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2012年1月 7日 (土)

「マーガレットと素敵な何か」 大切な宝箱を開ける鍵

マーガレットはバリバリのキャリアウーマン。
彼女が40歳の誕生日を迎えた時、彼女の元に手作り感溢れるキラキラした手紙が届いたのです。
それはマーガレットが7歳の誕生日に、未来の自分に向けて送った手紙でした。
幼い彼女と約束をした公証人が、約束通りにそれを送ってきたのです。
子供の頃、想い描いていたとおりの大人になっているという人は少ないのではないでしょうか。
やはり社会と向かい合い、また自分の能力と向かい合い、現実的な選択をしていってしまうものです。
そうしないと多くは生きていけません。
けれどマーガレット(幼い頃はマルグリットと呼ばれていた)の場合は、両親の離婚、それに伴う経済的に苦しい生活をおくる中で、早く大人にならなくてはいけないと思ったのでした。
それから彼女はただひたすらに上へ上へと歩んできたのでしょう。
けれど、それはマーガレットらしい生き方であったのか。
大人になって生きていると、自分の生き方というのは、折々の現実的な選択の中で歩んできた結果であり、そこに大きく疑問を持つことはないような気がします。
自分らしいか、そうでないかというのもなかなかわからない。
現実的な選択をしてきた自分こそが、自分らしいと思うことがほとんどだと思います。
マーガレットは、大きな商談を迎える前に、グレタ・ガルボやエリザベス・テイラー、キュリー夫人など女性ながらも強い生き方をした人を思い浮かべ、そのように振る舞おうとします。
それはおそらく仕事をしている時の彼女というのは、やはり自分も忘れてしまっている本来の彼女自身を閉じ込めながら暮らしているのでしょう。
仕事をしているときというより、都会で暮らし、大人になろうとしたときから彼女は本来の自分自身を封印してきたのかもしれません。
こどもの頃のマルグリットが宝箱にしまったように。
大人になろうとしたマルグリットは何か予感があったのかもしれません。
大人になるということは、今までの子供であった自分を捨てていくことだと。
その捨てていく中には、本来の自分というものも混じっているかもしれない。
けれどそれも彼女にとっては大事なものであるという気持ちがあったのかもしれません。
だからこそそれを将来の自分に忘れてほしくない、思い出してほしいという気持ちで手紙を出したのでしょう。
幼いマルグリットが埋めた宝箱にはそういう気持ちが込められています。
その宝箱を開ける鍵が、幼い彼女から現在のマーガレットに手紙という形で届いたのです。
この映画を観ていると、自分が子供の頃好きだったこと、なりたかったことというのを思い出します。
普段はそんなことを考えることもないのですが。
僕は子供の頃から絵を書くのが好きで、なんとなくそういうことができる人(漫画家とかね)になりたいなと思っていました。
さすがに漫画家などにはなれなかった(というよりそんな努力もしなかった)ですが、デザインに関わる仕事をしているので、なんとなくは子供のころの夢みたいなものにざっくり近いところにはいるかなとは思います。
けれど久しく自分の手で絵など描いたこともないわけで。
本作を観ていて、自分は絵を描くのが好きだったよなぁと、思い出したわけです。
なんとなく久しぶりに絵でも描いてみようかなという気分になりました。
この作品を観ると、そういう風に小さい頃に好きだったことをもう一度やってみようという気分になる人は多いのではないかなと思いました。

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