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2012年6月11日 (月)

「HOME 愛しの座敷わらし」 家族の中心

海外出張の機内で「HOME 愛しの座敷わらし」を鑑賞しました。
前日鑑賞した「幸せへのキセキ」も家族再生の物語でしたが、偶然にも本作もそうでした。
食品メーカーに勤める高橋晃一は岩手へ転勤(いわば左遷)となり、新居として古い茅葺の民家を住処として決めました。
妻の史子、長女の梓美、息子の智也、母親の澄代の家族もいっしょです。
史子は家族を一所懸命支える心優しい女性ですが、なにぶん都会暮らししかしたことがなく、田舎の暮らしに不安がいっぱいでした。
梓美は前の学校でいじめにあっていたらしく、新しい学校でも同じようなことをされるのではないかと彼女も不安な気持ちを抱えており、それが家族へ反抗的な態度として表れています。
智也は田舎の暮らしに興味をもちますが、小さい頃から喘息を持病としてもっており、やりたいことができないのがずっと不満でした。
澄代も田舎暮らしには不満はありませんが、少し認知症の気配が現れてきていたのです。
実は高橋家は東京にいるときから家族の間にはギクシャクしたところがあり、晃一は今回の転勤で環境を変えることにより、それが少し改善されるんではないかと考えたわけです。
晃一も母親いわく「ものわかりのいい子」で周囲となるべく波風を立てずに生きてきたタイプです。
娘の梓美が悩みを抱えているのはわかっていてもそれを踏み込んで聞いてあげることはできませんでした。
そんないろいろな問題を抱える高橋家が暮らす民家で不思議な現象が起こります。
見えないけれど何かがいる…。
それは座敷わらしでした。
高橋家の面々はその見えない存在を受け入れ、家族のように扱います。
冒頭に書いたように本作は家族の再生を描いた物語で、「幸せのキセキ」とも似通ったところがあります。
晃一は娘の梓美に妻の様子がおかしいので手を貸しくれと頼みます。
実は史子は座敷わらしを見えているのが自分だけではないかとなやんでいただけなのですが…。
けれど梓美にとって自分を頼って父親が力を貸してくれと言ってくれるのは嬉しかったに違いありません。
自分のことを信用してくれているのと、そして父親の気持ちというものが見えたからです。
このあたりは「幸せへのキセキ」でディランが「助けてよ」と言うシーンにも通じるところがあります。
また晃一が本社で「見えないけれど確かにあるものがある」と言う場面があります。
これは晃一曰く「愛」ということですが、見えない「愛」は何も言わないとやはり見えないままなのですね。
家族であり、血がつながっていて、近くに住んでいても、何も言わなければ伝わらない。
やはり本音を言うということが、家族の絆を深めることになるのでしょう。
高橋家にとってそのきっかけとなったのが座敷わらしであり、そして家族の中心としての場となったのが囲炉裏だったのですね。
結局晃一は本社に呼び戻されることになり、再び一家は東京に戻ります。
けれど以前のようにバラバラになることはないでしょう。
本音を語り合えるようになりましたし、また座敷わらしもいることですから…。

梓美が転校するところのシーンはうるっときてしまいました。
梓美を演じているのは「告白」にも出演していた橋本愛さん。
こういう陰のある役が似合いますね。
本作では前半の暗さと後半の明るさの落差が魅力的でありました。

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