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2012年1月 3日 (火)

「ストロベリーナイト」 原作に忠実にいい仕上がり

一昨年の秋(!)にスペシャルドラマとしてオンエアされ録画していたけれども、HDの肥やしのまま観ていなかった本作をようやく観賞。
原作は好きな作家の一人誉田哲也さんですが、もちろん小説は読んでいます。
慌てて観たのは、今月より本作「ストロベリーナイト」がレギュラードラマ化されると知ったため。
まずはこれを観ておかないといけないだろうというわけです。
じゃ、今までどうして放っておいていたかというと・・・。
原作を読んだり、本作観たりした方はわかるとは思いますが、この作品で描かれる事件はけっこう陰惨なわけです。
ま、文字ならばそういうのもなんとかなるのですが、やはり映像だとね・・・(ホラーとか、スプラッターとか苦手なもので)。
チキンハートなもので、そういう作品を観るのにはそれなりに覚悟がいるわけで、それで放っておいたわけなんです。

で、観賞した後の感想ですけれども。
うん、よくできています。
ほぼ原作に忠実な展開ですね。
ですので陰惨な事件も、主人公の過去もそのままなのですが、やはり放送コードがあるからか、個人的には許容範囲内な表現なのでOKでした。
それでも原作の持つハードさなりクールさのようなものは保たれていましたね。
元々こういうミステリアスな事件もので、クールな女性刑事ものというは好きなのです。
古くは「沙粧妙子-最後の事件-」とか、最近だと「アンフェア」とか。
主人公姫川玲子を演じるのは竹内結子さん。
原作者の誉田哲也さんは、小説を書く時に登場人物に俳優をあてて書くのだとか(何かのあとがき書いてありました)。
確か姫川は松嶋菜々子さんをイメージしてたとか書いていたような気が・・・。
でも竹内結子さんもいい感じでしたね。
あと姫川につきまとう井川は生瀬勝久さんが演じていましたが、これは誉田さんのキャスティングイメージそのままだったと思います。
僕も小説を読んでいたときはなんとなく生瀬さんをイメージしてました。
あと部下の菊田は原作ではもっと体育会系なイメージでしたが、本作では西島秀俊さんが演じていて、スマートな感じになっていますね。

原作小説はミステリー小説としても読めますが、警察小説としても読めます。
ドラマも警察ドラマの側面をしっかりと描いていたかと思います。
最近の警察ものだと、よくあるパターンでは警察内部に悪がいるというものなのですけれど(「アンフェア」とか)、ただそれもやや食傷感もあります。
本作は警察の二つの側面を描いているなと。
そのひとつは警察という組織に属する人はやはり正義を守るという使命感がある人びとであるということ。
その象徴が姫川が警察を志すきっかけとなった佐田刑事です。
彼女は警察のそういうまっすぐに正義な部分を表しています。
姫川が高校生の時の裁判で、傍聴席にいた警官が敬礼をしたシーンはけっこうジーンときました。
もうひとつの警察の側面は、階級社会であり、その中で勝ち登っていくにはそれ相応の実力を見せていかなければいけない弱肉強食の世界であるということです。
そういう警察の二面性のようなものに初めてドラマでしっかりと描いたのは「踊る大捜査線」だと思いますが、さきほどあげた最初の側面は青島刑事がにない、もうひとつの側面は室井警視がになっていたわけです。
「ストロベリーナイト」は警察の二つの側面を姫川という女性刑事の中に両立させているところが新しいのかもしれません。
レギュラードラマについては全然情報を入れておらず、原作の「姫川」シリーズをたどっていくのか、それともテレビドラマオリジナルの展開を見せていくのかわかりませんが、期待していたいと思います。

こうやってあわててスペシャルドラマを見たわけですが、この記事を書くためにネットで調べものをしていたら、今週末に再びスペシャルドラマをオンエアすることを知りました・・・。
それも新撮を加えて・・・。
あわてて観ることなかったじゃん。

原作小説「ストロベリーナイト」の記事はこちら→

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