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2011年5月 4日 (水)

「孫文の義士団」 いわば中国の幕末もの

辛亥革命の指導者となる孫文。
彼が香港を訪れることを知った清朝は暗殺者を送り込む。
それに対して、革命派は孫文を守るための義士団が彼を守ろうと命がけの戦いを挑む。
このプロットを聞いたときは、勝手に「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ」みたいな活劇になるんだろうと思っていたのですが、全然違いました(でも、予告編を観るとそう思っちゃいますよね)。
いやアクションシーンもあり、それは見所に一つでもあるのですが、どちらかというと史実を基に作った歴史フィクションでした。
そう、イメージ的には「龍馬伝」のような感じを受けました。
歴史の授業で、辛亥革命も孫文も勉強しましたが、細かいところまでは知りません。
ですので、ちょっと調べてみました。
ちょうどこの時代は、清朝末期であり、長く続いた清は汚職などの腐敗が蔓延していました。
またヨーロッパなどの外国が清に進出しており、清はそれら諸国に隷属しているような状態になっていました。
この時代の知識人は、そういう問題へ手を打てない清朝に幻滅し、また西洋の思想(民主主義など)に触れることにより、民主化への運動を高めていきます。
そのとき、彼らが見たのは近くにある日本でした。
日本は鎖国状態から、明治維新を経て、急速に国力を伸ばし、北の大国であるロシアを日露戦争で破ったのです。
そこに孫文ら革命指導者は行くべきモデルを見たのです。
つまりこの作品で描かれている時代は、日本の幕末にも似た大きく価値観が変わるときであったのです。
僕がこの作品を観て、「龍馬伝」を思い浮かべたのもあながち間違っていなかったかなと思いました。
中国において、大きく時代が動いた時であったのですね。
孫文を守るべくボディガードとなった男たち(女性もひとりいましたが)は、すべてが民主化に賛同し参加したわけではありません。
死に場所を探していた男、愛する人を守るために戦う男、信頼する人の恩に応えるべく戦う男、復讐すために戦う女。
それぞれがそれぞれの想いのために戦いへ向かう。
そして彼らの命は歴史のうねりの中で、否応なく散っていくのです。
このあたりの想いの強さ、そしてそれを翻弄する歴史のうねりのようなものが、やはり日本の幕末ものに通じるようなエネルギーを感じさせてくれました。

僕が驚いたのは、この作品が香港と中国の合作であったこと(香港も中国なのですが)。
よく中国が許したなと。
最初から思い切り「民主化」とか言っていますが、当局からはちょっかいだされなかったのかな?
ま、共産党が最も嫌う君主制を「革命」で終わらせる話だから目をつぶってくれたのかしらん。
でも、革命を経てできた現中国自体が民主化を抑えているというのは皮肉なものです。

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