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2011年8月19日 (金)

「小川の辺」 藤沢作品、粗製濫造気味じゃないですか?

山田洋次監督の「たそがれ清兵衛」以来、映画化されることが多くなった藤沢周平作品。
こちらの「小川の辺」もそのひとつとなります。
確かに山田監督の時代劇三部作は良かったのですが、その後に作られた藤沢作品の映画は凡庸なものも多いような気もします。
粗製濫造というか・・・。
藤沢作品が客を呼べるということで、柳の下の泥鰌を狙っていないかと思ったりもするわけです。
確かに藤沢作品は、上意という命令に従うことを余儀なくされる下級武士を描くことが多く、それは現代のサラリーマンの姿に通じるものがあり、共感をよびやすいというのはあります。
ただ、それはしっかりと登場人物を描くということが前提となるわけで、それなしで共感を呼べると思ったら間違いでしょう。
山田監督の三部作はいずれも、上意に従う武士としての使命と、愛する人を想う気持ちの間で揺れつつも、それを決して表面には出さない主人公の潔さを丁寧に描いていました。
またそういう主人公を愛する女性の苦しさそして凛とした強さも描写されていました。
だからこそ共感を得られたのですよね。
本作はそのあたりがちょっと浅いかなと思いました。
主人公は朔之助はある意味武士として成熟していて、覚悟も決まっているため、妹の夫を切るということに対し迷いはありません。
そういう点で、朔之助は「立派なお侍さん」であり、日本のサラリーマンの共感は得にくいかなと思いました。
藤沢作品的な上意と愛の狭間に置かれるのは、朔之助の従者である新蔵なのですが、彼については途中描写があるもののそれほど踏み込むことはありません。
思い切って新蔵にスポットをあてた方が共感はよべるのではないかと思いました。
また女性側にしても田鶴についての心情についての描写はほぼ無く、その点も登場人物の掘り下げが浅いという印象につながったような気がしました。
田鶴については新蔵に対する想い、それを捨てて嫁に行ったときの気持ち、またそして結ばれた夫への愛情など丁寧に描こうと思えばいくらでも描けそうな感じがしました。
このように脚本の構成に難があり、もっと登場人物に共感したいのにしにくいというもどかしさを感じた作品に思えました。

主人公の朔之助の東山紀之さんは相変わらずちょんまげが似合います。
凛としたお侍にはぴったりですよね。
それに対し、田鶴役の菊地凛子さんは、申し訳ないが和装が似合わない。
時代劇で和装が似合うか似合わないかというのは、重要な要素だと思うのですよね。
なんでこういうキャスティングになったんだろう。
兄の朔之助に切り掛かる田鶴の鬼気迫る様子は菊地凛子さんははまっていたように思いましたが、ここだけだったかな・・・。

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コメント

sakuraiさん、こんにちは!

お客さんは入るんでしょうね。
僕が観たのも公開からずいぶん経っていましたが、年配の方を中心にそこそこ人はいましたもん。
ただ正直山田洋次監督の三部作と比べると、これはっていうのが少ないんですよね。
悪くはなくても、それは原作の藤沢周平さんの力というか。
映画として山田三部作を越えているものはないかなと感じています。

投稿: はらやん(管理人) | 2011年8月21日 (日) 06時30分

勝気な感じは似合ってましたが、凛子さんは、いろんなところでえらい言われようですね。
ちょっとかわいそうになるくらいです^^;

おっしゃるとおり、お客は入るそうです。黙ってても呼べる・・みたいな。
それにしても作り過ぎなきらいはありますが、本作はなかなか丁寧に仕上がってたと思います。何と言っても、ご当地ですから~。
市長やら県知事やら、恥ずかしげも無く出ております・・。いやはや。

投稿: sakurai | 2011年8月20日 (土) 21時18分

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