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2011年5月 1日 (日)

本 「聖ヨゼフの惨劇」

ヨーロッパの歴史を題材に小説を書くことが多い藤本ひとみさん。
本作は18世紀フランスに実際にいた人物、ヴィドックが主人公です。
ピトフの映画「ヴィドック」でご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ヴィドックは少年の頃は刑務所に入れられ、そこで闇社会での人脈を作り、その後パリの警視庁の前身となる部局の初代局長になります。
そこを引退後は、私立探偵事務所を開き、世界初の私立探偵となったという経歴の持ち主です。
映画「ヴィドック」で描かれているのは私立探偵時代の頃ですね。
ヴィドックという人物の存在はその後の探偵小説、推理小説に大きな影響を与えたと言われています。
本作はヴィドックの少年時代、刑務所に入れられていた時代の話になります。
ヴィドックが入れられた刑務所は、誰も脱獄をすることができないと言われていたところでした。
一度入ったら出てくることはない刑務所です。
その中で、ヴィドックはしたたかに生きる希望も持ち、脱獄を企てます。
そして誰も脱獄できないという理由、そしてその刑務所でかつて起きた惨劇の謎にも迫ることになるのです。
歴史ものではありながら、推理小説的な趣もある作品です。
でも藤本さんの作品らしく、耽美な感じがそこここに感じられます。
この耽美さは好きずきが分かれるところかもしれませんが、やはり藤本ひとみさんの個性と言っていいでしょう。
ヴィドックの人物像が快活でかつ野性的で魅力があります。
またこのキャラクターが登場する作品が読みたいなと思わせてくれました。

ピトフ監督作品「ヴィドック」の記事はこちら→

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