« 「TIME/タイム」 格差社会の投影 | トップページ | 「海賊戦隊ゴーカイジャー」 お祭り感とドラマ性の両立 »

2012年2月19日 (日)

「キツツキと雨」 やるの?やんないの?

「やるの?やんないの?」
新人映画監督、田辺幸一(小栗旬さん)にカメラマンが言う言葉ですが、これ、僕自身も若い頃、よく言われたなぁとしみじみ・・・。
僕はメーカーでデザインやら広告やらを担当する部門で仕事をしているのですが、そのためにいわゆる撮影現場(スチールも、ムービーも)に立ち会うことが多いわけです。
今でこそ場数を踏んでいるのであまり動じなくはなりましたが、幸一のように新人のころ、現場に行くのが怖かったんですよね。
あんまりよくわからない若い頃でも、現場で判断を求められるわけです。
それこそ、「やるの?やんないの?」という感じで。
クライアントの立場ですから、判断を求められるのは当たり前です。
でも周りは自分よりも年上で何十年もその道で仕事をしている方ばかりです。
そして撮影ともなると関わる人の数も多い。
自分の判断でいろいろな人が動く。
間違っていても人が動く。
そりゃ、怖いわけです。
間違った判断をしようものなら、白い目で見られる気もしますし。
怖くて何でもかんでもテイクを重ねたら、スタッフは疲れてきますし、時間もなくなる。
かといって妥協すると、あとですごく後悔するし、再撮影なんてことになったらさらに迷惑をかける。
そこでのプレッシャーというのはけっこうなもので、ほんと幸一が逃げようとした気持ちっていうのもわかるんですよね。
自分はこう思うけど、それがほんとに自信があるかというとそれほど自信もない。
でもね、胃がギューギューと痛くなりがらも、そこで「こうしてみたい」と判断をして、スタッフに伝えて、何か形としてでき上がっていくときはやはり嬉しかったりするのです。
そしていいのが撮れて最後の幸一のように「OKです!」って元気よく言うと、ベテランのスタッフの方も嬉がってくれるんですよね。
それもなんか嬉しくて。
最初の頃は怖くってカメラマンさんとも話ができなかったんですよね。
新人の頃はやっぱり「やるの?やんないの?」的なことも言われたわけです。
でもいろいろ仕事をして自分がやりたいことを不器用ながらも伝えていくと、「○○くん(僕の名前ね)が言うなら、やってみようか」と言ってくれるようになったんですよね(10年くらいはかかったけど)。
僕も困った時はそう言ってくれる信頼できるスタッフに相談しますし、またスタッフも信頼してくれてる(と思う)。
なんかそういう関係ができてくると現場はとても楽しくなってくる。
また僕も歳をとってくるとわかっていたことがあります。
最近は自分よりも年下と仕事をすることも多い。
若い頃は、こんなこと言ったら、怒られるんじゃないかと思って躊躇したりすることがあります。
でも自分は最近若いのも言っているのです。
「どんどんやりたいことを言ってみろ。たいていのことは受けてやる」と。
幸一の周りのスタッフもそうだったと思うんですよね。
「やるの?やんないの?」という言葉は言われるほうからするときつい感じもしますが、成長を促す言葉でもあるんですよね。
そこでへこたれずになんとか若いなりに判断しようとする姿勢が見えた時、周りはなんとかしてやろうと思うわけです。
最近は若いのと仕事をするような立場にもなるんで、幸一のやりたいことをサポートしてあげる木こりの克彦(役所広司さん)の気持ちもわかるし、映画のスタッフたちの気持ちもわかるんです。
そういう意味では、本作は幸一にも、克彦にもシンパシーを感じることができました。

最後の雨のくだりは似たような経験をしたことがあったんですよね。
やはりロケで、晴天の画でなくてはいけないシーンがありました。
しかし撮影当日は嵐・・・。
そしてそのとき撮らなければスケジュール的に間に合わない。
いろいろ諦めそうになったとき、撮影のプロデューサーが決行しましょうと。
半ば賭けでロケ地に向かったのですが、現場についたらびっくりするくらいの晴天に。
これは奇跡だ・・・と思いました。

にほんブログ村 映画ブログへ

|

« 「TIME/タイム」 格差社会の投影 | トップページ | 「海賊戦隊ゴーカイジャー」 お祭り感とドラマ性の両立 »

コメント

sakuraiさん、こんにちは!

