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2011年9月12日 (月)

本 「大久保利通」

NHKの大河ドラマ「篤姫」や「龍馬伝」などを観ているうちに幕末という時代に興味がでてきました。
戦国時代もそうですが、幕末など世が大きく動く時、魅力的な人物もやはり多く登場してきます。
幕末でいえば、坂本龍馬、西郷隆盛、木戸孝允、勝海舟・・・、大久保利通もそのひとりであると思います。
とはいえ、名前は知っていたものの「篤姫」を観るまではどのような人物で、どのようなことをした人なのかは詳しいことは知りませんでした。
幕末についての本はいくつか読むようになりましたが、今回は大久保利通についての本を読んでみました。
時代が大きく動く時、それまでのルールを大きく壊し、新しい仕組みを作るということが行われます。
歴史をみていると、旧弊を壊す人が必ずしも新しい仕組みを作るわけではないということに気づきます。
戦国時代では織田信長は破壊者ではありましたが、新しい仕組みを作るまでには至りませんでした。
新しい仕組みを作るのは、豊臣秀吉であり、徳川家康であったわけです。
幕末も、倒幕を行った人物が必ずしも明治政府で活躍しているわけでもありません。
西郷隆盛はどちらかというと織田信長的であったかもしれません。
それに対して、大久保利通という人物は倒幕の中でも大きな役割をなし、その後の明治政府でも新しい仕組みづくりに貢献した希有な人物であったといえます。
本著を読むと大久保利通という人は非常に粘り強い人物だったということです。
確かに薩摩の下級武士の身分から、薩摩の改革、倒幕、開国、明治政府の樹立という道筋をたどっていく中で、大久保利通が想い描いたようにはことは進んでいきませんでした。
けれども幾度となく壁に当たりながらも、大久保はそれを粘り強く越えていく資質をもっていたようです。
大久保利通を評する徳富蘇峰の次の言葉がありました。
「最善を得ざれば次善、次善を得ざれば、其の次善と、出来る程度に於いて、出来得ることなし」
ようは諦めずに次から次へと手をうっていく、そのような粘り腰があったということですね。
これは今の政治家にも聞かせてやりたい。
今の政治家は「郵政民営化」とか「原発廃止」とかアピールしやすい目標を掲げますが、これはわかりやすいけれどもそのまんまストレートに進むなんてことはありえない。
だからこそ、次善の策、その次善の策というのを用意し、粘り強く進めていかなければいけないのだけれど、その粘り強さが今の政治家にはない。
反論をされると逆ギレするか、はぐらかすか、それだけで全く議論にならない。
大久保は漸進主義であったといいます。
一気に改革をするのではなく、少しずつでも確実に進んでいく。
それは相当に胆力がいることではないかと思います。
この胆力が今の政治家に欲しい。
今の「どじょう首相」は泥臭くやっていくと言っているので、大久保利道のような粘り腰で少しずつでも進めていくことを期待したいです。

「大久保利通」毛利敏彦著 中央公論 新書 ISBN4-12-100190-7

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