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2012年6月24日 (日)

「ベルセルク 黄金時代篇II ドルドレイ攻略」 喪失

2月に公開された「ベルセルク 黄金時代篇I 覇王の卵」の続編になります。
原作でも読み応えのあるドルドレイ攻略戦を本作では中心に置いています。
「覇王の卵」が公開された時は、原作マンガは未読でしたが、観てから読み始め、現在ちょうど本作で描かれているガッツとグリフィスの別れのところまで読み進めたところです。
原作のマンガは「サーガ」とも呼ばれるだけあって、かなりのボリュームがあります。
登場人物の背景の物語まで描こうとすると納まりません。
原作を読んでわかりましたが、「覇王の卵」、そして本作「ドルドレイ攻略」は原作マンガの重要なところをうまく切り取ってまとめあげていますね。
原作でそこそこボリュームをもって描かれているところをかなりばっさりと切っていたり、フラッシュバックなどで断片的に感じさせています。
それによって映画は主筋が逆に明確になっていると思います。
その主筋は、ガッツとグリフィスの関係性でしょう。
「覇王の卵」において、ガッツは「ただ生きている」という状態から、グリフィスにより「何かのために生きる」ということを知ります。
ガッツはグリフィスの志を叶えるために生き、そして戦うのです。
けれども1作目のラストでグリフィスの価値観を知り、自分がグリフィスに対等な友としてはまだ足りないということを知ってしまいます。
ガッツにとってはグリフィスは友であり、彼のために命を捧げても食いはないという存在であったのでしょう。
ここでガッツは一度、友を喪失したわけです。
しかしガッツは、グリフィスと対等な友になるためには自分がなぜ生きるか、何のために生きるかという志を持たなければいけないと覚ったのでしょう。
だからこそ彼は家族同然の鷹の団を去ろうとしたわけです。
しかし、それはグリフィスにとっては裏切りと同様の仕打ちであったのでしょう。
グリフィスは彼なりの特別な友情をガッツに感じていたのだと思います。
今までグリフィスが出会った人々は彼を求めました。
それに応えるか、応えないかはグリフィス次第。
選ぶ側であったのがグリフィスであったのでしょう。
しかし、ガッツが彼の元を去るということにより、彼は初めて「捨てられた」と感じたのだと思います。
だからこそいつになくグリフィスは感情的になり、その後の自爆的な行動により、それまで築き上げてきた地位を失ってしまうのです。
物語は急転しました。
グリフィスはどうなるのか、鷹の団はどうなるのか。
そしてガッツは。
原作もまだこの先は読んでいないので、展開が気になります。
ガッツとグリフィス以外で深く描かれていたのは、女千人隊長であるキャスカ。
キャスカはグリフィスに憧れに近い恋心を持ち、彼のために戦うことを厭いません。
しかしガッツにも惹かれている。
そういったキャスカの気持ちを深く描くほどに、彼女を、そして鷹の団の行く末に悲劇が待ち受けているような気がしてなりません。

作画は相変わらずの高レベル。
原作マンガは初期の頃なので、まだまだ三浦建太郎さんの画力も成長途中という感じで荒削りです。
それを読んで、本作を観ると画のレベルが高いので、見入ってしまいます。
作画監督の恩田さんは相変わらずうまいですよね。

前作のレビューのとき、グリフィスに「グイン・サーガ」のイシュトバーンとナリスをみた感じがしたということを書きましたが、本作ではグリフィスはよりイシュトバーンっぽくなっていますね。
影響を受けているかなと思っていたら、三浦さんは「グイン・サーガ」のファンらしいですね。
やはり・・・。
あちらは未完で終わってしまって残念ですが、「ベルセルク」は最後まで描き切ってほしいものです。

「ベルセルク 黄金時代篇I 覇王の卵」の記事はこちら→

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コメント

メビウスさん、こんばんは!

王妃のエピソードはばっさりいきましたよね。
これは映画では正解だったと思います。
前作でのユリウス暗殺とけっこうかぶるエピソードでもありましたし、これにより凱旋から二人の別れまで間をおかない展開になり映画としてテンポがよくなったと思います。

「グイン・サーガ」だと、前作でガッツがユリウスを暗殺したときに、意図せずにその幼い息子を手にかけたところなども「グイン・サーガ」っぽいなと思いました。
ナリスに命じられて、弟のユリウス(グインのほうね)が、モンゴールの幼い公子を暗殺しなくてはいけなくなるところが思い浮かびました。

投稿: はらやん | 2012年6月24日 (日) 21時37分

はらやんさんこんばんわ♪

はらやんさんも原作を手にとって読んで頂いてるようで、ファンの方が増えたみたいで嬉しいです♪既刊36巻と長めではありますが、映画と通してゆっくり読んでもらえればと思います^^;

さて、うまく切り取って纏めてるとあるように、確かに今回のドルドレイ攻略は自分もそう感じました。原作にあるキャスカの過去やフォス大臣と王妃の奸計などといった場面を回想にしたり切り取ったりしてて端折りのようにも思えましたが、逆に重要なシーンはブれずにちゃんと描いていたので、とても見応えがあった93分だったんですよねぇ。ゴア&エロスも逃げていなかったですし、声優さんもお見事。原作に対する作り手側の熱意を今回もひしひし感じてしまいましたw

でも性格は真逆ですけど、己の夢のためなら汚い事も厭わない野心家という点だとグリフィスは確かにイシュトバーンに似通ってますね。もしかしたら三浦さんも無意識にイシュトバーンを反映させたのかも?
個人的には前作のユリウス暗殺のように、今回も王妃を暗殺する汚れたグリフィスを観たかったですね。

投稿: メビウス | 2012年6月24日 (日) 19時01分

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