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2010年9月10日 (金)

「オカンの嫁入り」 この人しかいないと思えるキャスティング

映画を観終わると、この役にはこの人しか考えられないよなー、と思うときが時々あります。
本作はまさにそのような感じでした。
それも主演の二人ともに。

月子(宮﨑あおいさん)は母親陽子(大竹しのぶさん)と二人暮らし。
月子は同僚にストーカー被害を受けたことにより、会社を退社。
それ以降電車に乗れない(パニック障害かな)ようになってしまいます。
たぶん生来はしっかりもので明るい女性だったと思いますが、なにか哀しそうな表情をしている場面が多いです。
対して母親陽子は天真爛漫。
明るくておしゃべりで、名前のようにまさに太陽のような女性ですね。
月子と陽子はとても仲のよい母娘であったのでしょう。
あるとき陽子は突然結婚すると宣言します。
それも親子ほどに年齢が離れた若い男と。
月子にとっては寝耳に水の話で、とまどい、そして怒ります。
母親の気持ちがわからなくなり混乱する月子は、家を飛び出します(といっても隣の大家さんのところですが)。
しかしあるとき母親の余命が一年ほどであることを知りました。
陽子は自分の余命が少ないことを知り、自分は最後まで好きな人、そして好きな娘と一緒に幸せに暮らしたい、そして幸せな生き方を月子に見せることにより、人生に前向きではなくなっている娘に生きる力を与えたいと思っていたのでした。
なにか「天然」な天真爛漫さだけに見える陽子ですが、その内面では苦しんでいる娘を見ていたたまれなく思い、自分がいなくなった後も娘が幸せな人生をおくることができるようにしっかりと考えている女性でした。
そういう性格の陽子という役に、あっけらかんとした明るさを持ち、それでいながら人の内面の機微みたいなことも表現できる大竹しのぶさんはぴったりであったと思います。
また月子は今の状態でいることがよくないということは承知の上でも悶々と過ごしてしまう心に傷を持った女性です。
でもたぶん彼女は母親ゆずりの明るさを本来は持っている人なのだと思います。
宮﨑あおいちゃんは、周囲の人々を明るくする笑顔を持っている女優さんだと思っています。
けれど本作ではずっといらいら、悶々とした表情をしています。
それが月子の内面の苦しみを表していました。
でもだからこそ、後半で母親と和解し、そして母親との生活を楽しんでいる彼女の笑顔はとても眩しく見えました。
陽子が自分を思いやってくれる気持ちを理解し、そしてまた自分も陽子のためにいっしょに生活していくことを楽しんでいこうとするのが十分に、宮﨑あおいちゃんの笑顔で伝わってきました。
天真爛漫さの内側に娘を思いやる優しさを持っている陽子。
暗い影をもった表情の中に実は生命力のある明るさを持っている月子。
この二人の登場人物は対照的に見えながらも、ともに感情の懐が深い役柄であったと思います。
それを大竹しのぶさん、宮﨑あおいちゃんという、それぞれやはり演技力のある女優さんが演じ、この人しかないなというはまり方をしていたと思います。

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コメント

sakuraiさん、こんばんは!

宮﨑あおいさんでは最近では「ソラニン」などは両方の触れ幅が観れた感じがしますね。
ほんと上手な役者さんです。
確かにちょっとサイコな役もできちゃうかもしれないですね。

投稿: はらやん(管理人) | 2010年11月17日 (水) 06時28分

この二人に演じられたら、もうなんも言うことないですよね。
私は、少女のころのあおいちゃんの、エキセントリックな笑顔を封印した演技が忘れられず、なんてすごい子なんだと思っておりました。
最近はあの頃の陰々滅滅な雰囲気を見ることが出来ないのですが、結構暗いあおいさんも好きなんですよ。
連続殺人犯とか、かなり危ない役とかも見てみたいなあ・・と思う今日この頃です。

投稿: sakurai | 2010年11月15日 (月) 08時27分

ゴーダイさん、こんばんは!

記事を褒めていただいてありがとうございます。
ぜひ映画の方もご覧ください。
二人の主演の演技は観る価値がありますよ。

投稿: はらやん(管理人) | 2010年9月11日 (土) 21時26分

こんばんは。
記事だけで泣きそうになりました。
素晴しい記事ありがとうございました。
この映画は恥ずかしくて映画館に見に行けません・・・!weep

投稿: ゴーダイ | 2010年9月10日 (金) 22時18分

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