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2011年3月 7日 (月)

本 「アーモンド入りチョコレートのワルツ」

「DIVE!」「カラフル」の森絵都さんの初期の作品です。
森絵都さんは僕は好きな作家の一人。
彼女の作品の主人公は中学生くらいの男の子、女の子の場合がすごく多いですが、本著の中に収められている三つの中編も主人公は中学生です。
中学生というのは言うまでもなく、思春期のただ中にいます。
言い古された言い方だと、子供と大人の間にいるわけです。
この狭間にいる子供たちの心情を描くのが、森絵都さんはすばらしく上手い。
そして、やさしい。
子供の頃というのは、自分のごく身近な周りのことしか目に入らないですし、そして自分の人生なんて考えることもありません。
つまりはあるのは自分のことが中心で、そのことに思いをはせるのが精一杯。
けれども、思春期になるころから、いろいろなことが目に入ってきます。
それほど見たくない大人の事情とか。
それに対して、なんとなく獏とした不安をもってしまう。
いつまでも子供のままでいられないという事実に気づくことの不安とでもいいましょうか。
そういった狭間にいる子供たちの不安な気持ちというのを描き、それがふっとしみ込むように読んでいると心に入ってきます。
ああ、そう言えば、あの頃そんな感じだったかもしれないと、思い出すような。
森さんのタッチはとてもやさしいので、そういう子供たちの持つ不安も決してイライラしたような負のエネルギーを感じる描き方にはなりません。
思春期を描く作品にはそうしたイライラ感を出すものも多いですが、森さんの作品はそういうところはありません。
あくまでもやさしく、そっと見守ってくれるような感じ。
僕が本著の中で好きな一遍は「彼女のアリア」。
「彼女」も「ぼく」も獏とした不安を持ち、そんななかでなにか通じるものを感じ、行き違い、そして最終的には互いを認めて受け入れる。
やさしくて幸せな気持ちになる一遍です。
そういう二人をやさしい文体で描いてく、森絵都さんはやはりやさしい人に違いないと思うわけです。

「アーモンド入りチョコレートのワルツ」森絵都著 角川書店 文庫 ISBN978-4-04-379101-9

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