本 「ヤフートピックスを狙え -史上最強メディアの活用法-」
僕は入社してからほぼずっとコミュニケーションに関わる仕事に携わってきました。
デザインとか広告とかですね。
だいたい大手になると企業内で、広告・宣伝部門と、広報というのは別の組織であったりすることが多いのです。
わかりやすくいうと広告はお金を払って企業が伝えたいことを伝える機能を持っています。
広報というのはどちらかと言えば社外からのお問い合わせに答える、もしくはお金をかけずにリリースなどにより情報を発信するという機能を持っています。
けれどもインターネットの登場によりその境目というのは曖昧になりました。
従来の企業から消費者への一方的な情報発信という構図は崩れ、口コミやバズといった消費者間のコミュニケーションの比重が高まってきたのです。
今まではコミュニケーションにはお金を使ったパワーゲーム的な要素もありましたが、この二十年の景気の低迷を受け、広告費も無尽蔵に仕えるわけでもなく、広告ではないコミュニケーションへの注目度が高まってきたわけです。
僕も最近、従来の広告でもなく、広報でもない、新しい「アクティブ広報」とでも言うべき、コミュニケーションも行った方がいいのではないかと考えています。
その中で注目している一つが、本著のテーマであるヤフートピックスなどのインターネットでのニュースソースです。
特にヤフートピックスはおそろしく注目度が高い。
けれどもそこに取り上げてもらえるには、従来の広告手法、広報手法ではいかんともしがたいわけです。
その参考にと、本著を手に取りました。
感想としては、自分の考えている方向性はそれほど間違っていはいないということは確認できたかなと。
けれども実際の仕事につながるようなヒントを与えてくれたかというとやや疑問です。
本著で紹介しているのは、今まで取り上げられたヤフートピックスの分類と分析です。
それ自体は無駄だとは思いませんが、それだけで終わっているのが残念なところ。
おもしろそうなネタだけ用意して、ヤフートピックスに取り上げられたとしても、その先にどのように繋げていくのかという戦略については触れられていません。
書いている方がヤフートピックスに記事を提供している記者であるからかもしれません。
企業からみれば、ヤフートピックスも消費者への情報発信の一つのツールです。
それだけで万能であるとも思えません。
いかにこの新しいツールの役割を見極め、従来のメディアとの連携をとりながら消費者に情報を発信していくかというのが、企業が考えなくてはいけないこれからのテーマでしょう。
そこまで踏み込んだ内容ではなかったため、個人的には拍子抜けといった印象を受けました。
「ヤフートピックスを狙え -史上最強メディアの活用法-」菅野夕霧著 新潮社 新書 ISBN978-4-10-610362-9
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