「天装戦隊ゴセイジャー」 天使という設定の難しさ
前作の「侍戦隊シンケンジャー」が後半に怒濤の盛り上がりをみせて大団円を迎えたその翌週から始まった「天装戦隊ゴセイジャー」。
ちなみに「ゴセイジャー」はタイトルで「護星者」とも書かれているように、星を護る者、すなわち地球の守護天使という存在です。
盛り上がった最終回の後の初回というのは辛く印象を持ちがちなので、比べるのは酷なのですが本作はどうも最初からいまいち観ていてものれなかったんです。
そののれない気分のまま、最終回まできてしまったような気がしました。
ところどころ良いエピソードもあったのですが、全体通しでみるとやはりもの足りない。
工夫していたところは1年間を大きく4部構成に分け、敵の組織が3回変わり、4部めはそれら3組織がなぜ地球を狙ったのかという謎解きがあります。
その首魁となる真の敵の正体、元護星天使ブラジラであったというのは、同族同士戦うという意味で「仮面ライダー」であったり、天使じゃなくて悪魔同士ですが「デビルマン」を髣髴させるというところでした。
地球を護る役割であったブラジラが地球を滅ぼす側となるというのは、聖書で天から落ちた堕天使ルシファをも思い浮かべさせます。
そのあたり設定的にはおもしろいところはあったのですが、全般的にドラマに見ごたえがないというかそんな感じがありました。
多分に設定である「天使」というのが、難しいところであったのかなと思います。
「天使」であるわけですから、彼らゴセイジャーは人間が陥りがちなマイナス思考というのはほとんどありません(天使見習いなので悩まないわけではないのですが)。
ですので葛藤に由来するような気持ちのゆれ動きや、成長というようなものはなかなか作品中に出しにくいのですよね。
あとゴセイジャーはみな天使なわけですから、5人のキャラクターがある幅の中に収まらざるをえません。
それは地球を護るという正義感が強い人間ではありませんし、地球を愛し、人を愛するという性格は天使であるため変えられません。
スーパー戦隊シリーズというのは、「仮面ライダー」シリーズと異なり、違った性格の5人のキャラクター間の化学反応のようなものも魅力だったりするのですが、そのあたりもいつもよりは弱めであったと思います。
成長なり、キャラクターの相互作用というのは1年を通したドラマとしては、物語を引っ張る力にはなるので、そのあたりが出しにくかったのは、設定ゆえの難しさだったと思います。
今までもスーパー戦隊シリーズでは天使モチーフというのは企画としては何度もあがりつつも、なかなか実際になかったのはそのあたりがあったのかもしれません。
あえて難しいお題に挑んだという点では、チャレンジであったと思いますが、うまくいっていたかというとそうではなかったような気がします。
来週からスタートするのは「海賊戦隊ゴーカイジャー」。
シリーズ35作品目となるということですが、やはり注目点は彼らゴーカイジャーが過去34作品のスーパー戦隊の能力を使えるということでしょう。
最近では平成仮面ライダー10作品目の「仮面ライダーディケイド」が大仮面ライダー祭りになっていましたが、同じように派手な展開になるんでしょうか。
また「海賊戦隊」とあるようにゴーカイジャーは宇宙海賊という設定。
キャラクター設定をみてみると、ほぼ「ワン・ピース」のような感じ。
それはそれでおもしろそうということで、早くも次回作に期待が移ってしまいました。
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