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2010年12月25日 (土)

「ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国」 うかがえる大人の事情

昨年末公開された「大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE」に登場した新しいウルトラ戦士、ウルトラマンゼロ。
何かしらシリーズ化となるのだろうとは登場時から思っていましたが、映画のシリーズとなっての登場です。
ちょっと心配であったのは、このところウルトラシリーズの制作会社である円谷プロの経営母体がよく変わること。
CM制作を行うTYOの傘下になったと思ったら、今年からパチンコ機器製作販売のフィールズのグループ企業になりました。
初めてこの話を聞いた時「なぜにパチンコ屋さんが?」と思いましたが、パチンコもいまや一大コンテンツ産業ですから、パチンコ機器会社としたら円谷プロのコンテンツはぜひとも欲しかったということなのでしょうか。
本作は前作「大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE」の後日談となっていますが、いままでのウルトラシリーズにはなかったマルチバースの考え方が導入されています。
前作でウルトラ戦士の敵となったウルトラマンベリアルは逃げ、マルチバースの別の世界で反撃の機会を狙っており大軍団をそろえて、再び光の国を襲おうとします。
けれども彼らがいるのは別の宇宙。
光の国の科学をもってしても、そこに送り込めるのは一人だけ。
その戦士としてウルトラマンゼロが名乗りをあげます。
ゼロが向かった宇宙では、ウルトラ戦士とは異なる超人がベリアルに対して戦いを挑んでいました。
彼ら(と言っても一つはロボットですが)こそ、ミラーナイト、グレンファイヤー、ジャンボットです。
往年の円谷特撮ファンからすればすぐに察しがつくかもしれませんが、これらのヒーローは「ミラーマン」(1971年)「ファイヤーマン」(1973年)「ジャンボーグA」(1973年)を現代風にアレンジしたものとなっています。
「帰ってきたウルトラマン」が1971年ですから、まさに1970年前半は円谷プロの黄金期。
その頃、3〜5歳だった僕はこれらのヒーローに夢中になりました。
現代風にアレンジされた彼らを観るのは久しぶりであったので、やはりトキメキましたね。
特に「ジャンボーグA」は好きだったので、嬉しかったです。
これらの円谷ヒーローが一つの世界で繋がるというのは、アメリカのマーベル・コミックの最近の映画化作品の戦略を手本にしているような気がします。
大人な視点で観ると、この動きにはいろいろな思惑が働いているような気がします。
正直、現在の円谷プロにとって価値があるのはウルトラマンのコンテンツだけと言ってもいいでしょう。
特撮関係では「仮面ライダー」の東映は配給会社も抱える大手であり、また新しいことにもチャレンジすることによりコンテンツの力をアップしてきました。
制作だけの円谷プロでは敵いません。
40年も前のウルトラマンという資産におんぶに抱っこというのが最近の円谷プロであり、だからこそ経営が安定しないのです。
そのような状況の中、目をつけたのが黄金時代の他のコンテンツなのではないでしょうか。
これらを掘り起こし、単体でも客を呼べる、商品が売れる状態にすれば、いいのではないかと。
これはまさにマーベルがとっている戦略です。
現在の円谷プロは51%がフィールズ、49%がバンダイナムコの資本比率です。
両社ともにコンテンツで食べている会社なので、その対象としてのヒーローが増えてくるのは歓迎するところでしょう。
そのような大人な事情が本作の背景にあったのではないかと思われます。
最後はゼロを含めた4人のヒーローが新宇宙警備隊「ウルティメイトフォース」を結成します。
「ファンタスティック4」みたいで、まさにマーベル戦略そのまんま。
ゼロ、自分の宇宙に帰らなくていいの?

そんな大人な事情を盛り込んだ本作は非常に要素が多く、まとめあげるのに非常に苦労したのではないかと思います。
意欲は感じるのですが、非常に展開が早くて忙しい。
ウルトラマンとしては久しぶりに人間と同一化するという設定でしたが、もうひとつ踏み込みが浅くなってしまうのはもったいないところ。
変身時間に制限があるとか、以前のウルトラマンらしい設定も復活させ、ハラハラ感を出すなど意欲的な試みはいくつもありましたが、いかんせん詰め込み感はありました。
また話が宇宙規模になってきてしまっているので、ウルトラマンVS怪獣という構図ではなく、ゼロと仲間たちVSベリアル軍団となり数で勝負となってしまい、ウルトラマンという存在自体が矮小化されてしまっているような気がしました。
ウルトラマンは銀色の巨人と言われていたように「巨人」であること、それが「神」にも通じるようなイメージであります。
そこが東映系の等身大ヒーローとは異なる独自性であるので、そういった点が失われていくのを観ると、ウルトラシリーズの本筋を外していきつつあるような気がしました。

途中、ウルトラマンノアまで出てきたのはちょっと驚き。
ウルトラシリーズの中で異質であった「ウルトラマンネクサス」ともリンクが出たということですね。
本作はウルトラシリーズ45周年記念ということで、ナレーターが石坂浩二さん(「ウルトラQ」「ウルトラマン」でナレーションを担当)であったのも嬉しいところ。
あと二次元人の声は、ミラーマンに変身する鏡京太郎を演じていた石田信之さんがやっていたのも嬉しい驚きでした(気づく人はよほどマニアックだけれど)。

「大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE」の記事はこちら→

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コメント

KLYさん、こんにちは!

お話のスケールが大きくなってしまったため、必然的にウルトラマンの存在が小さくなってしまいましたよね。
やはりウルトラマンは怪獣との1対1の戦いが真髄だったりすると思うのですよね。
このあたりはもしかすると時代劇の流れを汲んでいるかもしれません。
ハリウッド的にしてしまったせいでそのあたりの日本的な部分が欠落してきているのかもしれないなと。
確かにゲーム的なイベント感が強い作品ではありました。
これはやはり親会社の意向かしらんと勘ぐってしまいたくもなります。

投稿: はらやん(管理人) | 2010年12月26日 (日) 05時58分

版権の扱いが下手くそですよね。というか大体海外での権利がタイ以外では無いんで大きな海外展開できないのがきついところです。本来ならマーベル的にやりたくても、事実上今のところは日本国内の展開しかできませんから。

作品は別な意味で円谷オールドファンの心をくすぐるものでしたが、はらやんさんが言うとおり、ウルトラマンが沈んじゃった。少なくとも前作ではベリアルとゼロは直接やりあってたのに、今回は仲間で防いで何だか装着して一瞬で終わり。もちろんゼロが勝つのは当たり前でも、直接戦うことにウルトラマンの存在意義があるのに。
仲間の力を借りても良いのだけど、それはウルトラ兄弟あるいは、警備隊の皆に限られるんだと思うんです。だから私は観ていてゲームの「スーパーヒーロー大戦」とか「スーパーロボット大戦」を思い出しました。

とりあえずこれで一段落なのかしらん?

投稿: KLY | 2010年12月25日 (土) 23時28分

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