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2011年8月15日 (月)

本 「笑わない数学者」

森博嗣さんのS&Mシリーズの第三作になります。
前作の「冷たい密室と博士たち」のレビューでは、1作目ほどには「世界がひっくり返る」ような感じがしなかったと書きましたが、本作は「世界がひっくり返る」感じがします。
まさに「コペルニクス的」なトリックになります(この表現は読んだ方はわかるかと)。
森博嗣さんは最近よく言われる理系ミステリーの代表作家としてあげられます。
主人公が理系のキャラクターであったり、論理的に構成されたミステリーだったりする作品が理系ミステリーと呼ばれることが多いですが、これも決まった定義があるわけではありません。
論理的にしっかりと組み立ててられていてもそれが理系的であるかというと、どうかとも思います。
理系、特に数学や物理学はどちらかと言えば、究極は複雑化ではなく、どちらかというとシンプルさをめざしていたりもすると思うのですよね。
そういう意味で森博嗣さんのミステリーというのは、その謎解きは恐ろしくシンプルなことが多いです。
けれど、森さんのシンプルさということは、自分が思っている「世界」というか「前提」もひっくり返るような謎解きであることがあるんですよね。
ものの見方を、常識とは違う見方で見ることにより解決をするという感じです。
本作もそうですが、ものの見方には前提となる定義があります。
ミステリーでは物語の前提として語れることが多いですが、当然そこには書かれなくても読者を含めた自分たちが普通に持っている常識も前提になります。
森さんの作品はその前提となるものごとの見方の定義を変えるというところにトリックがあったりするのです。
まさにこれが「コペルニクス的」ということで、そういうところからして森博嗣さんの作品を理系ミステリーと呼ぶことができるかなと思います。

S&Mシリーズの第二作「冷たい密室と博士たち」の記事はこちら→

「笑わない数学者」森博嗣著 講談社 文庫 ISBN4-06-264614-5

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