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2011年9月25日 (日)

「仮面ライダーフォーゼ」を1ヶ月観てみて

「仮面ライダーフォーゼ」が始まってから早一ヶ月。
パイロット版の監督(坂本浩一監督)が1〜4話までを担当するという異例のスタートだったが、これは作品世界を形作るのに最初が肝心という制作者の覚悟の現れであったと思う。
これは見事に成功している。
なにせ「宇宙」である。
「学園ドラマ」である。
主人公は今時リーゼントで短ランという昭和なスタイルである。
リアリティなどない。
本作に登場する美羽ではないが「ありえなーい」と言いたくなりそうだ。
これらの要素は「仮面ライダー」というプログラムにマッチングするのか、と誰しも最初は思うであろう。
けれども奇をてらったように見える要素はこれまでの4話を見るかぎり、マッチしている。
考えてみると平成仮面ライダーというものは、「リアリティ」にこだわることにより成立してきたともいえる。
それは「クウガ」に如実に現れているが、この世界(我々の暮らす世界)に「もし怪人がいたら」「もしそれらと戦う存在がいたら」ということをシミュレーションしていると言ってもいいかもしれない。
そういうことにより、「仮面ライダー」というプログラムは、いわゆる「ガキもの」から「大人の観賞に耐えうるもの」としての世間的な認識を得ることに繋がったように思う。
けれどもそれこそ平成仮面ライダーが最初の10年(ディケイド)が過ぎたなかで、同様のことを続けていても先はないかもしれないという考えに制作者は考えたのかもしれない。
そこで登場したのが、「仮面ライダーW」であった。
この作品は「探偵もの」「二人で一人の仮面ライダー」「風都という架空都市」といったように、今までの平成仮面ライダーが立脚していた我々の暮らす世界の延長というものから飛び出した設定であった。
「W」はご存知のように意欲的でありながらシンプルである物語は、次鳴るディケイドの最初の作品として評価されたのである。
その「W」の塚田プロデューサーが再び手がけるのが本作「仮面ライダーフォーゼ」である。
そもそも本作の塚田プロデューサーは、今までの作品をみても「戦隊」や「仮面ライダー」というフォーマットに新たな要素を持ち込むことにより、作品世界を活性化させた。
塚田プロデューサーが新たな要素を持ち込む時の常套手段は、その要素をひとつでなく、ふたつにするということである。
例えば「デカレンジャー」であれば、表面的には「警察もの」という要素であり、もう一つ内面的には「(プロフェッショナルとしての)誇り」という要素であった。
また「マジレンジャー」であれば、表面的には「魔法ファンタジー」であり、内面的には「家族愛」といった要素である。
「W」でいえば、「探偵もの」と「(相棒との)信頼」と言った具合である。
そもそものプログラムが持っているフォーマットに新たな(表面的な)要素を持ち込み化学反応させ、さらには内面的なテーマを描き込むというのが塚田プロデューサーの手法であると考える。
「仮面ライダー」とは異なるフォーマットをその作品世界に持ち込む際に行っているのが、「リアリティ」からの脱出であると思う。
スーパー戦隊シリーズはそもそも「リアリティ」を気にする必要はないのだが、仮面ライダーは違う。
先に書いたように平成仮面ライダーは「リアリティ」に基づいて作られているのだから。
ではどのように異質なフォーマットを仮面ライダーに持ち込むか。
それは「W」でも見られる「箱庭化」である。
「W」の舞台となった風都は、我々の暮らす世界の延長線にはないフィクションの世界とされる。
そうすることにより仮面ライダーというフォーマットに異質なフォーマットを持ち込むことを可能にしているのだ。
本作「フォーゼ」というとその箱庭は「天ノ川学園」である。
今までの4話を見る限り、その舞台となるのは「天ノ川学園」という箱庭の中である。
これはその中で怪人がでようが授業の進行に支障にならない別世界である。
今までの平成仮面ライダーの「リアリティ」上にあるとすれば、授業はたちまち中止、学校は閉鎖である。そうはならない舞台装置としての「天ノ川学園」をフィクションとして最初に成立させている。
そのために必要だったのが4話という異例のパイロット版であったと言える。
この舞台装置をしっかりと構築できたことにより、本作は成功のカギを一つ握ったと言っていい。
塚田プロデューサーの手法に照らし合わせてみると本作はどのようになるだろうか。
フォーマットとしては「学園もの」。
これは単純に日本の「学園もの」というよりは、アメリカの「ハイスクールもの」のフォーマットを持ち込んでいる。
もう一つの内面的なものをわかりやすく言うと「友情」であろう。
こう書くと身もふたもない陳腐な言葉であるのだが、たぶんそうなのである。
本日の4話を見て驚いたのは、怪人となるのが主要キャラクターの取り巻きの一人であったことである。
ちなみに「フォーゼ」では謎のスイッチ(どうも使う人間の負の感情を吸収するらしい)を使って、普通の人が怪人(ゾディアーツ)を生み出す。
フォーゼがゾディアーツを倒しスイッチを切ると、本体である人間は意識を取り戻すこととなっている。
当然のことながら、この一人は天ノ川学園の生徒であり、主要キャラクターの取り巻き(サイドキックスと言われる設定もあり)であるから今後も出演していくものと考えられる。
普通怪人となる人物というのは、一回限りの通りすがりみたいなキャラである。
けれども今後登場するかもしれないキャタクターが初期の段階で怪人を生み出す。
これにとても驚いた。
そこで生きてくるのが主人公弦太朗の口癖「オレは天ノ川学園の生徒全員と友達になる男だ」というセリフである。
このセリフ、今日の放送を見るまではそれほど重要であると思わなかったのだが、今後「フォーゼ」を語っていくにあたり重要なものになっていくような気がする。
弦太朗はフォーゼとしてゾディアーツを倒したあと、怪人を生み出した生徒に対し、「おまえも今日から友達だ」と言う。
ここにあるのは赦しである。
今、子供たちに限らず、大人の世界でも、一言やひとつの行動が命取りになることが多い。
政治家の余計な一言もそのひとつかもしれない。
それは余計であったり、誤った一言だったりするのかもしれないが、ただそれだけで抹殺されるようなものでもなかったりすような気もする。
学校だったらシカトされたりするようなことだったりするわけではないのだ。
本作で怪人を生み出してしまう生徒も一時のマイナスの感情により、余計な一言を言ってしまったのと同じようなことであると言っていい。
その一度の暴走により、その後をすべて否定されるのも何かおかしい気がする。
弦太朗は、生徒の一度の過ちを赦し、相手を受け入れる。
良いところも、そして悪いところもひっくるめて友達になると言っているのだ。
ひとつの小さな悪いところばかり目がいって、それ以外のたくさんのいいところを見ようとしない。
それはけっこう危険なことだったりするかもしれない。
「フォーゼ」が今、「学園」を舞台にすること、また「友情」をテーマにするというのは、意味があることかもしれない。
これからの展開を楽しみに観ていきたいと思う。

