本 「レッドゾーン」
真山仁さんの「ハゲタカ」シリーズの第三弾になります。
映画「ハゲタカ」の原作となっており、アカマ自動車買収などが描かれていますが、映画とはほとんどストーリーは異なります。
本作は新聞連載だったようで、連載途中にサブプライムローン問題やリーマンショックなどがあったためか、それを意識したりしたのかややまとまり感がないのは否めません。
最後はかなり話が大きくなってしまってはいるので、かえって1作目、2作目のような買収をめぐるハラハラ感や、また鷲津の内面の日本に対するアンビバレントな感情というのも薄く、ややもの足りない感じもありました。
現実の出来事のほうが奇で、それに小説が振り回されているような感じもします。
現在はさらに国際経済は混迷の度を増していますが、真山さんはどのようにとらえているのか興味があります。
それをまた「ハゲタカ」シリーズで描いてほしいですね。
下巻末では真山さんと池上彰さんの対談が収録されています。
その中で、日本はルールの中で勝負をするが、アメリカはルールを作るところから勝負する。
さらに中国はルールの外で勝負をするといったようなことが書かれていました。
これはなるほどなぁと思ったところです。
日本はその国民性からか、正々堂々と勝負をするというのが美徳と考えていますが、他国は必ずしもそうじゃないんですよね。
特に中国はそのような感じもします。
中国でなくても、自分たちが考えているルールや常識で仕事をしていても、全く別次元でものを考える人が相手だったりすると戸惑います。
自分たち的には相手のやり方はどうかと思っても、必ずしも自分たちのルールにのってくるとは限らない。
ルールを作るところから始めなくてはいけません。
非常にエネルギーがかかることですが、これからはそういうことからビジネスを考えていかなければならないと思っている最近です。
映画「ハゲタカ」の記事はこちら→
シリーズ1作目「ハゲタカ」の記事はこちら→
シリーズ2作目「ハゲタカⅡ」の記事はこちら→
「レッドゾーン<上>」真山仁著 講談社 文庫 ISBN978-4-06-276992-1
「レッドゾーン<下>」真山仁著 講談社 文庫 ISBN978-4-06-276993-8
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