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2010年12月12日 (日)

本 「明治維新 1858-1881」

明治維新というのは、世界でも類をみないほどの社会的構造変化を成し遂げた出来事であると思います。
世界史をみても、社会的にも経済的にも高度な文化・文明と接触し衝撃を受けた側というのは、それらに呑み込まれるか(植民地化)もしくは、そのインパクトにより内政が不安定化し、内戦のような混乱状態に陥ることはしばしばで、それは現代でも世界各地で見受けられることです。
けれども、明治維新というのは鳥羽伏見の戦いといった内戦はあったにせよ、比較的スムーズに社会の統治システムが変わったという希有な事例であると言えます。
この本は何故そのようなことが可能であったのか、その理由を明治維新を担った諸藩の体制・構造、それらを主導した人物たちのネットワーク、また変化を受け止められるだけに成熟した江戸時代の社会というところにスポットをあて解説をしています。
詳しいところはこの本を読んでいただくことが一番なのですが、その目のつけどころが興味深かったと思いました。
一つキーワードとして出てくるのが柔構造です。
他文化からの衝撃を受け、社会を近代化することになった国で比較的成功している例としては韓国もあげられると思いますが、彼らは一時期は独裁体制をひき、それによる強引な開発で国を富ませていきました。
独裁体制にはさまざまな問題はあり、それらは現在の東南アジアの諸国でも同じようなモデルがみられます。
けれども日本の場合は明治時代はそのような独裁体制をひくわけでもなく、どちらかと言えば民主化というのをそもそも目指し、さらには富国強兵というものも同時に目指していました。
それらの目標は時によっては対立することもままあったのですが、それらの対立を柔軟にその時折の状況により優先順位を上げ下げして対応していったのです。
またそれらを成し遂げるために国を運営していたのは一人のカリスマではなく、何人もの政府首脳でした。
彼らは時によっては対立し、または連携し、とはいいながらも共有化されている目標にむかって邁進していったのです。
そういう柳のような柔構造が明治維新を成功させたと、この本は説きます。
こういう視点は、僕にとっては新しく、とてもおもしろく読めました。
先日終了した「龍馬伝」はひとりのヒーローが明治に繋がる時の流れを作ったという視点でしたが、こちらの本はまた別の視点で語られています。
明治維新に興味を持った方はこういった別の視点で、あの時代をみてみるのもおもしろいかと思います。

「明治維新 1858-1881」坂野潤治+大野健一著 講談社 新書 ISBN978-4-06-288031-2

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