堅く書いてきたが、それ以外にも坂本監督らしい立体的なアクション、そして相変わらずすばらしいキャスティングは見応えがあった。
この点も今後の楽しみである。

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コメント

メビウスさん、こんにちは!

まさにつかみはOKですよね。
本作の塚田プロデューサーは番組のローンチが非常にうまいなと思います。
徐々に盛り上げるというよりは、最初に設定やら何やらバーンと見せてしまうのでわかりやすい。
宇宙?学園?と観る前は思っていましたが、全然OKでした。
個人的には「W」に迫るか越えるかくらいのポテンシャルはあるかなと思います。
ライダーベルトですが、高いですよね〜。
もう子供のおもちゃの範疇を越えている・・・。
ありゃお父さんが子供ために買うんだと奥さんに言い訳しながら、自分も遊んでるっていうパターンでしょう。

投稿: はらやん | 2011年10月 1日 (土) 08時36分

こちらにもお邪魔します。

自分も1ヶ月付き合ってみた率直な感想としては、掴みはOKといった感じですね。最初の内はやはり見た目判断というのもあってか、何やってもこき下ろされるのが新ライダーの恒例にもなってるような気もしますが、コンセプトが見えてくると徐々に面白さが増してくるのもまた然り。
個人的に今回のフォーゼはライダーの伝統を崩しかねない危うさがありつつも、常にチャレンジ!という精神がビシバシ伝わってくるフォーゼのビジュアル、そして弦太郎たちのテンポよい掛け合いなどを見て、『電王』のような雰囲気を感じていますねぇ。土屋アンナの歌う『フォーゼ!行こうぜ!』な韻踏み主題歌もどことなく『いーじゃん!いーじゃんスゲーじゃん!!』なノリに似通ってる気がしますし^^;
まだ序盤なので見所要素は少ないですけど、これから仮面ライダー部の部員(OPのメンツは部員確定?)やガジェットも増えてくれば、一層面白くなりそうですね。自分も1話1話楽しみにしたいと思います。

※そいえば前にトイざらすの展示コーナーにフォーゼドライバーと一緒にアストロスイッチがあったので試しに触れてみたら、カチカチ押す部分が思いの他心地よくてちょっとロケットスイッチに手が伸びそうになっちゃいました。
なんかこう・・映画記事煮詰まった時に手でカチカチして気を紛らわしたいかも?(笑

投稿: メビウス | 2011年9月28日 (水) 22時52分

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