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2010年9月19日 (日)

「仮面ライダー剣(ブレイド)」<平成仮面ライダー振り返り-Part5>

今回の平成仮面ライダー振り返りは・・・って、半年以上も放置していましたこの企画ですが、突然思い出したようにアップします。
なぜこれほどまでに遅くなったかというと、とりもなおさず僕が「ブレイド」をあまり好きではないため、見るスピードが極端に遅くなったということに尽きます。
平成仮面ライダーシリーズはそのほとんどが好きなのですが、「ブレイド」は嫌いではないのですが、それほど自分にとって大きなポジションをとる作品ではなかったというところですね。
「ブレイド」は番組的にも視聴率と玩具の販売も低迷、その後の「響鬼」と合わせて平成仮面ライダーの苦難の時期と言えるかもしれません。

では何故そのようなことになってしまったのでしょうか。
それは偏に制作者サイドの平成仮面ライダーが何故ヒットしてきたのかということに対する解釈が間違っていたと言えると思います。
平成仮面ライダーは「クウガ」に始まり、「アギト」で未だに破られていない平成仮面ライダー最高視聴率を早くも達成、その後「龍騎」「555」とヒットを続けてきました。
その理由はこの平成仮面ライダー振り返りの記事で指摘しているように、今までの概念を常に破り続ける「革新性」であったと思います。
それは例えば、イケメン俳優の起用であったり、年間を通した大河ドラマ性であったり、物語が進むに従ってヒーローが進化していくフォームチェンジであったり、ライダー同士が戦いあうという設定だったりするわけです。
それらの「革新性」はそれ以前になかったということにおいて「革新性」であるのです。
平成仮面ライダーは新シリーズが始まるたびに「こんなの仮面ライダーじゃない!」という声が聞かれます。
けれどもそういう声があがるということこそが、平成仮面ライダーなのです。
しかし、「ブレイド」に関して言えば、そのような「革新性」を感じることはありませんでした。
トランプをモチーフとした四人のライダーが戦いあうという設定、カードを使ったバトルであるという設定は「ブレイド」の前々作である「龍騎」で用いられた設定と同様であり、新味を感じることはありませんでした。
また話題作りになるイケメン若手俳優を配することにより人気を獲得したいという意図も如実に感じられます(シリーズ前半のオープニングはその意図が強く出ていました)。
「仮面ライダー」が職業であるという設定は新しいとは思いましたが、第1話から早々に仮面ライダーが所属する組織である「BOARD」が壊滅してしまうわけですから、設定を活かしきれているとは言えません。
これらの「革新性」のなさは、当時の制作者が平成仮面ライダーのヒットの要因を分析しそこなったということによるのではないでしょうか。
「ブレイド」ではそれまでプロデューサー補、プロデューサーとして腕を振るっていた白倉さんから、それまでスーパー戦隊シリーズを多く手がけていた日笠プロデューサーにバトンタッチされています。
そこで平成仮面ライダーのヒットの要因の読み違いがあったのではなかったかと思います。
僕が思うに、ヒットの要因をその表面的にしかとらえなかったのではないかと。
例えばイケメン俳優の起用であったり、カードバトルであったり、ライダーバトルロイヤルであったり。
けれども平成仮面ライダーのヒットの要因は何度も言うようにその「革新性」です。
常に進化し続けることがヒットの要因なのです。
今までの平成仮面ライダーで出てきたことばかりを表面上再現していているだけでは、「革新性」を出すことにはなりません。
「ブレイド」はヒットし続けたことによる、ある種のマンネリ化の道へ入り込もうとしていたのです。
「ブレイド」以降、「響鬼」での大きな揺り戻しによる混乱、その後の作品での「革新性」の定着による盤石化へ平成仮面ライダーシリーズは進んでいきます。

個別の部分で、僕が「ブレイド」がそれほど好きではない原因をいくつかあげてみたいと思います。
一つは前半のメインライターの今井詔二さんの脚本が好きではなかったということです。
今井さんは「ブレイド」が初めての特撮番組への参加ということでした。
その点については「革新性」を狙ったのかもしれませんが、僕は今井さんは特撮番組とはこんなもんだという思い込みがあったように感じました。
それはセリフがとても正直言ってクサいということ、展開が乱暴であるということです。
特に最初の理由は特撮だから非現実的であったりしてもいいというようなイメージがあったのではないでしょうか。
僕が非現実的といっているのは、そのキャラクターがしゃべりそうにないことを言わせているということです。
特撮番組だから設定が非現実的であるのは当たり前です。
その設定を前提にしてそのキャラクターがあるセリフを言うことにリアリティがあるかということが問題なのです。
今井さんの本はそれが曖昧のように感じました。
だからキャラクターがぶれて見えるのです。
本作でいえば、主人公である剣崎一真、相川始はまだましでしたが、橘朔也、上城睦月については物語の進行の中で大きくブレているように感じました。
橘、睦月についてはシリーズ中盤大きくドラマの要素を担うのですが、こういうキャラクターなのでどうも物語がしっくりとしません。
今井さんはシリーズ中盤で降板しますが、それは同じような判断が製作側でもあったのかもしれません。
またよろしくないと思ったのが、俳優の演技力です。
特に申し訳ないですが、剣崎、橘は正直言ってつらかった。
正直言ってこのシリーズはキャスティングはあまりうまくいかなかったと言っていいでしょう。
「ブレイド」以降、「カブト」の水嶋ヒロさん、「電王」の佐藤健さんなど今では若手の急進株として注目される演技力を持った俳優を起用していますが、年間を通したドラマのレベルを保つにはある一定レベル以上の演技力は必要でしょう。

シリーズ後半のメインライターは會川昇さんが担当。
會川さんはクサいセリフを書く方(「ディケイド」の士の語りモードのところとか)ですが、それは物語の中では違和感がないようにすることが上手だと思います。
担当された後半は重い展開になってきている中、會川さんが「ブレイド」をしっかり支えたと思います。
特にラスト近辺の剣崎、始の間の友情にも似た交感の表現は會川さんならではかなと。
最終回はとても意外な展開でありアンハッピーエンドでありますが、それでも何か希望を感じるような余韻がありました。
この最終回はすごく好きです。
あと、アンドットデザインを担当した韮沢靖さんはその才能は素晴らしかったです。
「アギト」のアンノウン、「555」のオルフェノクと同様、怪人デザインがその世界観を表現するという仕事をしっかりとしていました。

このように「ブレイド」は平成仮面ライダーが成功してきた故に、陥りそうになるワナにはまってしまいかけた作品であると思います。
先に書いたように、その後「響鬼」で大きく揺り戻し、その後再び本質的な「革新性」を得るという展開を平成仮面ライダーシリーズは歩んでいきます。
また次は「響鬼」の振り返りでお会いしましょう。

今月より始まった「仮面ライダーOOO(オーズ)」、なにか「ブレイド」の最初の頃のような印象を受けてしまいます。
何か「電王」「W」の成功の表面上でしか追いかけていないような・・・。
まだ3話なのでなんとも言えないのですが、今後もっとワクワクするような展開になってくれることを期待したいと思います。

「仮面ライダークウガ」<平成仮面ライダー振り返り-Part1>の記事はこちら→
「仮面ライダーアギト」<平成仮面ライダー振り返り-Part2>の記事はこちら→
「仮面ライダー龍騎」<平成仮面ライダー振り返り-Part3>の記事はこちら→
「仮面ライダー555(ファイズ)」<平成仮面ライダー振り返り-Part4>の記事はこちら→

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