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2010年9月 4日 (土)

本 「ブレイズメス1990」

「ブラックペアン1988」に続く「桜宮サーガ」の過去に連なる物語です。
舞台になる時代はタイトルにあるように1990年。
日本はバブル真っ盛りの時代ですが、もう20年も前になるんですね。
本作で登場するのは天才とも言うべき心臓外科医の天城医師。
彼は金がある患者と金がない患者がいたら、金がある患者を選ぶということをはっきりという医師です。
普通の医者の倫理感からしたら、金があろうがなかろうが関係ないと答えることでしょう。
けれども天城は、すべての人を救うのは物理的に不可能であり、それならば金がある者を救いその報酬によりより充実した医療をおこなうべきだという考えを持っています。
そう言われると確かにそういう考えもあるかもしれないとも思います。
医療というのは、人の命を救うという尊い仕事です。
けれどもその医療には金がかかるというのも事実。
現在の医療現場はその歪みが出ていると言ってもいいかもしれません。
医者が医療を神聖と見過ぎることにより、そこに関わるコストについて頓着しないことにより、やがて役人による医療改革といったものにより、医療現場が混乱しくということをこの作品では予感させます。
天城のような極端な考え方が正しいか正しくないかはおいておいて、医者も金を醜いものとして見ないということでなく、厳然として金がいる、それをどう運用していくべきなのかという意識が必要であると言っているような気がしました。
この作品の中で触れられているスリジエ・ハートセンターですが、その後の「桜宮サーガ」では登場していないような気がします。
ということは、天城の志もどこかで頓挫するということなのでしょうか。
本作は続きのあるような終わり方ですので、いずれそれも語られるということでしょう。

海堂尊作品「ブラックペアン1988」の記事はこちら→

「ブレイズメス1990」海堂尊著 講談社 ハードカバー ISBN978-4-06-216313-2

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コメント

たいむさん、こんばんは!

この話は後日談がありそうですよね。
最近の「アリアドネの弾丸」でも、高階院長がそのようなことを言ってましたね。
どのような経緯で現在の桜宮市に繋がっていくか、そのミッシングリンクが次の作品では書かれるかもしれないと思います。

投稿: はらやん(管理人) | 2010年11月11日 (木) 20時21分

そうそう、天城は極端な例だから受け入れがたいものも感じるけれど
正しい正しくないはともかく、どちらも必要だということを受け入れなくては
全てが崩壊しかねないってことのように思いました。

天城先生はどこ行ったのでしょうね?
やっぱ、モナコに帰ったのかなぁ~。
帰れる場所があるって幸せですね。
腕と金、両方持ってるからこそなのだけど。

そして、どうもぶっ潰したのは高階センセっぽいですね。
後悔したこと言っているだけに、
今になって天城の未来予測の正しさを痛感している風ですが(^^;

投稿: たいむ | 2010年11月 9日 (火) 18時10分

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