本 「神様のカルテ」
この夏、櫻井翔さんと宮﨑あおいさん出演で映画化された「神様のカルテ」の原作を読みました。
ご存知の通り、本作は2010年の本屋大賞に輝いた作品です。
先に映画を観てしまっているので、どうしても比較になってしまいますが・・・。
小説のほうは、信州の青年医師栗原一止が日々の医療活動を通して出来事を、ひとつづつエピソードとして紹介しているような感じですね。
映画のほうはそれらを大きな流れとしてストーリー上に配置していて、その幹となっているのが一止の意志としての悩みであるのですよね。
ですので映画のほうが一止の苦悩のようなものが強く出されているような感じがしました。
またそんな一止を包み込むように支える妻ハルの存在も、映画のほうが大きいように思いました。
このあたりは主演の二人によるところも大きいかなと思います。
小説のほうは、どちらかというと苦悩というよりも、優しさというものを感じました。
一止自身もそうなんですけれど、患者である安曇さんの優しさであったり、男爵の学士さんへの優しさであったり。
小説は一止の一人称になっていますが、それも夏目漱石を意識した古風な言い回しですので、そのあたりも全体的に優しい印象を醸し出しているような気がします。
扱っている題材は人の生き死にではあるのですが、深刻さ辛さというよりも、もっとそれを越えた優しさというものを感じさせる作品でした。
映画「神様のカルテ」の記事はこちら→
「神様のカルテ」夏川草介著 小学館 文庫 ISBN978-4-09-4-8618
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» 神様のカルテ [どくしょ。るーむ。]
著者:夏川草介
出版:小学館
感想:
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