「ガメラ 大怪獣空中決戦」 特撮の時代の区切り目
言わずと知れた平成ガメラ三部作の一作目です。
特撮ファンと言いながらも、実は昭和ガメラはまともに観たことがありません。
いや、観たことはあるのでしょうけれど、子供ゴコロにどうも「ゴジラ」や「ウルトラマン」と比べるとどうも「格下」に見えていたのかもしれません。
どうも子供の頃を思い返すと、特撮作品で子供に媚びたような展開(子供を助けるためにガメラがやってくるとか、少年ライダー隊とか)があまり好きではない変な子でした。
「ち、子供だからってそれで喜ぶと思うなよ」
ていう感じだったのかもしれません。
そういう子がガメラを好きなるわけはなく、ずっと「ガメラ」は視野外でした。
それから時が経ち、「ガメラ」が再映画化されるという話が聞こえてきました。
その頃は「ゴジラ」シリーズもマンネリ化し、「なんだかなぁー」というところだったので、「ちょいと観てみるか」くらいな感じで観に行ったと思います。
そして観に行ってみたら、ノックアウトされました。
「なんなんだ、ガメラ!ゴジラよりかっこいいじゃないか」と。
気に入った理由の一つは、基本的にリアリティというものを制作されていたということ。
怪獣映画=子供向けという図式を破った、大人の観賞にも耐えうる作品になっていたと思います。
それもそのはずで脚本は伊藤和典さん。
今までも書いたことがあるように、伊藤さんは「機動警察パトレイバー」などの作品でもわかりますが、「もし○○が現実の社会にいたら、どう社会は変わるか」というシミュレーションが精緻でかつ、ユニークなんですよね。
本作はもし今の日本に突然、怪獣が現れたらどうなるか、というシミュレーション的要素があるかと思います。
あとはやはり樋口真嗣特技監督による特撮でしょう。
久しぶりに改めて観てみるとやはり特撮はすばらしい。
それも日本らしいミニチュア特撮が。
今の時代、特撮と言えばほとんどCGになっています。
そのほうが自由度は高いし、また安くもできるし、あとで修正もできるし、と使う方としてはいいことづくめなのでしょう。
ですからこれからの特撮はCGになっていくのは間違いありません。
けれどやはりミニチュア特撮は、その質感に独特のものがあり、これはこれで捨てがたいんですよね。
自身も特撮に思い入れのある樋口真嗣さんらしく、ミニチュア特撮の良さをだしたカットがいくつもあります。
ミニチュア越しに遠目で戦う、ゴジラとギャオスとか。
夕陽(特撮ファンにとっては夕陽というのは特別なの。メトロン星人とか、新マンとか)をバックにした東京タワーの上のギャオスのシルエットとか。
痺れます。
平成ガメラ3部作はそれが本格的に味わえる最後の作品になるのかもしれません。
新たに生まれ変わったガメラは、結果的に熱狂的に受け入れられその後に3部作となったのはみなさんが知っている通りです。
ある意味この作品はエポックというか、一つの区切り目であったように思います。
雰囲気のあるミニチュア特撮から、CG特撮への。
平成ガメラシリーズはひとつの時代の最後に大輪を咲かせたという感じがあります。
本作が作られたのは1995年、もうずいぶん経っているんですね。
その後、平成ガメラ3部作以降、「これはいい!」と言える怪獣映画は作られていないんですよね。
そろそろ、すごいのを観てみたいと思うこのごろです。
| 固定リンク
コメント
ガメラ医師さん、こんにちは!
ご丁寧にありがとうございます。
ブログの方で僕の記事も紹介していただいてすみません。
「ガメラ」シリーズはやはり初めて観たときは衝撃を受けまして。
個人的には2作目の「レギオン襲来」が一番好きなんです。
ガメラが着地しながら、プラズマ火球を連続発射するところはしびれます。
樋口特撮が爆発という感じで。
こちらもまたレビューしたいと思います。
今後ともよろしくお願いします。
投稿: はらやん(管理人) | 2011年6月22日 (水) 07時52分
突然コメントを差し上げ、大変恐れ入ります。
はらやん様、ごめんください。 私は、下記のTBをいたしました「ガメラ医師のBlog」管理人でございます。映画ガメラに関する情報収集Blogを更新しており、こちらの記事には「ガメラ」の検索から参りました。
拙Blogでは従来より、平成ガメラ三部作に付いての感想記事をまとめておりまして、この度6月21日付けの下記TBの更新、
「平成(金子)版視聴記など 2011/06/21」
にて、こちらの記事「大怪獣空中決戦のご感想」を紹介させて頂きましたので、ご挨拶に参上した次第です。差し支えなければ、拙Blogもご笑覧頂ければ幸いです。
長文誠にご無礼致しました。それではこれにて失礼します。
投稿: ガメラ医師 | 2011年6月21日 (火) 18時26分
SOARさん、こんばんは!
そうそう、ミニチュアの質感というのは、なかなかCGじゃ出せないですよね。
空気感とでもいうのかな、CGがリアルになったとて、出せないものがあるような気がします。
今の時代、ミニチュア特撮ができるほうが贅沢なのかもしれないですね。
>「海の底」
僕はこの小説を読んだときまず思い浮かべたのは「ガメラ2 レギオン襲来」でした。
レギオンに似てますよねー。
投稿: はらやん(管理人) | 2011年6月20日 (月) 21時53分
ガメラ平成三部作、私も大好きです!
樋口真嗣の特撮には感動すら覚えます。CGではなくミニチュアに対するこだわりがヒシヒシと伝わりますよね。
よく同年代の友人とも話すんですが、本物と見分けの付かない完璧なCGよりも、限りなく本物に近いミニチュア造形のほうが怪獣物には絶対似合うと思うんですよ。
おっしゃるようにこの三部作で日本のミニチュア特撮のピークは過ぎ去ったのかもしれません。
それでも、例えば『海の底』あたりの映画化が持ち上がったりした日には、CGではなくミニチュアで挑まんとする監督さんに委ねてみたいものですね。
投稿: SOAR | 2011年6月19日 (日) 23時32分