「SP 野望篇」 かなりマニアック
人気テレビドラマ「SP」の映画版がようやく公開となりました。
長かった・・・、映画化発表からずいぶん経ちましたよね。
僕はオンエア時は未見で、映画化決定後レンタルDVDではまりました。
テレビシリーズ「SP」の魅力は大きく二つ挙げられると思います。
一つはテレビドラマとは思えないほどの激しいアクション。
そしてもう一つは、シリーズ後半になって明らかになっていくそれぞれの事件を繋ぐ隠された企みの謎などのドラマの牽引力。
「SP」制作時のコンセプトは「今まで見たことのないようなドラマをつくる」ということだったようですが、そのチャレンジは成功していたと思います。
日本のドラマというよりは、アメリカのドラマや映画を観ているような気分になりました。
さて映画版でもその魅力は、引き継がれているのでしょうか。
まずはアクション面について。
映画冒頭より六本木ヒルズでの激しいテロリスト追跡劇があります。
岡田准一さんはテレビシリーズよりもさらに激しいアクションを見せてくれます。
特に大通りの停車中の車の上を走っていくシーンなどはなかなか見ごたえあります。
岡田さんはこの映画のために各種格闘技の訓練を積んだそうです。
テレビシリーズからですが、岡田さん演じる井上の体術は相手を倒すものではなく、相手をいかに早く無力化するかというのを重視しているものです。
ですのでアクション映画によくあるような相手の顔をなぐるとかいった「見栄え」のよいアクションではありません。
武器を持っている相手の腕を狙って攻撃したり、膝裏を蹴って相手を動けなくしたりといったような技を繰り出していますので、そのあたり注意深く観ているとおもしろいかもしれません。
また他のSPも含め、その格闘シーンでもそれぞれの性格が出るようなアクションを今回は考えたということです。
井上はさきほど書いたように相手を無力化することをポイントにしているので、着実な一打を効果的に打っていくという実は冷静なファイトスタイルです。
岡田さんの動きが速くてなかなかそれを観ている側がついていけないところもあるのですが、よく観ているとわかります。
対して真木よう子さん演じる笹本は、男性顔負けの熱さを持っているので、そのスタイルはメンバーの中でも一番ワイルド。
それこそ相手の頭を壁に打ち付けるなんていうこともします。
その他のメンバーの戦い方にもそれぞれのキャラクターの個性が出ていました。
惜しむらくはその工夫が注意して観ていないとなかなかわかりにくいということでしょうか。
岡田さんをはじめ出演者の方たちの訓練がかなりできているからか立ち回りがかなり早いです。
加えてリアリティ重視のためかカメラも手持ちが多かったので、なかなか彼らの動きを追うことができません。
アクションのスピードにしても、手持ちカメラにしても、リアリティを追求したためだったとは思いますが、やや普通の人にはついていきにくいかもしれません。
さきほど書いたように見栄えのいい体術ではないので、映画映えしにくいところがあったかもしれません。
もうすこしわかりやすくてもよかったかなと。
もう一つ、ドラマの牽引力について。
テレビシリーズの最後の緒方のセリフで明らかになったことにより、緒方とその仲間たちが何か企みをしているということはすでにわかっています。
そういう意味で井上らにとってのの存在が、観客に明らかになっているところで、テレビのような物語の牽引力はやや弱いような気がします。
緒方たちが何をしようとしているかは未だわかりません(とはいえ次回作の「革命篇」というタイトルから予想はできる)。
ドラマの牽引力という点は、本作だけでいうとやや弱い気はするものの、そもそも本作は「革命篇」へのプロローグ的な位置づけといったところなのでしょうから、本作のみでは判断はできないような気がします。
全体的にかなりマニアックに作られている感もあり、一般ウケするかどうかやや心配なところもあります。
「SP」ファンの僕としてはOKでしたが。
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