人気シリーズの第三作になります。
一作目は観たこともない映像に驚喜しましたが、二作目はドラマパートの味の薄さとあまりに激し過ぎる映像についていけなくてちょっと印象はよくありませんでした。
ですので、本作については期待と不安が半分半分という感じで観賞しました。
まずはやっぱりマイケル・ベイという監督は人間を描くってことにはほんとに興味がないのだなと再確認しましたね。
新ヒロイン、カーリーは「華」扱いで、そこにキャラクター性というものはほとんど見いだせません。
前作でミーガン・フォックスが女性をセクシャルなシンボルとしてしか描いてないとコメントして、マイケル・ベイとの仲が険悪になったというのもわかります。
主人公のサムですら、人物の描き方としてはかなり浅い。
サムとカーリーの間の愛情、サムとバンブルビーの友情、オプティマスの失意など、感情を描く要素としては盛り込まれていますが、ほとんどさらりと触れるだけ。
この監督に人間ドラマを求めても仕方がないのでしょうね。
そこは割り切って観るべきでしょう。
やはりこの監督が一番興味があるのは映像なのですよね。
そういう点では、本作は最後のシカゴの決戦に突入してからの映像についてはかなり見応えがあります。
CGもいままでもかなり表現の豊かさがでており、背景や人物は自然光の中での合成、また激しくカメラが動く演出にもかかわらず、まったくロボットたちは違和感なく画面に溶け込んでいました。
今回はこういうリアルな空気感の中に、ロボットたちがいるという現実感にこだわっているような気がしました。
ロボット同士のバトルの演出についても前作の反省を踏まえていたように思います。
前作「トランスフォーマー/リベンジ」はたくさんのロボットが乱れ飛んでいる中で激しく動き、変形し、
戦うということを描いていました。
一作目で一つのロボットが変形するということだけで驚いていた観客を、物量で圧倒しようとしたのだと思いますが、これは逆効果で、観客はあまりにも画面に映し出される情報量の多さとスピードの速さに、処理が追いつかなかったというのが実情であったと思います。
正直僕はそうで、なんだか画面でごちゃごちゃといろんなもんが動いていてせわしないという印象をもちました。
ひとつひとつのパーツはものすごくこだわっているのだと思うのですが、全体でゴチャゴチャになり伝わらないといった感じです。
その点、本作は演出上の配慮がありました。
先ほど、「リベンジ」は情報量の多さとスピードの速さにより情報処理が追いつかなくなったと書きましたが、本作はこのうちのスピードの速さをコントロールしてました。
ここぞという瞬間にはスローモーションを使うということです。
例えば、サムを乗せたバンブルビーが変形し、爆発する車を避けながらサムを放り出し、またサムを回収し、また車の状態に戻るというところを本作ではスローモーションで見せてます。
見せ場をスローモーションで見せるというのは、香港のアクション映画でも古くからとられていた手法ですが、これが効果的でした。
ロボットのバトルシーンでは画面の情報量はやはりかなり多い。
ですがスローモーションにすることにより、観客の情報処理が追いつかなくなるということを回避しています。
情報処理が追いつくことにより観客は「おお、すごい!」と思う余裕ができるんですよね。
前作では「???何が起こってるんだ???」という感じでしたから。
もうひとつ懸念していたのは3D化でした。
つらつら書いてきたように本シリーズはものすごい情報量を処理することを観客に求めます。
そこに奥行き情報のような空間認識まで3Dで求めるとさらにわけがわからなくなるのではと。
その点も実は考慮されているような気がしていて、3Dにはなっているのですが、あまり派手に3Dにはしていなかったように思いました。
あくまで自然に、という感じの印象です。
ですので、よくある3D映画の観にくさというのはそれほど感じませんでした。
このあたりも配慮があったのでしょうか。
本作はストーリーとかドラマとかをはなから期待せず、映像のすごさだけを楽しみに行くスタンスで観賞するのが良いかなと思います。
そう考えると、前半はもう少しコンパクトでもよかったかな。
どうせドラマを描くつもりはないんだったら。
「トランスフォーマー」の記事はこちら→
「トランスフォーマー/リベンジ」の記事はこちら→
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