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2011年3月 7日 (月)

「劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-」 変わろうと思えば、人は変われる

「機動戦士ガンダムOO」シリーズの劇場版で、セカンドシーズンから2年経過した世界が描かれます。
セカンドシーズンのレビューで書いてきたように、本シリーズはファーストガンダムのエッセンスを持ちながらも、それを解釈し「OO」シリーズならではの人類の未来を描き出しています。
ファーストガンダム〜ZZまでをの富野由悠季監督の「人の相互理解」をテーマにかかげながらも、それは実際には実現不可能であるような悲観性をもっていたと思われます。
それはファーストガンダムでのララァを中心においてアムロとシャアが最後まで対立していくこと、Zガンダムではさらにその悲観性が進み、カミーユの人格崩壊といった悲劇を描きます。
ここからは富野監督自身は「人の相互理解」は現実的には難しいのではないかという考えが表れているような気がします。
「伝説巨神イデオン」では地球とバッフ・クランの接触はまさに「相互理解」のすれ違いであり、それは一度リセットしなくては、誤解は解けないというところまで達します。
そこには何か諦めのようなものを感じるのです。
けれども「OO」シリーズはファーストガンダムと同様に、「人の相互理解」をテーマにしながらも、人類の行く末をポジティブにとらえています。
まさに「変わろうと思えば、人は変われる」というのがその主題となっています。
「変わろう」という意志をもつ。
変わるにはいくつもの大きな困難が必ずある。
痛みもある。
けれども、変わろうと思えば、いつかはそれは達成されるというポジティブなメッセージを感じます。

ファーストシーズンのレビューで書いたように、本作はSF小説・映画などの影響が強く見られます。
SFではファースト・コンタクトを描いた名作がいくつかあります。
地球人が宇宙に進出した時、そこで出会う異星人、異星文明とどのように対処するのか。
戦いか、理解か。
「2001年宇宙の旅」などにあるように、人類が宇宙に進出し異星文明と接触し、その進化の行く末に「統合意識」なるものとの融合という結末にたどり着く作品がいくつかあります。
こういう結論に達する名作も多いのですが、けれどもそれは安直な結果でもあります。
個々に別れているから争いが生まれるのであり、争いをなくすためには一つになるしかない。
これは一つの考えですが、やはり安易さは感じます。
僕が「OO」シリーズを評価するのは、個々の人としての人生というものがありながら、それでも「相互理解」を成し遂げ、争いをなくすにはどうしたらいいのか、というたいへん難しいところをあえて逃げずに突き詰めているというところです。
これは非常に難しいテーマでありながらも、それにチャレンジをしたスタッフに敬意を持ちます。

人類の歴史上、未知なるものとの出会いがあるとき、そこには争いが生まれていました。
それは隣村だったり、言葉が通じない他国であったり、宗教が異なる民族だったりしてきたわけです。
人類の戦いの歴史というのは、まさに未知なるものとの出会いから生まれてきたわけです。
知らないものについては人は警戒心を持ち、自分自身を守るために戦おうとする性質を持っています。
それは本能に近いところのものですからなくすことはできないにせよ、それをいかに理性でおさえられるかが人類の成長というところになるのでしょう。
今までも人類はそういうことに直面しながらも、徐々に歩みを進めてきました。
本作品はその歩みを肯定的にとらえ、いつかは「相互理解」ができるようになるはずだという希望を描いています。
「ガンダム」の劇場版で異星生物とのコンタクトがあると聞いた時、たぶんファンであればあるほど「?」と思ったでしょう(僕もです)。
けれども本作を観れば、それが必然であったと思いました。
ファーストシーズンからセカンドシーズンの物語の中で、人類は多大な犠牲を払いながら曲がりなりにも「相互理解」を進めることができました。
刹那が真のイノベーターとなったように、人類が真の「相互理解」へ進むにあたっては、人類がまったく触れたことのない未知のものとの接触が物語として不可欠なのです。
水島監督はこの設定を発表したときは非難が巻き起こるのが覚悟の上だったとおっしゃられたようですが、それを勇気をもって押し進めたのはすばらしいと思いました。
物語の要求に答えるというのは、簡単なようでいて難しいことです。
特に歴史もあり、ファンも多いシリーズにとっては。

本作のスタッフには「ガンダム」の根幹となるテーマを真正面から受け止め、それに対してポジティブな答えを出すという非常に真摯な姿勢を感じました。
それは非常にチャレンジングな作業だったに違いありません。
人気シリーズであることに胡座をかかず、また迎合せず、素晴らしい作品を作り上げたと思いました。

テレビアニメ「機動戦士ガンダムOO ファーストシーズン」のレビューはこちら→
テレビアニメ「機動戦士ガンダムOO セカンドシーズン」のレビューはこちら→

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コメント

たいむさん、こんにちは!

そうですねー、ひさしぶりの「ガンダム」、意欲的な作品だと思いました。
宇宙人自体は議論が分かれるところだと思いますが、僕としてはこのストーリーだとするならば十分アリかなと思いました。
かなりSF小説の影響が大きい作品で、そういうのがとても好きな僕としては非常に満足できました。

投稿: はらやん(管理人) | 2011年3月12日 (土) 08時15分

こんにちは~
高評価ですね(^^)

「ガンダム」って難しいんですよね。
ニュータイプの概念と言うか「相互理解」については、この「00」も近いところを突きつめて作られていると思うのだけど、リアルロボットアニメーションとしての「ガンダム」に宇宙人はNGと感じますので、賛否の差はソコかなって思います。
私としても、ストーリーはアリ、でも「ガンダム」でやらなくても良い話、という感じです。

でももはや「宇宙世紀至上主義」だけがガンダムファンじゃないですから、今後幾つも作られるであろう”ガンダム”の世界もどんどん広がっていくように思います。
映画として面白かったし、ガンダムブランドとして恥じないお仕事でしたよね。

投稿: たいむ | 2011年3月11日 (金) 00時01分

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