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2011年7月10日 (日)

「ガメラ2 レギオン襲来」 主人公は怪獣ではなく、人間

平成ガメラ三部作の中でどれが一番好きかと言われたら、迷わずこちらの作品「ガメラ2 レギオン襲来」と言います(ちなみに次は一作目の「ガメラ」で、3作目の「イリス覚醒」はあまり好きじゃない)。
一作目は先日の記事でも書いたように衝撃的であって好きなのですが、やはり一作目であるがゆえに世界観の説明にはある程度要素と時間を割かないわけにはいきません。
その点、二作目である本作はそのような世界観の提示は必要ありませんので、怪獣映画としての見せ所がしっかりたっぷりとあります。
余計な説明なく冒頭からレギオンは襲来しますし、札幌、仙台、前橋とレギオンVSガメラの戦いがたっぷりと堪能できます。
けれども。
本作「レギオン襲来」の見所と言えば、レギオンVS自衛隊(というか人間)でしょう。
怪獣映画と言えば、自衛隊や防衛軍というものは、どれだけ怪獣が強いかを示すための、いわゆるやられキャラ。
そして怪獣から逃げ惑う人びとは背景でしかありません。
けれども平成ガメラシリーズでは自衛隊はしっかりと仕事をしてくれます。
先般の「ガメラ 大怪獣空中決戦」の記事でも書いたように、脚本の伊藤和典さんは実際にこの日本に怪獣が現れたらどのように対処するのかと点についてシミュレートをします。
本作では特に自衛隊がどのように怪獣に対して行動を行うかというのが描かれます。
というよりも怪獣という存在に対して、日本人はどう対処するかというのが描かれていると言ってもいいかもしれません。
相手は宇宙怪獣ですから、自衛隊の装備ではいかんともしがたい。
しかしそれでも自衛隊をはじめとして登場人物たちは、なんとか対処しようとします。
彼らがあるのは現代の普通のテクノロジーしかないのですが、その中で対応しようとする振る舞いが非常にリアルに感じます。
どうしても怪獣映画では、主人公以外の人間という存在は矮小化されてしまうものですが、本作ではそういうことはありません。
ある種、本作はガメラやレギオンといった怪獣ではなく、人間というか日本人が主役であるような気もします。
ガメラやレギオンといった存在は普通の人間ではどうしようもない、いわば災害のようなもの。
それに対して前向きに対応しようとしている人間を描いているような気がします。
レギオンの襲撃により本作では仙台市が壊滅します。
それはなにか今年の震災のようでもあり、本作でレギオンの襲来に対応しようと努力する姿、またガメラ復活を祈る姿は、そのまま震災への対応、そして復興への努力をする日本人の姿に重なります。
特に一度はレギオンに倒されたガメラが人びとの祈りで復活する様は、今観るとまた別の印象を受けますね。
そういう意味で本作は怪獣映画でありながら、人間が主役という映画と言っていいでしょう。
映画としては永島敏行さん演じる渡良瀬や、水野美紀さんの穂波が主人公なのでしょうが、彼らはレギオンに対処している人びとを切り取っただけとも言えますね。
人間を描いているという点で好きな場面は、今は亡き小林昭二さんの空自の武装担当の自衛官のシーンですね。
「今度こそ守ろうや」のセリフは泣けます。
渡辺裕之さん演じる陸佐が、レギオンを撃退した時に見せる笑顔のシーンも好きです。
この登場人物は一作目にも登場して、ギャオス迎撃の指揮をとりますが、ギャオス撹乱により放ったミサイルで東京タワーを破壊してしまいます。
おそらく彼はそれを悔やんだことでしょう。
だからこそレギオンを撃退できたときに重荷がとれたように笑顔を浮かべたのだと。
こういった場面はほんのワンシーンですが、先に書いたようにやはり本作の主人公は人間ということが現れているのではないかと思います。
最初に「イリス覚醒」があまり好きじゃないのは、話が大きくなってしまったため、人間というものがやはり矮小化されてしまって描かれているためでしょうか。

もちろん本作でも樋口特撮は冴えに冴えまくってます。
やはり大好きなシーンは群馬の防衛ラインをレギオンが突破しようとしたときにガメラが飛行形態から着地、横滑りしながら火球を連続発射するところですね。
ここは鳥肌がたつくらいにかっこいい。
飛行形態のガメラが一瞬ビルの陰に隠れ、姿が見えると着地していて横滑りし、そのまま火球を発射。
これは1カット。
唸ります。
横滑りしたガメラが止まるところは、それまでの横慣性があるので上半身が揺らぐなんていう細かい演出もされてたりして。
このシーンはそれまでの特撮にはなかった類いのもので、かなりアニメ的なセンスで作られた場面だと思います。
これは特撮、アニメの影響をハイブリットに受けた樋口特撮監督ならではのセンスでしょうね(このああたり「エヴァンゲリオン」の庵野監督もいっしょ)。

うーんやはり「ガメラ2」はいいなぁ。

「ガメラ 大怪獣空中決戦」の記事はこちら→

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コメント

ガメラ医師さん、こんばんは!

僕もこちらの作品が三部作の中では最も完成度が高いかなと思っています。
丁寧にコメントいただきありがとうございました。

投稿: はらやん(管理人) | 2011年7月16日 (土) 00時11分

 はやらん様、ごめんください。
再びお邪魔致します。下記のTBを致しました「ガメラ医師のBlog」管理人でございます。今回もこちらの記事には、「ガメラ」の検索から参りました。
 前回のGⅠ編に勝る、詳細かつ熱意溢れるGⅡ視聴記、一気に通読させて頂きました。三部作のなかでも本作は、最も各パートのバランスが取れた最高作かと思われます。素晴らしい鑑賞記事を頂き、深謝申し上げます。
今回も、下記TBの拙Blog更新、
「ガメラ:平成(金子)版視聴記など 2011/07/11」
中にて、こちらの記事を紹介させて頂きましたので、ご報告申し上げます。お時間がございましたらご高覧頂ければ幸いです。
 毎度長文でご無礼致しました。それではこれにて、失礼します。

投稿: ガメラ医師 | 2011年7月11日 (月) 18時13分

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