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2012年3月16日 (金)

本 「コロヨシ!!」

「となり町戦争」「失われた町」の三崎亜記さんの作品です。
文庫の帯には「前代未聞の奇想青春小説」とあるように、青春小説に分類される作品だとは思います。
巻末の解説にも「DIVE!!」や「風が強く吹いている」等がいっしょにあげられているように、スポーツを物語の中心においた青春小説と言えます。
ただ書いているのは三崎亜記さんなので、ただのスポーツ青春小説となっていません。
本作で取り上げられているスポーツは「掃除」。
この「掃除」は、普段自分たちが行っている「掃除」ではありません。
箒様の「長物」を振り、ほこりを見立てた「塵芥」という羽子板のはねのようなものを巻き上げ、それを空中でコントロールする技術の芸術点、技術点で競うという架空のスポーツです。
三崎亜記さんはデビュー作の「となり町戦争」からそうですが、一見我々が普通に暮らす日本のある街を舞台にした作品のように見えながらも、それは三崎さんが作った架空の世界であるという作品が多いです。
そこにはその物語世界ならではの社会、ルール、法則などがあります。
三崎さんのすごさというのは、そういう現実とは異なる世界を作り上げる力技を持っているところだと思います。
本作は「掃除」という架空のスポーツを作り上げていますがそれだけにとどまりません。
登場人物が暮らす世界は日本のようにも見えながらも、まったく違う世界であり、歴史であるわけですが、そういう設定などを三崎さんは細かいところまで作り上げているんですよね。
その世界での「常識」みたいなものまでを細かく作り上げているんです。
だからこそ、現実とは違う世界ではありながらも、非常にリアリティを感じる世界観になっています。
世界観が薄っぺらくないわけですね。
このあたりの世界構築力というのは、いつも三崎さんの作品を読むとすごいなと思うところです。
「となり町戦争」「失われた町」などはちょっと読み心地が重めであったりするので、ちょっと手を出しにくい人もいたかもしれませんが、本作は「奇想青春小説」とあるように、一風変わった世界観ではありますが、そこで展開される物語は青春小説の王道である「成長」であったりするわけです。
なので読み心地は重めではなく、軽やかに読み進めることができます。
そういう点では、解説で「DIVE!!」や「風が強く吹いている」などの爽やかなスポーツ青春小説があげられていたのもわかる気がします。
読み終わって、この世界観でもうちょっと続きを読みたいなと思っていたのですが、今日書店を流していたら続編が出ていました。
やはりみなさんそう思ったのでしょうね。
今度続編も読んでみようかと思います。

「コロヨシ!!」三崎亜記著 角川書店 文庫 ISBN978-4-04-100060-1

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受信: 2012年3月30日 (金) 15時53分

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