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2011年10月22日 (土)

本 「理性の限界 -不可能性・不確定性・不完全性-」

論理学を中心に、人間の理性というものの限界について解説してる本です。
とりあげられるのは、アロウの不可能性原理、ハイゼンベルクの不確定性原理、ゲーデルの不完全性定理を中心に語られています。
ハイゼンベルクの不確定性原理というのは何度か本で読んだことがありましたが(理解しているとは言いがたいですが)、アロウの不可能性原理、ゲーデルの不完全性原理というのは初めて聞いたような気がします。ハイゼンベルクの不確定性原理というのは、聞いたことがある方もいるかもしれませんが、ミクロの世界(原子核よりももっともっとミクロの世界)になると粒子は波でありながらも、粒子であるという状態になります。
これは二重スリット実験などでも観察されていることなのです。
簡単に言うとミクロの粒子は、「観察するまでは」その粒子がどこにあるのかを特定することはできないということです。
粒子は粒子の状態であり、また波のような状態で存在していると考えられています。
人が観察することによりその粒子が観察され、観察しない状態のときはあることはわかってもどこにあるかはわからないということが、わかっています。
観察するときは光をつかって観察します。
光の粒子は観察する粒子に当たってしまうわけでそれにより、観察する粒子はあまりに小さいので影響を受けてしまいます。
どうしても観察することが、もともとの状態に影響を与えざるをえないのです。
これが不確定性原理です。
これは観測技術の精度があがっても変わりません。
これはある種の理性の限界といっていいかもしれません。
ハイゼンベルクの不確定性原理は物理学ですが、論理学などの分野のアロウの不可能性原理、ゲーデルの不完全性定理などで理性の限界を解説しています。
これらはけっこう驚くべきことで、なんとなく科学や論理学などというのはどんどん進化していき、そうすればわからないことというのはいつかは解き明かされるということを思っていましたが、それがそうではないということを証明してるものなのです。
人にはわからないものが論理的に存在するということを証明しているわけですね。
アロウの不可能性原理、ゲーデルの不完全性定理にしてもかなりややこしいものです。
僕も「???」というところがありました。
それでも本著はそれをとてもわかりやすく解説しています。
本著はさまざまな人がパネラーとしてシンポジウムを行っているという体裁をとっています。
その中には一般市民の学生、社会人もいれば、専門家もいるという設定です。
彼らが話し合いながら、先の人の理性の限界について話すというものになっています。
ですので、誰かにわかってもらうための説明の仕方になっているので、難解な学問を題材に扱っている割には読みやすかったです。
理性の限界というものがあるというのはとても驚きで、それをわかりやすく読みやすく書かれているのでエンターテイメントのような興奮を覚えました。
難解な学問の初心者向けの解説書としてはよくできている本だなと思いました。

「理性の限界 -不可能性・不確定性・不完全性」高橋昌一郎著 講談社 新書 ISBN978-4-06-287948-4

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