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2012年4月 1日 (日)

本 「世界の陰謀論を読み解く -ユダヤ・フリーメーソン・イルミナティ-」

世にいう陰謀論というものを時折聞きます。
アポロは実際には月にはいかなかった、このあたりはよく聞くような話ですが、9・11はアメリカの自作自演だった、3・11は地震兵器によるものだった(!)なんてのもあるようです。
個人的にこういうのは眉唾もので、信じちゃうのはどうかしてると思うわけですが、それでもインターネットの世界ではいろいろと噂が出ているようなのですね。
陰謀論なんてものは、映画や小説の世界では非常に使いやすい小道具のようなもので、そういうフィクションの世界で楽しむっていうのには向いているとは思いますけれども。
副題にあるユダヤ・フリーメーソン・イルミナティというのは、昔から陰謀論の黒幕として上がられていた集団ですね。
ユダヤというのは黒死病も彼らの仕業だったという話はよく聞く話かなと。
フリーメーソンというのは、ある儀式を経て会員になったものたちによる秘密結社で、フランス革命なども彼らに寄るものという話があります。
僕がフリーメーソンという言葉を知ったのは荒俣宏さんの「帝都物語」の中ですね。
イルミナティというのは「ダヴィンチ・コード」での影の秘密結社として有名になりましたが、これも昔から様々な陰謀の黒幕とされる秘密結社です。
噂されている陰謀というものは個々に実証して論破していくのは可能なものばかりです。
というよりあまりに荒唐無稽でそれを信じるほうがどうかしているような代物ばかりなのですね。
本著はその陰謀をどうこうというより、陰謀論を信じてしまう心理というのものについて掘り下げています。
陰謀論というものが出始めたのは、ヨーロッパで大きく社会が変わろうとしている時代でした。
旧来の精神面でのキリスト教支配、また政治的には王家貴族支配から、自由主義が広まり始めた時代です。
そのころに陰謀論というものが普及し始めました。
ユダヤにせよ、フリーメーソンにせよ、イルミナティにせよ、その陰謀論の根拠となる文書というものが上げられるのですが、それは実際にはなかったり、あったとしてもものすごく曲解していたりしています。
陰謀論というのは、旧体制派が新しく変わってしまう社会に対して、その流れに竿をさすためにでっちあげたものであるといえます。
基本的に現在語られている陰謀とういものはこの時代に大枠の型はできていて、その後の陰謀論というものはその型をアレンジしたり、組み合わせたりしているだけのバリエーションでしかないのですね。
元々はキリスト教原理主義的なものがベースにあったものですが、現在においてはそこも場合によっては薄れてしまい、でき上がった型の部分が一人歩きしている感もあります。
例えば、オウム真理教は彼らが陰謀に巻き込まれていると主張していましたが、そこでの陰謀はそれまで使い古されてきた陰謀の焼き直しばかりなのですね(それこそ「トンデモ本」に載っているような)。
その元ネタはそもそもキリスト教原理主義からくるものであるのですが、それをオウムはいいように都合の良いところだけを抜き出しているわけです。
さらには引用した陰謀論それぞれが矛盾したりもしているのですが、そういうことをあまり彼らは気にしないようです。
どちらかと言えばもともとある主張があり、それに緊迫感を与えるために丁度いい陰謀論のネタを肉付けしているといった感じなのでしょう。
それはオウムに限らず、アメリカやその他で言われている陰謀論も似たようなものなのです。
陰謀論そのもの自体は、あまりに突拍子もなくて論破するのは容易ですが、それを信じてしまうほうの心理への対処はなかなかに難しい。
本著も最後で言っていますが、政府などが言う事実に対して疑問の目を持つことは大切です。
福島原発の問題などでは、やはりそういう目で検証する必要はあるでしょう。
しかしそれは健全な懐疑であるべきで、陰謀論のようなものがあったとしても冷静な目で検討する必要があるでしょう。
震災のときもいろいろなデマがでました。
そういうデマのいくつかには陰謀論的なものもあったということです。
それらについてはやはり冷静な目で情報を解釈するという能力が自分たちにも必要であると思いました。

「世界の陰謀論を読み解く -ユダヤ・フリーメーソン・イルミナティ」辻隆太郎著 講談社 新書 ISBN978-4-06-288246-3

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コメント

ryokoさん、こんばんは!

「ナショナル・トレジャー」はまさに陰謀論でよく言われる題材を扱っている映画ですよね。
僕はフリーメーソンを知ったのは、小説の「帝都物語」でした。
陰謀論で語られるのは、ほとんどが眉唾ものなんですけれど、それをお話として楽しんでいるぶんにはいいんですけれどね。
けっこう震災のときのデマなどももっともらしいものも多くて、おっしゃるように見極める目を持つことが大事なのだと思います。

投稿: はらやん | 2012年4月10日 (火) 23時21分

ryokoさん、こんばんは!

「ナショナル・トレジャー」はまさに陰謀論でよく言われる題材を扱っている映画ですよね。
僕はフリーメーソンを知ったのは、小説の「帝都物語」でした。
陰謀論で語られるのは、ほとんどが眉唾ものなんですけれど、それをお話として楽しんでいるぶんにはいいんですけれどね。
けっこう震災のときのデマなどももっともらしいものも多くて、おっしゃるように見極める目を持つことが大事なのだと思います。

投稿: はらやん | 2012年4月10日 (火) 20時52分

こんばんは~。
面白そうな本ですね。
私が「フリーメイソン」を知ったのは「ナショナル・トレジャー」でした。
その後、何冊かの本を読み、歴史ある真面目な団体で、「秘密結社」といったものではないと知りました。フランス革命や、アメリカ建国、グラバー邸のグラバーさんもメイスンで長州5や坂本竜馬にも影響を与え幕末の日本の夜明けにも関わっているとか。

ネットや出版物など、色んな噂、陰謀説が飛び交う中、何が本当かを見極める目を持つことが大事ですね。でも、難しい~。
ご紹介の本、読んでみたいと思います。

投稿: ryoko | 2012年4月 9日 (月) 01時35分

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