴーカイジャー」のメインライターを務める。スーパー戦隊の知識は半端なし!)
監督:田崎竜太(平成「仮面ライダー」のパイロット監督を一番多く担当!アメリカでは「パワーレンジャー」も監督!)
アクション監督:大橋明(AAC所属、最近では「GARO」のアクション監督も務め、ワイヤーアクションを巧みに扱う!)
音楽:川井 憲次(東映作品初参加なるも、押井守監督とのコンビが数多く、その曲は川井節と言われるほどに個性的!)

こ、この布陣は・・・、なんちゃって深夜番組のレベルじゃないぞ。
本家のスタッフと比べても遜色なしの豪華な顔ぶれ。
「ドカベン」のスーパースターズか、マーベルのアベンジャーズかといった感じ(なんじゃその例え)。
オンエアされる曲はBS朝日、東京MXの深夜1:30という超深い時間帯ではありますが、このスタッフィングに惹かれ、録画して観ていました。

<ここから先はネタバレ、良い子は見ちゃダメ!>

アキバレンジャーというのは、オタクの街秋葉原を舞台に、かの街を再開発しようとする邪悪な企業「邪団法人ステマ乙」と戦う三人組のヒーロー。
アキバレッドこと赤木信夫は、29歳にして「スーパー戦隊」オタク、そして最近美少女アニメ「ズキューーン葵」にも惹かれているという、ものすごーくイタイ青年。
アキバブルーの青柳美月は、格闘マニアな美少女高校生、ややツンデレ系。
実は意外にも「ズキューーン葵」に夢中だったりする。
そしてアキバイエローの萌黄ゆめりあ(CN)は、コスプレ腐女子、本当は24歳OLだったりします。
この三人が、秋葉原という狭い空間でセコい敵と戦い、そして認められいつかは日曜7:30のスーパー戦隊枠でテレビ化されることを願う物語、それが「非公認戦隊アキバレンジャー」です。
スーパー戦隊枠での放映=公認ってことで、まだそれが叶わないので「非公認」ってわけですね。
こう書くとオタクたちの残念な感じのお話かと思いきや、これが意外にも壮大な物語になっていきます・・・。
本作は東映のセルフパロディとも言うべき作品なのですが、「公認さま」(本家スーパー戦隊のことを本作ではこう呼ぶ)のキャラクターを登場させたり、BGMなどそのまま使うなど本家しかできないことを惜しげもなく披露。
特撮ファンは感涙の嵐です。
塚田P登場などは、マニアしかわからないけど、東映じゃなきゃできないし。
脚本の荒川さんは「海賊戦隊ゴーカイジャー」で過去のスーパー戦隊を巧みに物語に取り込みましたが、本作でもその力を遺憾なく発揮してます。
ただのマニアネタで楽屋落ちっていう感じではなくて、それもストーリーにけっこう絡ませてくるところがうまいですね。
「大いなる力」でなく、「大それた力」って・・・、うまい!
そこかしこの小ネタもマニアならば、うんうんと頷くところでしょう。
この作品、ただのセルフパロディということだけではなく、後半はまさかのメタフィクションへ変貌。
こんな展開になるなんて放送当初は予想していなかっただけに、ただただ呆然&興奮。
そして最後のラスボスが「八手三郎」って・・・。
これは特撮ファンしかわからんだろう!とツッコミをいれつつも、特撮ファンしか観ていないだろうから、ま、いいかと納得。
ちなみ八手三郎とは、東映のプロデューサーの共同ペンネームのようなもの。
数多くの東映特撮作品の原作者でクレジットされています。
「良い子は見ちゃダメ!」っていうのはあながちネタというわけではなく、メタフィクションで制作者側を感じさせてしまうということで、まだヒーローの存在を信じているちっちゃなお友達の夢を壊さないようにっていう配慮なのでしょうね。
ストーリーも手を抜いた感はなく、作品中盤のゆめりあ母のエピソードなどは、まさかの泣かせネタだったりもして驚きました。
それにしても本作全体に通じる「残念っぽい感じ」っていうのは、制作者側が本気で作って作っているからこそできるもの。
本気でなかったりすると本当に残念な感じになってしまうわけです。
アクションもマジ本気、音楽も川井節炸裂!
なのになんだか「残念っぽい感じ」が漂う。
これを狙って出すのだからすごい。
川井さんの音楽もスゴく良いです(主題歌の8ビット音には、そうきたか!と感心)。

怒濤の展開でいろいろありましたが、ステマ乙との戦いはまだまだ続くようで。
「あと6ヶ月は」というセリフが気になる・・・。
6ヶ月後に「帰ってきた非公認戦隊アキバレンジャー」をやるんじゃなかろうか。
ぜひ、やってほしい。

さて本作でアキバレンジャーの待機場所(というかだべり場所)となっていたのは「戦隊カフェひみつきち」でした。
その店のなかにはところ狭しとスーパー戦隊グッズが飾られていました。
先日、特撮ファンの先輩に連れられ、某新橋にある特撮バー(カフェじゃないよ、お酒出すとこね)にリアルに行ってきました。
「戦隊カフェひみつきち」より、その内部は100倍すごかった!!!
特撮グッズが山のように・・・圧倒されました。
飲んでいると、ずっとそこのテレビで「レインボーマン」が流れているという・・・マニアックな空間。
そちらでも「アキバレンジャー」は話題になっておりました・・・。

最後に「アキバレンジャーなら、こずこず推し!」(観ていた人しかわからんだろう)。

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