本 「インシテミル」
藤原竜也さん主演の映画「インシテミル 7日間のデス・ゲーム」の原作小説です。
映画のほうはけっこうハラハラとして見応えある作品でしたので、原作も読もうと思っていたのですが、やっと読みました。
映画のほうの記憶が薄れてきたところだったので、ちょうどよかったかも。
高額のアルバイト代にひかれて集まってきた参加者、暗鬼館というクローズド・サークル、参加者それぞれに渡される「凶器」・・・、など設定などは映画と同じですが、キャラクターの性格付けやストーリーの展開はまったく違うんですね。
映画のほうがキャラクターは個性があり、いわゆるキャラ立ちがある感じがしました(演じる俳優さんの存在感が大きいと思いますが)。
とはいえ、小説の方が面白くないかと言えば、そういうことはありません。
登場人物同士が疑心暗鬼になるところは文字である分、小説のほうが怖いところもあります(特に最初の殺人があったあとの晩の描写など)。
特にミステリー好きな人の方が楽しめるのではないでしょうか。
ミステリーマニアというのは、けっこう作品を読み込むことが多いような気がします。
ミステリーに耽溺するというか。
この作品のタイトルの「インシテミル」というのは解説によれば「淫してみる」、つまりはミステリーに「耽溺する」ことをさしているとのことです。
いわばミステリー好きが反応するであろうさまざまな要素、過去の作品から引用されるおなじみの凶器、クローズド・サークル、12個のインディアン人形、探偵の解決口上などを使いながらも、それを逆手にとったような展開をしているあたりが、ミステリー好きのほうが楽しめる感じがしました。
こうきたかー、っていう感じですね。
清涼院流水さんの作品などもミステリーを逆手にとっている感じがありますが、あちらはミステリーそのものの枠組みを壊すほどの破壊性を持っていますが、こちらの作品はミステリーの枠組みにありながらも、裏をかいているような感じがします。
小説を読み終えると映画のほうは、原作をベースにしながらも映画向きにうまくアレンジして、原作読了済みの人も楽しめる作品に上手く仕上げたのだなとも思いました。
「インシテミル」米澤穂信著 文藝春秋 文庫 ISBN978-4-16-777370-0
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コメント
ほし★ママさん、こんばんは!
確かに映画を観てからのほうが舞台設定はわかりやすいですよね。
設定は同じですけれど、展開はまったく違っていて驚きました。
僕は映画も原作もそれぞれおもしろいなと思いました。
投稿: はらやん | 2011年10月 9日 (日) 19時52分
私も観てから読んだんですが
これは原作の方が楽しめました。
でも、多分それはある程度の舞台設定を目で見ていた
お蔭でもあったと思います。
投稿: ほし★ママ | 2011年10月 9日 (日) 10時08分