「ベルセルク 黄金時代篇I 覇王の卵」 キーワードは夢と友
20年以上も連載が続くコミック「ベルセルク」の映画化作品です。
いつものごとくなのですが、原作は未読。
じゃ、なんで観に行ったかというと予告で観た絵がきれいだったからです。
本作を制作しているプロダクションは「鉄コン筋クリート」等で知られるスタジオ4℃。
このプロダクションの仕事はいつも感心するのですが、仕上がった作品の絵が綺麗なんですよね。
うーん綺麗というよりは、丁寧っていう感じかな。
すごく好感が持てます。
本作は中世的な世界を舞台にし、いくつもの戦闘シーンがでてきます。
そこでの剣と剣のぶつかり合いのようなところの作画は、鉄の重さを感じるほどです。
このあたりは従来の手描きならではの丁寧さが出ているところなんですよね。
また合戦シーンなどで、モブでの乱闘シーンのようなものもあるのですが、このあたりはおそらく3DCGを使っているのでしょう。
これは手描きでは無理。
でもそこでは手描きと変わらぬ風合いが出せていて、まったく区別はつきません。
モブシーンだったり、手描きだとかなり難しいカメラがグルグルと回っていくようなカメラワークのところはおそらくCGじゃなければできないだろうと想像しているだけです。
手描きのアニメーションで3DCGが取り入れられ始めたのは「もののけ姫」あたりからだと思いますが、もう手描きと3DCGの技術はもううまく融合されて使いこなされている感じがしますね。
先ほど書いたように本作の舞台は、中世のヨーロッパのような世界。
しかしそこには何か物の怪のようなものも存在しており、ファンタジー的な世界でもあります。
原作を読んでいないので、僕が観ていて思い浮かべたのは「グイン・サーガ」。
あちらも中世的世界観に、ファンタジー的、さらにはSF的な要素が組み込まれたものでした。
主人公は一人で傭兵として世を渡ってきていた剛の者ガッツ。
彼はあるとき、鷹の団(鷹の爪団ではない)のリーダー、グリフィスに出会います。
美貌を持つグリフィスですが、剣の腕もたち、ガッツを一騎打ちで破り、彼を仲間に引き入れます。
グリフィスは自分の国を持つという夢をもち、ガッツは次第に彼の夢を叶えたいと考えるようになります。
ガッツはグリフィスに友情を感じていったのでしょう。
孤独に生きてきた彼にとってはグリフィスは唯一の真の友でした。
グリフィスはその容姿だけでなく、剣の腕、また知謀、そして人を魅了する力をもっており、次第にその夢を叶える地盤をかためていきます。
彼は王国の姫に問われた時、傭兵団を大事な仲間だが友ではないと言います。
グリフィスにとっての友とは人の夢をかつぐのではなく、自分の夢を持ちそれを叶えようとしている者のこと。
これはグリフィスにとってはガッツは友ではないと言っているに等しい。
いずれグリフィスとガッツは袂を分かち、再び戦うのでしょうか。
それともガッツはグリフィスの夢を叶えるために、己の命を捧げるのでしょうか。
原作を読んでないので「グイン・サーガ」からイメージしてしまうのですが、グリフィスというキャラクターは「グイン・サーガ」に登場する主要キャラクターであるイシュトバーンとアルド・ナリスを足したような感じがしますね。
人を魅了する力を持ち己の夢を叶えるために手段を選ばないところ、選ばれた人間であるというような意識。
どのようにガッツやグリフィスは生きていくのでしょうか。
今回は3部作の第1部ということで、序章ともいうべき作品です。
今後の展開に期待したいと思います。
ガッツの声はどこかで聞いたことあるな、と思っていて、エンドロールを観たら「伊達さん」(岩永洋昭さん)だったのね。
男気あふれるところなどはぴったり。

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コメント
みぃみさん、こんにちは!
いやー、ほんと画がきれいでしたね。
アニメーションはどうしても動きが軽い感じがしますが、鋼と鋼がぶつかりあうような質感を感じました。
冒頭の攻城戦などは屈指の出来です。
「グイン・サーガ」は100巻を越えるほどの大作なんですよ。
僕は学生の頃から読み始めてまだ読み終えていません・・・。
投稿: はらやん | 2012年2月11日 (土) 09時45分
こんにちは♪。
何の前知識も無く鑑賞しましたが、観て良かったと思うと共に続きも観たいと思う作品でした。
某番組によると、キャラクターのほんのちょっとの動きにも膨大な作業があったようです。
しっかり「結果」を出していて、凄いな~!と思いました。
おっしゃるとおり、本物の剣をふっている感がビシバシ伝わってきて、本物より本物らしい臨場感に、興奮しちゃいました(^^)。
続き、楽しみです☆。
「グイン・サーガ」知らなかったので、探してみます。
投稿: みぃみ | 2012年2月10日 (金) 15時53分
メビウスさん、こんばんは!
アニメーションはかなりハイレベルでしたよね。
手描きの良さも出てましたし。
>キャラの顔だけを手描きにして、残りはCGで動かして
なるほど!
理屈的にこのシーンはCGじゃないと無理だよなーと思っていましたが、うまくCGを使っていますね。
作品世界はおもしろいなと思いました。
二人の関係がどっちにいくかも興味あるので、また観に行きたいと思います。
マンガも手に取ろうかと思ってます。
投稿: はらやん | 2012年2月 5日 (日) 22時17分
はらやんさんこんばんわ♪
自分はイチファン視点としてかなり楽しめたのですが、原作を未見なはらやんさんも楽しめた辺り、取り敢えず初見の方にも取っ付き易かったのかなと少し安堵してますw
そいえば戦闘シーンなどで主に使われていた3DCGは結構滑らかで、自分も好感持てましたね♪はらやんさんの仰るとおり、あれだけモブが動きまくる目まぐるしさで手描きはほぼ不可能。パンフを見たらキャラの顔だけを手描きにして、残りはCGで動かしていたのだとか?見慣れるとだんだん違和感もなくなったので、個人的にアニメーションも合格点でしたね。ついでに伊達さんの起用も合格w
3部作の第1弾ということでホント序章ですが、それでもベルセルクの世界観全体で見ますと、この黄金時代篇すら土台のようにも思えます^^;グイン・サーガのようにまだファンタジー色は濃くなくて飽きちゃうとこもあるかもしれませんが、3部作の最後の『降臨』ではおそらく絶望感満載なダークファンタジーの片鱗を見れると思いますので、長~い目で付き合ってもらえればと思います(汗
投稿: メビウス | 2012年2月 5日 (日) 19時49分