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2012年4月 7日 (土)

本 「幻色江戸ごよみ」

こちらは宮部みゆきさんの時代物の短編集になります。
宮部さんの時代物は怪異をとりあげたものがいくつかありますが、本作もそういう作品の一つになります。
「こよみ」とタイトルにあるように、本作には十二編の短編が収録されています。
宮部さんの作品のレビューでは、僕は「純粋な悪意」というものが彼女の作品のテーマのひとつとなっていると書くことがあります。
しかし他にも、宮部さんの作品には「悪意」と対する「善良さ」であったり、市井の人の「ささやかな夢」について書かれることも多いのですね。
特に時代物では庶民の「ささやかな夢」であったり、「人情」がテーマになったりしていますが、本作はそれが色濃く出ていると思います。
本作の多くは怪異と関わってるものが多いですが、その出来事には「ささやかな夢」を求める人の業のようなものが根底にあります。
庶民には「ささやかな夢」ですら叶えることができなかったりしたわけです。
それでもその「ささやかな夢」を求めずには生きていけない。
そういう人の業が、本作で描かれる出来事に通じています。
「ささやかな夢」を求めずにはおれない人の業、そしてそれに注がれる宮部さんの優しい視線を感じる作品集であると感じました。

「幻色江戸ごよみ」宮部みゆき著 新潮社 文庫 ISBN4-10-136919-4

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コメント

こにさん、こんばんは!

短編なので、「神無月」も他の作品もあえて結末まで書き込まず余韻を残して終わってますよね。
このあたりの匙加減はさすがです。
宮部さんの作品はおっしゃるとおり「情」を感じる作品が多いので好きなのです。

投稿: はらやん | 2012年4月 7日 (土) 20時08分

どれも素晴しいと思いましたが「神無月」が一番心に残りました。
罪ではあるけれど、情としてはどうなのか。
宮部さん、流石ですね。

投稿: こに | 2012年4月 7日 (土) 14時48分

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12の月の12の話下町の人情と怪異 怪異ものより人情ものの方が心に残りました貧しくても真面目に暮らす下町の人々の話 特に良かったと思うのは「神無月」病弱な娘に満足な治療を受けさせてやる為に神様のいない月にだけ、年に一度強盗を働く男どんな男なのだろう、と男を話...... [続きを読む]

受信: 2012年4月 7日 (土) 14時46分

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