そうですねー、みなで作り上げるというのは一人とは違う一体感がありますね。
若い子もやる気がある子は、なんとか盛り上げてあげたいと思ってしまいます。
嶋田さんはいいですよねー。
セリフは少なかったですが、いい存在感がありました。

投稿: はらやん | 2012年4月21日 (土) 08時30分

はらやんさんのように、幸一のように、みなで作り上げていく!というのもいいですよね。
教師なんてのは、最初っから一人でまかされ、一人でやってくとっても独善的な商売なもんで、こういう世界もいいなあ~と思いながら見てました。
私もあんな若い監督だったら、尻でもひっぱたくなりそうですが・・・。
嶋田さんのカメラマンが、ピッタシでした。

投稿: sakurai | 2012年4月16日 (月) 14時12分

ほし★ママさん、こんばんは!

けっこう自分が若い頃を思うと、やっぱ自信なかったですし、逆に無茶やっていたりとかなんですよね。
そのときも上の人とか、周りの人が、厳しく優しく鍛えてくれたのだと今は感じてます。
だから若いのにもそうしてあげたいんですよね。
ま、順繰りってやつです。

投稿: はらやん | 2012年2月25日 (土) 23時13分

はらやんさんのお話と映画のシーンが重なって
また、暖かい気持ちがよみがえってきました。
 
新人時代は、誰もが経験しているんだけど
その時の気持ちを忘れてしまってる人も多いんですよね。
>たいていのことは受けてやる
こう言えるって、本当に素晴らしいと思います。

投稿: ほし★ママ | 2012年2月24日 (金) 19時33分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/186553/54023759

この記事へのトラックバック一覧です: 「キツツキと雨」 やるの?やんないの?:

» キツツキと雨 [LOVE Cinemas 調布]
『南極料理人』でヒットを飛ばした沖田修一監督最新作。今回の舞台は山間の小さな山村だ。そこで林業を営む男と、そこにゾンビ映画を撮りに来た新人監督が何故か心を通わせていく姿をハートフルかつユーモアたっぷりに描いている。主演は『聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実-』の役所広司。共演に小栗旬、山崎努、古舘寛治、高良健吾ら若手ベテランの実力派が出演している。... [続きを読む]

受信: 2012年2月19日 (日) 21時10分

» 映画・キツツキと雨 [読書と映画とガーデニング]
2011年 日本 人里はなれた山間の村 キコリの無骨な男・岸克彦(役所広司)と映画の撮影にやって来た気弱な映画監督田辺幸一(小栗旬) 偶然出会った不器用な二人が少しずつ親交を深めていく過程をユーモアを交えながら割りとゆっくりとしたテンポで丁寧に描い...... [続きを読む]

受信: 2012年2月20日 (月) 13時23分

» キツツキと雨 [映画感想メモ]
地元民の協力の元に作った映画ってこんな風なのかな。 いい加減あらすじ 60代の岸 [続きを読む]

受信: 2012年2月20日 (月) 22時02分

» 映画「キツツキと雨」ただ懸命に取り組むこと、ただそれだけ [soramove]
「キツツキと雨」★★★☆ 役所広司、小栗旬、高良健吾、 臼田あさ美、伊武雅刀出演 沖田修一 監督、 129分、2012年2月11日公開 日本,角川映画 (原題:キツツキと雨 ) 人気ブログランキングへ">>→  ★映画のブログ★どんなブログが人気なのか知りたい← 「ある日、ゾンビ映画の撮影隊が村にやってきた、 監督らしくない若い監督と 山仕事をしていた男の奇妙な関係が やがて村全体... [続きを読む]

受信: 2012年2月23日 (木) 06時54分

» 『キツツキと雨』 [ほし★とママのめたぼうな日々♪]
1月の下旬に舞台挨拶付の先行上映会のお知らせが入ったのですが あいにく、その日は「新年会」が入っていて… 3日くらいして [続きを読む]

受信: 2012年2月24日 (金) 19時35分

» 「キツツキと雨」感想 [新・狂人ブログ~暁は燃えているか!~]
 「南極料理人」の沖田修一監督・脚本。役所広司・小栗旬主演。無骨な木こりと新人映画監督の、奇妙な出逢いと交流を描くハートフル人情コメディ。  映画の撮影に偶然巻き込まれ、そのままなし崩し的に協力。いつしか村民全員が参加しての一大ロケに発展…という、ある意... [続きを読む]

