「仮面ライダーオーズ WONDERFUL 将軍と21のコアメダル」 ストーリーからの必然性がないサプライズばかり
昨年の「仮面ライダーW」の劇場版「運命のガイアメモリ A to Z」が歴代の仮面ライダーの劇場版の中でも屈指の出来であったので、今年の「仮面ライダーオーズ」の劇場版は僕の中ではハードルが高めに設定されてました。
さりありながら。
それでも今年の「オーズ」の劇場版の出来はよろしくない。
今まで平成仮面ライダーの劇場版の中で個人的にワーストは「響鬼」であったのですが、それと負けず劣らず良くない。
確かに「仮面ライダー」の劇場版は難しい。
テレビシリーズは同時期にストーリーが続いているので、それと劇場版がどうスタンスをとるのかが悩ましいのです。
特に「W」以降はテレビシリーズのクライマックスとほぼ同時期で、劇場版が公開されるので特に難しい(その点、去年の「W」はとても上手にさばいていた)。
今までの平成仮面ライダーの劇場版はテレビシリーズとのかぶりをうまく避けていました。
基本的に多い手法としては「パラレルワールド」設定ですね。
「最終回を先に劇場で公開!」と銘打った「龍騎」で初めてこの手法を使いましたが、その後の作品「555」「剣」「響鬼」「カブト」「キバ」等ほとんどの作品がこの手法をとっています。
テレビシリーズと同じ設定内で劇場版を作ったのは「アギト」「電王」「ディケイド」「W」となりますね。
「電王」と「ディケイド」は時間や時空を移動できるという離れ業をもっているので、同じ時空間での劇場版というのは厳密に言うと「アギト」と「W」になるわけです。
「アギト」は同じ時空間でありながら劇場版の中心をアギトではなく、G3チームにしているのでうまくテレビシリーズとのかぶりを回避しているんですよね。
そういう意味で、テレビシリーズと同じ設定内で劇場版をやるのは難しいということがわかります。
なぜ難しいかというと、劇場版は劇場版としてのサプライズというか、セールスポイントがないといけません。
しかしテレビシリーズと同じ時空間でそれをやってしまうと今度はテレビシリーズの方のクライマックス感が薄れてしまう。
テレビシリーズと劇場版をそれぞれにニュースとサプライズを与えるのはなかなか難しいのは確かです。
本作は基本的にテレビシリーズと同じ時空間で、伊達がバースを辞める前の時点ということになっています。
今回の劇場版でのサプライズポイントというのはいくつかあります。
・仮面ライダーオーズと暴れん坊将軍が共演!
・劇場版のみのコンボ登場!
・すべてのコンボがそろいぶみ!
・新番組「仮面ライダーフォーゼ」登場!
と言ったところでしょうか。
それぞれにキャッチーであるとは思うのですが、それがストーリーの中に素直に組み込まれているかというとそういうわけでもない。
どちらかというとそういうサプライズポイントを繋げるためにストーリーがあるといったような感じがありました。
「W」の劇場版が、一つの作品として完成度が高く、そして劇場版としてのキャッチーさ(AからZまでのガイアメモリ、劇場版だけの新フォーム、最凶最悪の悪役仮面ライダー登場)を物語に必然的に組み込んでいました。
その完成度に比べると、今回の「オーズ」の劇場版はつぎはぎ感が感じられます。
暴れん坊将軍が登場するというのは東映60周年記念ということで、また相当キャッチーなのはわかるのですけれど、やはり無理矢理感は感じられます。
劇場版だけのコンボ、ブラカワニも最強というわけではないところが微妙(テレビシリーズとの兼ね合いでプトティラが最強ですからね)。
そういう意味で、昨年の「W」の「サイクロンジョーカーゴールドエクストリーム」は風都の人びとの願いが込められているときだけなれるという点で物語として必然性があるんですよね。
すべてのコンボそろいぶみも「おおっ!」と思いましたが、テレビの本筋でもやればいいじゃんということになるわけで。
テレビシリーズと同じ時空間ということなので、テレビのクライマックスに関係する、映司やアンクのそれぞれのキャラクターや関係性を深く掘り下げるわけにもいかないので、どうしても目先の派手さみたいなところで映画を引っ張らざるをえない。
なのでストーリーからの必然性ではなく、ストーリーが様々な要素にひっぱり回されているような状況になっているのです。
確かにほぼ同時期にクライマックスを迎えるテレビと並行での公開する劇場版は難しい。
けれど昨年はうまくできていたので、なんとか今回もがんばってほしかった。
テレビシリーズがさすがの小林靖子脚本で盛り上がってきているだけに残念な感じがしました。
仮面ライダーフォーゼはかっこよかったです。
あのパートは「フォーゼ」のメインの坂本浩一監督が撮ったということですがやはり見せ方が上手。
Vシネの「仮面ライダーアクセル」で、アクセルブースターがバーニヤを吹かして空中に浮遊している感じをワイヤーアクションで行いましたが、その経験をうまく活かしてます。
先般坂本監督のインタビュー記事であれは監督が好きな「機動戦士Zガンダム」のモビルスーツがバーニヤで制動をかけたりするところをイメージしたと言ってました。
早くも「フォーゼ」への期待度が高まります。
「オーズ」の劇場版についてはボロボロに言いましたが、テレビシリーズの方は盛り上がってます。
そちらについては放映終了後にレビューします。
| 固定リンク
コメント