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2011年12月 3日 (土)

「映画 けいおん!」 いつまでも続くふわふわ時間

軽音部のメンバーが過ごすゆるっとした放課後の時間を描いたアニメがついに映画化です。
映画だからといって特別なものになっているわけではなく、そのゆるゆるしたというか、ふわふわしたというか、そういった空気感はそのままでしたね。
この空気感こそが「けいおん!」そのものなのかもしれません。
作品の中で描かれるのは、「けいおん!」のラストを飾るということで、卒業旅行がメインで描かれていますが、そこでも特別なことがあるわけでもありません。
旅行先のロンドンで突然ライブをやったりすることになりますが、彼女たちにとっては、学祭でライブをやったりすることとそれほど変わりがありません。
というより、それこそ彼女たちにとっては、ロンドンでライブをするよりは、卒業式に友達の前で教室でライブをやったりとか、後輩のために部室で曲を歌うということのほうが断然重要なんですよね。
こういうバンドものやスポーツものの物語というのは、どうしてもてっぺんを狙っていくといったようなサクセスストーリーであったり、成長物語であったりするわけです。
そのほうがやはりお話は作りやすい。
けれども本作の登場人物たちは別にトップになりたいから音楽をやっているわけではなくて、友達と楽しく過ごす時間が嬉しいということで音楽をやっているんですよね。
実際はほとんどの人はてっぺんめざして何かをやっているわけではなくて、唯たちのような時間の過ごし方のほうが共感性があるのかもしれません(実際僕は部活をしていたけれど、本来の活動はほとんどせず、しゃべったり、トランプしてたりしてました)。
社会に出れば当然厳しい現実があるわけですが、高校生の頃というのはそういう現実もまだまだ先の話というところがあってゆるゆる、ふわふわと時間が過ぎていく感じなんですよね。

上に書いたように本作のロンドン卒業旅行でもなにか特別なことが起こるわけではありません。
また卒業式自体も描かれることはありません。
第二期のテレビシリーズで軸になっていたのは唯たち3年生と、ただ一人の後輩である梓の関係です。
映画もその流れを汲み、ふわふわとした空気の中で、一本それが軸になっています。
第二期の頃から、唯たちの卒業を前にして、梓は口には出さないけれど楽しかった時間がもう終わってしまうという寂しさを感じていました。
けれど本作で描かれているのは、唯たちが卒業してもそんな楽しい時間は終わらないということです。
唯も、澪も、律も、紬も、卒業してもずっと変わらない。
卒業したら、もう終わりというのではなく、楽しいから、かけがいのない仲間だから、ずっと一緒にいたいし、楽しい時間は終わらないと彼女たちは思っている。
だから梓と出会えたことを感謝したいし、だからこれからもずっと一緒にいるということを、伝えるメッセージに彼女に送った歌はなっていたと思います。
ほんとの日常には特別なことというのはそれほどあるわけではなく、けれどだからといって無味乾燥なものでもない。
日常には日常での楽しさ、嬉しさみたいなものがあるわけですよね。
あえて日常を描き続けたところに、よくある若者の成長物語にはない、リアル感(あるあるといった感じの)のようなものを感じたからこそ、本シリーズは当たったのかなと思いました。

第一期「けいおん!」の記事はこちら→
第二期「けいおん!!」の記事はこちら→

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コメント

sakuraiさん、こんばんは!

確かに最近の若い子はちょっとほにゃほにゃしてますかね。
会社に入ってくる子もそんな感じあります。
ただ自分も高校生の頃というのは、それほどガツガツとしてはいなかったかなと。
将来のことというのはまだ現実味はなくて、そのときそのときが大事な感じはありましたね。
この作品はいわゆるドラマツルギー的なものはそれほど強く出さずに、空気感だけで作っているという、ある意味意欲的な作品かなと思ったりします。

投稿: はらやん | 2012年1月15日 (日) 17時24分

30年近く、高校生とともに過ごしてきて、今風のよく言えば鷹揚としている、悪く言えば、覇気がない・・・いわゆるゆとりの連中のそのままってな感じでしたわ。
あんまり覇気がなかったり、どう考えても常識みたいなもんを知らないくて、私としては時々嘆くのでうすが、「ゆとり教育の賜物です!」と開き直られます。
この世界はこの世界で、いいし、当たったのもわかるんですが、あんまりほにゃほにゃしてて、妙な居心地の悪さも感じましたわ。
猛烈時代を生きてきた弊害ですかね。。
アタシは、平気でロンドンに旅行に行く、いくらかかるのか問題にもしないのか・・とそっちに違和感感じてたまんなかったんですが、そんなもんなんすかね。

投稿: sakurai | 2012年1月15日 (日) 11時57分

ノラネコさん、こんばんは!

原作は大学生編ですか〜。
どんな感じになるんでしょうね。
プロはない感じがしますね。
彼女たちは高みを目指すというよりは、ずっと日常のままでいることのほうがいいと言いそうです。
そういうところはのだめにも言えるなぁ。
あちらは無理矢理プロの世界に連れて行かれましたが。

投稿: はらやん | 2011年12月17日 (土) 20時57分

テレビを何度か観た程度で、全然思いれ無かったのですが、なぜこんなに人気があるのか、何となくわかりました。
私は殺伐とした男子高だったので、この緩い青春にはちょっと憧れます(笑
原作では大学編もはじまるみたいですね。そのうちこのノリのままプロになったりするのかな。

投稿: ノラネコ | 2011年12月16日 (金) 16時45分

にゃむばななさん、こんばんは!

第二期から本作は梓が影の主役というところもありましたよね。
彼女の目線で、楽しい時間には終わりがくるのだという寂しさのようなものをそこはかと感じました。
でもそういうのをふっ飛ばしてしまうような4人の先輩の屈託のなさが、この作品の魅力でしょう。
「あずキャット」って・・・、そこだけ英語にしたのね、唯らしい・・・。

投稿: はらやん | 2011年12月 6日 (火) 21時30分

もうあずにゃんがかわいくてかわいくて仕方ありませんでした。
こんなにも先輩たちから愛されるなんて幸せ者ですよ。

それにしても「あずキャットいて♪」は面白かったですわ~。
是非来年の流行語大賞に!

投稿: にゃむばなな | 2011年12月 5日 (月) 14時14分

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