受信: 2012年2月24日 (金) 22時13分

» 木こりと監督 [笑う学生の生活]
15日のこと、映画「キツツキと雨」を鑑賞しました。 田舎 人里離れた山村、映画撮影のために訪れた若い監督 幸一 妻が亡くなり 息子2人暮らしの木こり 克彦は撮影を手伝うはめになり・・・ なんともほのぼので クスッと笑え、ほっこり温かくなる 日本映画らしさが 木...... [続きを読む]

受信: 2012年2月25日 (土) 09時56分

» 沖田修一・監督『キツツキと雨』或いはキコリとゾンビとカントクと。 [映画雑記・COLOR of CINEMA]
注・内容、台詞に触れています。「南極料理人」の沖田修一監督による『キツツキと雨』。脚本は沖田修一・守屋文雄。出演は役所広司、小栗旬、高良健吾、嶋田久作、平田満、伊武雅刀、山崎努、他 物語・人里離れた山... [続きを読む]

受信: 2012年2月26日 (日) 17時32分

» キツツキと雨 [花ごよみ]
ある村で木こりとして、 暮らす男には役所広司、 気の弱い映画監督には小栗旬。 この二人の出会いから物語は始まります。 監督は沖田修一。 共演は高良健吾、嶋田久作、 平田満、伊武雅刀、山崎努… ある山村に、映画の撮影隊が訪れる。 映画の撮影の手助けをするこ...... [続きを読む]

受信: 2012年2月26日 (日) 20時55分

» キツツキと雨 [映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評]
キツツキと雨(役所広司、小栗旬出演) [DVD]クチコミを見るきこりと新人監督との異業種交流を描くハートウォーミング・ドラマ「キツツキと雨」。時に非常識で傍若無人な映画作りの妙 ... [続きを読む]

受信: 2012年2月26日 (日) 21時32分

» キツツキと雨/役所広司、小栗旬 [カノンな日々]
「木こり」って言葉、久々目にした気がするし、こうしてタイプするのもかなり新鮮な気分ですね(笑)。人里離れた山村にゾンビ映画の撮影にやってきた自信なさげな新人映画監督が木 ... [続きを読む]

受信: 2012年2月26日 (日) 22時16分

» 『キツツキと雨』 [京の昼寝〜♪]
□作品オフィシャルサイト 「キツツキと雨」□監督・脚本 沖田修一 □脚本 守屋文雄 □キャスト 役所広司、小栗旬、高良健吾、臼田あさ美、古舘寛治、嶋田久作、平田満、伊武雅刀、山崎努■鑑賞日 2月11日(土)■劇場 チネチッタ■cyazの満足度 ★★★☆(5★満点、☆...... [続きを読む]

受信: 2012年2月26日 (日) 22時43分

» キツツキと雨 [あーうぃ だにぇっと]
キツツキと雨@東京国際映画祭。 [続きを読む]

受信: 2012年2月26日 (日) 22時57分

» 『キツツキと雨』 [ラムの大通り]
----確かこの映画って、 去年の東京国際映画祭で話題になっていた作品だよね。 「そう。 『南極料理人』で一躍脚光を浴びた沖田修一監督作品。 もとより、映画祭は映画が好きでたまらない人々の祭典だから、 よけいにこの映画は受けたんだろうね」 ----どういうところが...... [続きを読む]

受信: 2012年2月26日 (日) 23時34分

» 「キツツキと雨」みた。 [たいむのひとりごと]
役所さん×小栗くんの共演で、”ソンビ映画”を撮影する・・・といった内容に惹かれて鑑賞。人里離れた山間の村できこり(林業)を営んでいるのが役所さん演じる克彦さん。”ソンビ映画”の監督として克彦さんの住む... [続きを読む]

受信: 2012年2月27日 (月) 17時41分

» 「キツツキと雨」 [てんびんthe LIFE]
「キツツキと雨」試写会 一ツ橋ホールで鑑賞 2012-012 「南極料理人」の沖田修一監督が、老年の木こりと気の弱い映画監督の出会いから成長を役所広司と小栗旬の初共演で描いた作品。 「南極料理人」結構好きでした。 料理もおいしそうだったし堺正人が良かったです。 今回この演技派のおじさんと旬な役者小栗旬の競演、魅力的だと思いました。 ストーリーそのものはなんてことのない話なのですが、BGMもほとんどなく、静かなんだけど、ものすごく笑わせます。 間のとり方がものすごく上手。 間のとり... [続きを読む]

