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2012年3月24日 (土)

「ウルトラマンサーガ」 諦めない勇気

こちらの作品、約1年ぶりのウルトラマンの劇場版になります。
登場するウルトラマンは直近の2作品「大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE」「ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国」で中心となっているウルトラマンゼロ、そして平成ウルトラマンと呼ばれるウルトラシリーズから、ウルトラマンダイナとウルトラマンコスモスとなります。
僕はメビウスを除く平成ウルトラマンのウルトラシリーズはまったく観ていませんので、昭和のウルトラマンに持っているような思い入れがほとんどありません。
最近の映画でもダイナやティガも出てきていましたが、昭和ウルトラマン(とメビウス)とは全く作品世界が違うにも関わらず登場するので、個人的には無理矢理感を感じていました。
作品世界といっても観ていないのであまり理解していませんが。
知っているのはコスモスが怪獣を倒さないウルトラマンというくらいかな。
ですので、本作はゼロとダイナとコスモスが出るということであまり思い入れのないウルトラマンなので、あまり期待せずに観に行きました。
AKBメンバーが出るということで話題にもなりましたが、前田敦子さんくらいしか顔がわからないのでこちらにも思い入れなし。
映画が始まってしばらくは、ちびっ子たちがでてきたり、AKBメンバーによる女性だけの防衛隊(チームU)とか出てきて、「うーん、これはやはりファミリー向け、アイドル好き向け映画なのかしらん」と思いながら観ていました。
しかし、行方不明になっているウルトラマンダイナ=アスカの話がでてくる中盤くらいから、俄然ストーリーが盛り上がっていきます。
ゼロに変身する能力を持つことになった主人公タイガはピンチになっても変身しようとしません。
彼が幼い頃に怪獣に襲われたときダイナが人々を助けたのですが、彼の両親は命を落としてしまいました。
タイガはそれから自分の力だけ生きる、そして自分の力だけで人々を守るというように思うようになったのです。
そのため彼はゼロの力を使おうとしないのです。

ダイナを慕う子供たちやチームUのメンバーの話から、ダイナを観ていない僕にも、アスカは人々を守るということを揺るぎない勇気をもって行っていた男だということが伝わってきます。
またコスモス=ムサシは怪獣を倒さずに、慈愛の心で怪獣を救うウルトラマンであるということも描写されます。
ダイナが勇気、コスモスが優しさというヒーローが持つべき心を象徴しているように思いました。
そしてまたチームUのメンバーは本物の地球防衛隊ではなく、ただの素人であったということがわかります。
彼女たちはバット星人の侵略により逃げてきた子供たちに出会い、彼らを安心させるために地球防衛隊だと嘘をつくのです。
しかし彼女たちはその嘘を実現しようとします。
子供たちを守ろるために彼女たちは素人ながらも戦い続けてきたのです。
けれども3人のウルトラマンたち、そしてチームUも最強の怪獣ゼットンによって敗北させられます。
しかし負けてもダイナ、コスモスは再度立ち上がり、そしてまたゼロ=タイガも同じように諦めずに立ち上がるのです。
この作品はタイガが、ダイナ=勇気、コスモス=優しさという精神を自分のものとし、人々を守りたいと言う気持ち、そして諦めない心の力を得るという物語となっています。
そしてまたそれはタイガだけの話ではなく、ただの普通の一般人であったチームUのメンバーも同じように諦めない気持ちを持つということも描いています。
このチームUの存在が本作品では実は大きいかと思いました。
この数年のウルトラマンの映画は、ウルトラマン自身を主人公にするという形が多く、それはややもすると「着ぐるみショー」的な雰囲気を醸し出すことに繋がっていきます(前作はけっこうそういう感じがしました)。
しかし本作はタイガ、そしてチームUという人間が物語の中心にきているため、感情移入できる共感できるドラマとなっていたと思います。
ラストでゼロが地球を離れる時、人々が戻ってきた日本列島に灯がともっていきます。
カメラは次第にズームアップしていくのですが、普通は東京辺りにいくところをそのズームの先は東北地方でした。
久しぶりに人間が中心になった物語であること、「諦めない」がキーワードとなっていたこと、未曾有の災害のあとの人々へのメッセージなのかなと感じました。
本作はこの数年で最も出来のよいウルトラシリーズの劇場版であると思います。

前作「ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国」の記事はこちら→

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コメント

KLYさん、こんにちは!

そうですね、やはり「ウルトラマン」が与えてくれるのは負けない心、勇気ですから。
自分も子供の頃、「ウルトラマン」を観て、そういう気持ちを学んだかもしれません。
今の作り手はそういう世代が作っているから、なおさら原点にかえったのかもしれませんね。
「ウルトラマン」は「仮面ライダー」より子供たちも幾分年齢層が低めだからか、やっぱり僕が観に行った劇場でもやかましかったですけれどね。

投稿: はらやん | 2012年3月25日 (日) 13時42分

劇場では子供たちが大喜びでした。
公式のブログをみると被災地でも子供たちが大喜びだった模様です。
ウルトラマンという作品の最大の使命は今も昔も変わらずそれは“子供を喜ばすこと”
だと思うのです。その意味で作り手は今回自分たちの役割に、初心に戻ったという
ことなのかもしれません。
隣でとにかく喋り捲る子供にはまあちと参ったんですけどね^^;
でもま、この映画の主たる観客は彼らですから、今回ばかりはまあいいやと(笑)

投稿: KLY | 2012年3月25日 (日) 01時02分

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