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2010年12月18日 (土)

「ハゲタカ(テレビドラマ)」 「再生」には確固たるビジョンが必要

映画を観て、小説を読んで、ようやくテレビドラマを観終えました。
テレビシリーズと小説は共通の部分もありながらも、異なる部分もあります。
鷲津のキャラクターの背景がまず異なります。
小説の鷲津のキャラクターが、テレビドラマでは鷲津と西野という二人のキャラクターに分解されていたように思いました。
これは小説版では鷲津の心の中の葛藤が、テレビドラマでは二人のキャラクターの対立とシンパシーが混在した行動というところに表れているかなと思いました。
芝野については小説よりも、テレビドラマの方がより迷いのある人間味のある人物として描かれ、視聴者としては一番感情移入がしやすかったかなと思います。
テレビオリジナルでは三島という女性記者がいますが、こちらは上記の三人を結びつける役割として機能していたと思います。
そういう意味で、小説版をテレビシリーズとして観やすくわかりやすくするためにキャラクターを分解し、上手に再構成し直した作品になっていると思いました。

右肩上がりで先に見えるのはバラ色の人生だった高度経済成長期を過ぎ、最後の急上昇のバブルを経て、大失速して急降下した日本。
「失われた10年」と言われて久しく、すでにもう「失われた20年」にならんとしています。
その間に政府や企業や国民が何もしてこなかったとは言いませんが、今ですらその将来は混沌とし、日本の行く末ははっきりとしたビジョンが見えません。
本ドラマに登場する主要な人物は、人生において大きな障害、挫折に行き当たり、脱落者となります。
けれども彼らはそこから数度這い上がり、自らの人生を「再生」していきます。
しかし彼らの「再生」とは自然に「治癒」されるものではなく、そこには強い意志があります。
どん底の状態から、どのように自分を変えていくか、それが間違っているにせよ正しいにせよ、何かしらのビジョンを持って「再生」に挑むのです。
本シリーズで描かれる題材は「企業再生」です。
危機に陥った企業は今までの成功体験にしばられ、環境変化に気づかず(気がついていたとしても手を打てず)、いつの間にか苦しい状況に陥ってしまいました。
環境というものは変化するものであり、そこに対応しなくては人であれ、企業であれ生き残れません。
環境の変化に対応するには、それまでの自分を変える意志をもつことが大切です。
とはいえそれは並大抵のことではなく、多くは危機に陥ってから気づくというのが本当だと思います。
そして危機に陥った時。
やはり「再生」へ踏み出すというのに必要なのは、やはり意志であり、ビジョンなのです。
この20年の日本はずっと迷走していました。
そこには確固たるビジョンがなかったのです。
一見ビジョンを持っていたように見えた現政権も、蓋を開けてみればそこには空疎なお題目だけであったということがわかってきてしまいました。
言葉だけのリーダーシップではもう乗り越えられません。
強い意志、確固たるビジョンを持ったリーダーが求められる時期なのだと思います。
「日本再生」するためのビジョンが今こそ必要なのです。

原作「ハゲタカ」の記事はこちら→
原作「ハゲタカⅡ」の記事はこちら→
映画「ハゲタカ」の記事はこちら→

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