« 「ゴーストライター」 真相を知ってからのほうが楽しめる? | トップページ | 「グリーン・ランタン」 最近では珍しい王道アメコミヒーロー »

2011年9月10日 (土)

本 「初恋」

宮﨑あおいさん主演で映画化もされた作品です。
映画のほうは主人公みすずを演じる宮崎さんは非常によかったのですが、相手のキャラクター岸の身勝手さに対して観ていて反感をもってしまいました。
原作を読んでみると、三億円事件の犯人は実は少女であったというプロットは同じであっても、みすずや岸、またジャズ喫茶の仲間である亮らのキャラクターの背景がきちんと描かれ、また関係性も映画と異なるので、原作のほうが好きだなと思いました。
さきほど書いたように、なにしろ岸というキャラクターが映画ではナルシシズムを感じるようなキャラクターであったと思いましたが、原作はみすずとの出会い、そして彼女に惹かれていく過程などが描かれ、きちんと共感できるキャラクターになっていたと思います。
また映画のほうはみすずと岸の恋愛にしぼった物語となっていましたが、原作はみすずと実は兄妹であった亮との関係、またみすずの母への想いなども描かれ、主人公のキャラクターも豊かになっていたと思います。
また舞台背景となる60年代、なにか焦燥感のあるような時代と、彼ら主人公たちの焦燥感がシンクロしているようにも伝わってきました。
60年代というのは戦後の日本においてまさに青年期と呼べる時代。
どんどん成長していくのですが、様々な問題に面しながらも、それを見ないようにしてがむしゃらに進んでいく時代。
ただそこにはなにか不安というか、焦燥のようなものがある。
まさに10代後半から20代前半の若者が感じるのと同じような心理が社会にもあったように感じます。
そういうところも小説の空気感として伝わってきました。

映画「初恋」の記事はこちら→

|

« 「ゴーストライター」 真相を知ってからのほうが楽しめる? | トップページ | 「グリーン・ランタン」 最近では珍しい王道アメコミヒーロー »

コメント

ほし★ママさん、こんばんは!

僕は映画のほうは「うーん?」という感じでしたが、原作の小説のほうがいいなと思いました。
原作のほうは主人公みすずや、岸の背景、また関係などについても描かれているので、女性が三億円事件犯人というのもなんかしっくりきたんですよね。
映画のほうは、それが薄くなっていたような気がします。

投稿: はらやん | 2011年10月 9日 (日) 19時43分

記憶がかなり薄れてしまっているのですが
映画を観て「何が、初恋?」って思った記憶があります。
 
でも、三億円犯人を若い女性で描くとは、すごい発想ですよね。
機会があったら、原作を読んでみたいです。

投稿: ほし★ママ | 2011年10月 9日 (日) 10時04分

樹衣子さん、こんばんは!

60年という時代の空気感というのは知らないのですが、その時代の本や映画を通じて60年代には何か焦燥感みたいなものを感じますね。
その空気感が本作には出ていた感じがします。

投稿: はらやん | 2011年9月28日 (水) 21時03分

こんにちは。TBさせていただきました。

>60年代というのは戦後の日本においてまさに青年期と呼べる時代

時代の焦燥感が実際の3億円事件にもつながったのでしょうか。事件そのものの特異性と見事にシンクロしている本でした。
また、いかにも犯人の告白という形式をとった主人公と同一の作家の名前などうまいなと思いました。

投稿: 樹衣子 | 2011年9月27日 (火) 22時08分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/186553/52691569

この記事へのトラックバック一覧です: 本 「初恋」:

» 「初恋」中原みすず著 [千の天使がバスケットボールする]
1968年12月10日、雨が降る師走の朝、白バイ警官に扮した”男”が現金輸送中のセドリックに近づき「爆弾が仕掛けられている」と警告して、4人の行員を退避させている間に車をのっとり逃走した。強奪した金額は3億円。20世紀最大の謎と言われていまだに解決されていない「...... [続きを読む]

受信: 2011年9月27日 (火) 22時03分

« 「ゴーストライター」 真相を知ってからのほうが楽しめる? | トップページ | 「グリーン・ランタン」 最近では珍しい王道アメコミヒーロー »