「牙狼<GARO>〜MAKAISENKI〜」 まさにサーガとなった
雨宮慶太監督のライフワークとも言える「GARO」シリーズのテレビシリーズです。
昨年の10月からテレビ東京系列で放映されていましたが、やっと録画していたのを観終えました。
最初の「GARO」がオンエアされたのが2005年ということですから、もう7年も経っているのですね。
そのときはテレビ番組だとは思えないほどのCG特撮、また横山アクション監督によるハリウッドばりのワイヤーワークアクションにたいへん驚きました。
その後、日本の特撮シリーズでもCGの使用、ワイヤーワークアクションなどは普通に使われるようになっていきましたが、その先端をいっていたのが「GARO」であったと思います。
新シリーズについてもそのエッセンスが引き継がれ、パワーアップしています。
宣伝ではテレビシリーズなのに製作費10億円と言われており、それも納得してしまいます。
最終回の総集編では前テレビシリーズの場面も流されていましたが、やはりHD前ということで画面が荒く見えてしまうのは致し方ないところ。
逆に今回はHDに対応し高精細で、美しい映像を作っているのですから(それもテレビシリーズで)、驚くばかりです。
前テレビシリーズでは主人公である鋼牙とヒロインカオルの物語が縦軸としてありました。
カオルとの物語についてはそれで一応の決着となっており、その後のスペシャル版、劇場版ではカオルは登場しませんでした。
しかし、今回はカオルもすべての回で登場することとなっています。
鋼牙にとってカオルは、戻るべき場所、彼にとっての基準点となっているように思います。
最近の特撮ヒーローものの中では珍しく「GARO」では、ヒーローである鋼牙=GAROは揺るぐことのない存在です。
最強の魔戒剣士と言われ、その実力に誰も異を唱える者はいません。
最強である男が主人公というのはなかなか物語は作りにくいものではあるかもしれません。
前シリーズでは、その最強の戦士が、封印していた人としての想いを持つということがカオルとの関係性の中で描かれました。
本作においては最強の戦士である鋼牙、そしてその基準点となるカオルを揺るぎない軸として、物語はより大河性を持ったうねりをもっています。
そこに今までのテレビシリーズ、スペシャル版、劇場版で登場したキャラクター、されには本シリーズから投入された登場人物がからまっていき、より物語としてはスケールが大きくなっています。
主人公を鋼牙を巡る物語というよりは、「GARO」ワールドのサーガと言えるようになってきています。
鋼牙の同志でもある銀牙戦士ゼロ=零が中心となるエピソード(鋼牙がほぼ登場しない)もいくつかありましたが、これができるのも鋼牙=カオルの軸が盤石だろうからだと思います。
雨宮監督のビジュアル、そして物語は装飾的であり、過剰であるところもあるかもしれませんが、それこそが雨宮さんの最大の魅力であると思います。
出し惜しみをしないビジュアルイメージ、ストーリー、それはインフレーションを起こして破綻しそうに見えながらも、そうはならない。
最強の戦士を主人公に据えるということからして、雨宮監督という方には出し惜しみという考えは全くないのでしょうね。
ラスト数話のビジュアルについてはそれだけで劇場版になるのではないかと思えるほどのレベルであったと思います。
今までのキャラクターが総登場ということで、本作が総決算となるかと思いましたが、劇場版も製作されることとなったようですね。
まだまだサーガは続くようです。
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