受信: 2012年2月27日 (月) 18時20分

» キツツキと雨 [パピ子と一緒にケ・セ・ラ・セラ]
人里離れた山村にゾンビ映画の撮影にやってきた青年と、そこに暮らす父親のような木こりの男のふれあいを、ユーモアを交えて描いたハートフルドラマ。監督は「南極料理人」の沖田 ... [続きを読む]

受信: 2012年2月27日 (月) 22時40分

» 「キツツキと雨」 [お楽しみはココからだ~ 映画をもっと楽しむ方法 ]
2011年・日本/オフィス・シロウズ=配給:角川映画 監督:沖田修一 脚本:沖田修一、守屋文雄 撮影:月永雄太 エグゼクティブプロデューサー: 井上伸一郎、椎名 保 企画: 佐々木史朗、嵐 智史 「南... [続きを読む]

受信: 2012年2月28日 (火) 19時50分

» キツツキと雨 [映画的・絵画的・音楽的]
 『キツツキと雨』を吉祥寺バウスシアターで見ました。 (1)この映画は、出演者の好演もあって、まずまずの仕上がりではと思いました。  といっても、新人の映画監督と木こりとが交流を深めていく中でお互い成長するという話がメインであって、マアありきたりといえばあ...... [続きを読む]

受信: 2012年2月28日 (火) 22時06分

» ダメ息子と ダメダメ映画監督と 木こりのおやじ [たまごのなかみ]
観終わったら、きっと パリパリの海苔で ご飯をかっ喰らいたくなります 『キツツキと雨』(2/19 劇場にて) 制作国:日本(2011年) 監督:沖田修一(『南極料理人』) 脚本:沖田修一、守屋文雄 出演:役所広司、    小栗旬、    高良健吾、    古舘寛治、嶋田...... [続きを読む]

受信: 2012年3月 6日 (火) 09時07分

» キツツキと雨 [映画と本の『たんぽぽ館』]
語らない“間”の面白さ                  * * * * * * * * * * のどかな山村にゾンビ映画の撮影隊がやって来ました。 ひょんなことからこの映画撮影を手伝うことになった60歳、木こりの克彦(役所広司)と、 気が弱くてスタッフを...... [続きを読む]

受信: 2012年3月11日 (日) 16時32分

» ■映画『キツツキと雨』 [Viva La Vida! <ライターCheese の映画やもろもろ>]
『南極料理人』の沖田修一監督が、映画撮影の地方ロケでの若手監督と60歳の木こりのおじさんとの交流を描いた映画『キツツキと雨』。 実際に映画監督の経験を持つ小栗旬が、木こりのおじさんを役所広司が演じています。 小規模な映画撮影現場の“現場あるある”や、沖田監督... [続きを読む]

受信: 2012年3月13日 (火) 02時02分

» 『キツツキと雨』 (2011) / 日本 [Nice One!! @goo]
監督: 沖田修一 出演: 役所広司 、小栗旬 、高良健吾 、臼田あさ美 、古舘寛治 第24回東京国際映画祭 審査員特別賞受賞作品 公式サイトはこちら。 昨年TIFFのコンペで来てたのは知ってたんですが、舞台挨拶もあってチケ取りが激戦になると予想、一般公開...... [続きを読む]

受信: 2012年4月 9日 (月) 00時52分

» 「キツツキと雨」(2011 角川) [事務職員へのこの1冊]
鶴岡まちなかキネマは文字どおり街にすっかり定着したようで、平日の一回目、しかもメ [続きを読む]

受信: 2012年4月13日 (金) 00時07分

» キツツキと雨 [迷宮映画館]
旬ちゃんは、山形出身??!!(ほんとは違いますよ〜) [続きを読む]

受信: 2012年4月16日 (月) 14時13分

» キツツキと雨 (2011) 129分 [極私的映画論+α]
 少々長すぎたと思います [続きを読む]

受信: 2014年2月26日 (水) 22時41分

« 「TIME/タイム」 格差社会の投影 | トップページ | 「海賊戦隊ゴーカイジャー」 お祭り感とドラマ性の両立 »